凍えるような夜
……オレはもう……書かん……すごいさむい。
いや、原因はわかってる…彼が高校の友達と遊んで来るって言い出してこんな遅くまで帰ってこないからだ。
まぁ、彼のことだから浮気とか…万が一のことはありえないんだけど、とても寂しい
それで彼の部屋のベッドに寝転がっているわけで…
あ、自分の部屋ももちろんありますよ。ベッドもあるにはありますが…全然使ってない
私も彼もいつも一緒に寝るのでもしかして大きいのを買っておいた方がよかったのでは??と思う
喧嘩しちゃった時も一緒に寝るから、すぐ仲直り出来るし、良いことづくし
そんな事はさておき。こんな時間まで遊んでるって彼は一体何をしてるんだろう
…思えば、彼と離れ離れになった時もこんなことを考えてたっけ
まぁ、多分もうすぐ帰ってくるよね!!
「へっくしゅ!!!」
「なんだ藤丸。寒いのか?」
「それはいけない、このコートを羽織るといい」
「いやいやいや大丈夫だから!!」
「静かにしていろ、音を立てると逃げられる」
「本当に発光するカブトムシなんているのか?」
「いるとも、私が調べた。君達も調べればよかったのに…カブト・シバルバー……」
「…藤丸、頭痛薬ないか?」
「昆虫ゼリーしか…」
「…クソッ!!」
それにしても、今日は冷えるなぁ
彼の為にお布団温めておかないと
なんかこうしていると夫の帰りを待つ奥さんみたいでいいなぁ
将来的には実際そうなんだけど、まだ恋人だし?
ふと、彼と再会した日のことを思い出す
私、彼と会えるなんて思わなくて。嬉しくって思わずホテルに連行したっけ
正直初めてあんなとこ入っ……てはないや、友達と女子会した事あるや
でもそういう目的で入ったのははじめてで、部屋のボタン押す時とかすごい緊張した
色々段階を飛ばした気しかしないけど、私と彼の仲だしそこは大丈夫だと思ってる
でも彼やさしかったなぁ、痛くしたら悪いからってじっくり責めてくれて
彼の肌のあたたかさを思い出すとお腹の奥が疼いてきた
…我ながら淫乱だなぁ……
「さすがにデカすぎるって!!!」
「そうかい?想定してたサイズだが…」
「あんなのがカブトムシなわけあるか!逃げるぞ!!」
「これでオレ達はあっけなく人生の終わりを迎える訳だが、感想はあるか?」
「なんで死ぬ感じになってるんだよ!!僕だけでも逃げるからな!」
「抜け駆けは良くない、とはいえ私も命は惜しい……ところで立香は?私達と逃げていたはずだが…」
「え?」
…かえってこない
さすがに帰り遅くない?何してるの彼は
おーい、リツカさーん。あなたの彼女が寂しがってますよー
ひとりで寂しく眠っちゃいますよー
いいんですかーーーーーー
…ひらめいた、私がすごい寂しそうにしていたら帰った時に思わず申し訳なさを感じるに違いない
リツカがわるいんですよ…?
私は、自分の身体を慰め始めた
「藤丸!!どこだ!!」
「うわー!これじゃぁ昆虫ゼリーが足りないよ~!」
「…は?」
「あ!助けてよ!!この子昆虫ゼリーを美味しそうに食べててさ!」
「立香の声がしたんだが…あれは…」
「カブト・シバルバーだな、すっかり懐柔されている」
「カブト・シバルバー」
「え!?これがあのカブト・シバルバーなの!?」
「…気づいていなかったのかい?」
「こんなに人懐っこい仔とは思ってなかったよ!」
「…僕は帰る」
「待ってよ!!オレも帰るから!!」
「あのカブトムシ…悪い虫ではないようだな…」
「他にもこんな昆虫がいると考えるとワクワクしてきたな…今度も行こうか」
「もういい!!!!」
「っ……んっ……!」
たりない、たりない、たりない
「ん……ぁっ………」
たりないたりないたりない!!
私の指じゃ彼のようにはいかない
「はぁっ………っはぁ……」
満足いかないし、彼に触られてるって実感が持てない
彼にされてる所を想像しても実際にされてる時にくらべたら全然脳に来ない
彼はどうしてたっけ、どんな感じだったっけ
そういう思考がぐるぐる頭でまわってて。私は私ひとりでは満足できるからだじゃなくなっていた
「リツカぁ……リツカぁ……!!」
彼の名前を呼びながら、私は自分の熱を冷まし続けていた
「ただいま~…ごめん、遅くなった…」
そんな最中に彼が帰ってきた。彼のことだ、きっと真っ先にこちらに来るだろう
「…あれ、起きてたの……って」
部屋の扉を開けた彼は目の前の光景に目を疑ったことだろう
顔は赤く、寝巻きは半脱ぎ。そしてくしゃくしゃの布団
どう考えてもお楽しみ中としか言えない光景
「ごめん、寂しかったよね?」
「い、いや?べ、別に?ちっとも寂しくなんかないんです……けど……」
見て欲しい時に感じる恥ずかしさと、見られたくない時に感じる恥ずかしさはだいぶ違う、今回は後者の方
見られて嬉しいという気持ちもあるにはあるけど…今はちょっと…
「ふ、風呂入ってくるね!!」
「い、いってらっしゃい!!」
気まずい空気の中、彼はお風呂に入っていっちゃった。
…あれ、これって今夜いただかれちゃうパターン?
やばい、この後のこと考えたらじんわり熱くなってきた
「…おまたせ。…今日は寝かさないつもりだけど、大丈夫?」
「…はい、いくらでもお好きに…リツカ」