処刑※死描写注意

処刑※死描写注意


映像は、五条と脹相の二人が向かい合っているところから始まった。音声はなく、何かを話していることはわかるがその内容までは分からない。

話し終えた後、脹相がゆっくりと笑ったことだけは分かった。あの表情と口の動きは『ありがとう』と言っているのだと理解出来る。理解出来てしまうほど、先程まで近くにいたのだ。


脹相の上半身だけが、ぐらりと揺れて倒れた。身体が腰から二分割され、離れてしまう。唇が自然と名前を呼んだ。


「ちょう、そ……」


ごぷっと大量の血を吐いた脹相の身体から力が抜けていき、瞼が落ちていった。白い肌に黒い髪が落ち真っ赤な血で染められているのが現実味もなく美しく見える。仲間の死には慣れていた。そんな事で精神を病んでいたら呪術師は務まらないからだ。師匠の訃報を聞いた時だって、まさかあの人がと現実味はなかったが受け入れられた。誰が死んだっておかしくない状況だったこともあるが。


けれど、脹相の死は違った。何故、どうして、おかしいだろう、理不尽だ、そんな言葉が頭を埋めつくし何の思考も出来ずにいる。どこかで冷静な自分が、大量に人を殺したやつの死は理不尽ではないだろうと必死に整合性を得ようとするも、無駄だった。ほとんど毎日抱きしめていた身体の温もりや低い声の記憶が一気に襲い込み、涙が溢れ出る。


「……終わり。」

「………………、……」


今となってようやく、脹相が『弟は最期になにか言い残したか』と釘崎に聞いた理由が分かった。『弟の死が仕方ないと済まされたのが許せなかった』と言っていた意味が分かった。暫く動けずにいると、五条が東堂の肩に手を置いた。


「……ほら、約束だよ。…悠仁には僕から言うから。空き部屋使って、休んで行きな。」

「…………。」

「……葵、とりあえず三日はこっちにいな。都合は僕がつけてあげるから。」

「…………。」

「……。」


Report Page