冴の詩

冴の詩

四スレ目 199氏より

 

 溢れる蜜の黄金に虫が集るように。

 涙を流せば流すほど、この身この顔に欲望を向ける者たちは声を上げて喜んだ。


 世界が美しいとまだ信じていられた頃は。

 泣きたくない理由なんて、ただ恥ずかしいから、カッコ悪いからだけだったのに。


 醜さを知らしめられてからは、己の悲しみも痛みも彼らの快楽に変わるだけなのだと理解して。

 だから泣きたくなくなった。

 そして泣けなくなった。


 今もまだ、糸師冴の涙は枯れ果てている

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