再開
「何やってんだウタぁ⁉︎」
ベッドの上でルフィは自分のズボンを下ろそうとする裸の幼馴染ウタを無理やり引き剥がした。
海軍に追われる中嵐に巻き込まれ仲間とはぐれた海に投げ出されたルフィはある島に流れ着いた。
目が覚めると見知らぬ女が自分の頭を膝に乗せ介抱していた。
「あ…ありがとう!…ここはどこだ?」
「よかった目を覚まして…エレジア…あなたどうしたの?」
まだ混乱してるルフィはとりあえず自分が嵐の海に投げ出されたことを伝えた。少女はそれで生きてたことに驚いていた。ルフィは紅白に別れたその髪にどこか懐かしさを感じていた。
「そう言えばあなた…名前は?」
「おれか?俺はルフィ!」
その名を言った瞬間少女の顔色が変わった。
「…もしかしてルフィ?」
「なんだ俺の名前知って…お前まさか⁉︎ウタか!」
ルフィは思い出した。かつて夢を誓い合った幼馴染の名を。
「ルフィ!」「ウタ!久しぶりだな!」
二人は離れ離れになった時間を埋めるように互いに強く抱きしめあった。
それから二人はウタが保護者と住んでるという古城に向かった。その道中瓦礫だらけで誰も人がいないことに疑問を持ったルフィがウタに尋ねたが言葉を濁すだけだった。ウタに今何をしてるのかと聞かれた際に海賊をしていると答えたら「そっか…海賊か…」と答えるだけでルフィは変な空気を感じていた。
ウタは歌手の勉強をするために降りたんじゃないのか?
食堂で食事をしながらルフィの冒険譚をウタが笑顔で聞いていた。その様子を保護者のゴードンは微笑ましく見ていた。その日からルフィはウタに島の湖や牧場などいろんな場所を案内してくれた。牛の乳搾りを体験することになったルフィが強く握ってしまって牛に蹴り飛ばされたりゴードンの指導による歌の練習にルフィが見学し久々の彼女の歌声を聴き「上手くなったなお前!」とウタを誉めて「当然でしょ!」とウタが自信満々に言うなど日がたつごとに塞ぎ込みがちだったウタの顔に生気が感じられるようになっていった。
ウタにとってこの時間が救いになったのは確かだ。
だがそれはいつまでも続かない。
この島に流れ着いてから数日後ゴードンからルフィに自分を捜索する仲間の無線を傍受したと言われたのがきっかけだった。
「よかったあいつら無事だったんだニシシ!ウタ!ゴードン!世話になった!そろそろ俺帰らなきゃ行けないから。ゴードン無線の返信頼めるか?」
「え?」
その言葉を聞きウタは動揺した。
「お前も頑張ってるみたいだな…元気そうでよかったよ。」
昔と違うウタの言動に疑問は持っていたがルフィはウタとシャンクスの問題は二人の問題だと追及しなかった過去から踏み込めなかった。それにいくらなんでもシャンクスが自分の娘に対して無責任なことをするはずがないという信頼もあった。
彼女と別れる寂しさ故にその時のウタの顔をあえて見なかったことをルフィはその夜後悔することになる。
その日の夜貸し与えられた部屋のベッドで行儀悪く寝ていたルフィは誰かがそばにいることを感じた。
「誰だ⁉︎」
慌てて飛び起きると寝てる自分の上にまたがるようにひざまづいてるネグリジェ姿のウタがいた。
「ウタ?おまえ何やって…ムグ⁉︎」
ウタを問いただそうとした瞬間ルフィの唇はウタに奪われた。大人のキスではない見よう見まねでやるような稚拙な子供のキスで歯が当たり痛かった。ルフィが困惑しながら見たウタの目は涙で滲んでいた。
やがて唇を離したウタは何かをブツブツ言いながらネグリジェのヒモをほどきそのまま生まれたままの姿を晒す。
ルフィはまだ穢れを知らないその姿に一瞬見とれた後パニックになるがそんなことお構いなしにルフィのズボンに手をかけ下ろそうとしてきた。流石に度が過ぎてると感じたルフィは慌ててその手を掴んで止めさせようとした時に気づいた。
彼女の手が震えてることに。
「お願い…一人にしないで…そばにいて…」
そう何度も繰り返し呟いてたことに。
「何やってんだウタぁ⁉︎」
ベッドの上でルフィは自分のズボンを下ろそうとする裸の幼馴染ウタを無理やり引き剥がした。
・
・
・
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
ルフィに優しく被せられたシーツに包まりウタは泣きながら謝り続けた。
あの勝ち気で姉のように振る舞ってた彼女がどうして…?
まるであの頃の彼女とは別人のようにウサギのように縮こまるウタに…
「なぁウタ?お前一体何があったんだよ?そんなに寂しいなら…戻れば良いじゃないかシャンクスの船に?」
そう言った瞬間
「やめてッ!!!!」
ウタは叫ぶ。
突然のことにルフィは驚いた。そして震えるウタは語り出した。
「私は…利用された…捨てられたんだ…シャンクスに!」
終