冴とマゾ猫

冴とマゾ猫


猫を助けた。雪のように白い毛皮を持ち、翡翠のように澄み切った美しい猫を


猫はガキに虐められていた。それを俺が助けた。動物虐待は見ていて反吐が出る。猫は助けて貰った事を理解しているのか、てちてちと俺の元に駆け寄って来た。野良猫なのだろうか?それにしては綺麗な猫だ。いや、「綺麗」と一言で表すのが本当に惜しい位に美しい。まるで白玉団子のようにふっくらとして可愛らしく、撫でてやると嬉しそうに伸びをした。俺はその猫を「しらたま」と呼ぶことにした。

それからというもの、俺は時間を見つけてはしらたまに会いに行くようになった。最初は慣れ切っていないからか傍には来てくれるものの少し距離を取られていたが、だんだん慣れ、遂には俺の膝に乗り、ゴロゴロと喉を鳴らすまで来た。

しらたまは柔らかく温かで、ぎゅっと抱きしめると不思議と気分が楽になった。汚らしく悍ましいマゾ犬共やスポンサーから受けたあれやこれやもしらたまを抱くと少しましになった。その温かさは俺にとってかけがえの無いものだ...。

「しらたま、大好きだよ」

そう声を掛けるとしらたまは「にゃあ」と鳴いた。俺の言った言葉が分かるのか。賢い猫だ...。

ある朝、しらたまに会いに公園に行くと俺の事を見つけたしらたまは嬉しそうに駆け寄って来て、足元に纏わりついた。しらたまは口に咥えていた何かを俺に差し出し、「にゃあ♡」と可愛らしく鳴いた。...俺の手の中にはキラキラと朝日を浴びて輝く首飾りがあった。中央にしらたまの瞳をそのまま写しとったような美しい翠の宝石。周りのチェーンは金細工であろうか、とにかく贅を尽くし手間暇かけて制作されたものであることが伝わってくる。それはそれはしらたまの冴に対する心であるように冴は感じた。比べるのはしらたまに申し訳ないが、マゾ犬共が貢いでくるギラギラと下衆な欲も共に内包した様なジュエリーの山に負けず劣らずの良品だろう。だが、きっと盗品なのだろう。本当の持ち主がいるに違いない。しらたまは猫ちゃんだからそんな事分かるはずもないが...。

ここはちゃんと怒るべきなのに猫相手だからか自然と声音が緩くなってしまう。俺がネズミや鳥だと嫌な顔をし、強張った笑顔で「ありがとう」と言っていることが分かったからだろうか。俺を喜ばせようとしてくれたのだろうか。

でも悪いことには変わりは無い、心を鬼にして怒っていることを伝える為、しらたまの狭く可愛らしい額に軽くデコピンをお見舞いする。

「こらっ!!」

これで少しは懲りただろうか。まぁ猫だし人間の都合なんて関係無いからなぁ...。後で一緒に元の持ち主に首飾りを返しに行こうか、しらたま!、...そう思いながらしらたまを撫でていると

「にゃっ...♡にゃあん♡」

何か変だ...。甘く媚びるような嬌声が冴の耳の中に響きわたる。柔らかな毛皮で覆われた身体をくねらせ、まるで交尾を強請るかのように冴の脚に纏わりつく。艶々したエメラルドの様な瞳は今や欲にまみれ濁り切っている。あまりの変容ぶりに、そんな目で見られることに慣れてしまっているはずの冴でさえ、ぎょっとなる。嬌声は絶え間なく響き、しらたまは正気を失ったかの如く、冴の脚に柔らかなふぐりを擦り付け、はぁはぁと肩で息をしている。カクカクと腰を振り、冴の事を雌猫であるかのように扱い棘の付いたペニスを押し当てる。まるで冴以外の全てが見えて居ないのかと感じるほどの狂気だ。動物のソレに鈍感な冴でも流石に察しがついてしまっていた。

「んなあぁぁ...♡んああぁぁん♡♡」

その様は普段目にするマゾ犬共や下衆いスポンサー共のようだ...。

...気持ち悪い。こいつも他のマゾ犬共と同じなのかよ。このクソネコがっ...。


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