全てあいまい

全てあいまい



※本番は無いけど柱マダ

※本番は無いけどシモ表現あり

※全て捏造

※本番は皆の心の中にありまぁす!

※捏造(大事なことなので)

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命のやり取りをした日は、自身が昂るのを感じていた。家に帰りつくまでにある程度は落ち着いていたし、身を清め食事をとれば、すっかり元に戻っていた。一応、処理の方法は父様から教えられていたが、その知識を使うことはほとんど無かった。

しかし、ある時から、自然に収まることが少なくなった。いわゆる最前線に配置されるようになり、かつての友に刃を向けるようになってからだ。さらに厄介なのが、処理の際にうっかりその顔が浮かんでしまうことがあった。


命をなげうとうとしていたかつての友の手を取り、一族の垣根を超えた集落を作り始めた。それぞれの一族の移住が喫緊の課題となった。森を切り拓き、その木を使って新しい住まいを建てていく。住まいだけでなく、集落・里が組織として機能するために必要な施設も同様だった。

人の命を奪うことばかりしていた我が手で、命を守り育むモノを生み出すことにやりがいとほんの少しの違和感を抱いていた。

千手とうちはの移住は完了したが、里の上層部として新たに受け入れる一族の居住区の割り振りであったり、拭えぬ恨みによるトラブルの解決であったりに奔走していた。


己の身体の違和感は、戦いの日々から遠ざかってもなお消えなかった。はじめのころは慣れぬ忙しさ故、と結論付けて気にしないようにしていた。

心に淀んだ疑惑の輪郭がハッキリしたのは、数日、顔を合わせぬ日が続いたからだった。その期間、自身は凪いでいた。久しぶりに顔を見た日、まさに興奮覚めやらぬといった様子で、その晩はいつも以上の処理を強いられてしまった。

翌日、千手の……ではなく、火影の補佐の者から「朝の会合を終え、昼食をとったら“火影の執務室”へ来るように」と伝えられた。

朝の会合とやらも、一族同士の仕来りや文化をすり合わせるというもので、なかなか根気と忍耐のいるものだった。どうにかこの場でまとめておきたかったことは最低限合意を取りつけ、空腹を満たすだけの昼食をサッとかきこんだ。何故か急いていた。

この集落の中でも真新しく大きな建物の最上階。生まれたばかりの木ノ葉隠れの里の顔、火影のための部屋はそこにあった。戸を二度叩き、開けた。少し前まで、ここが豊かな森であったことを思い出させるような木の匂いが鼻孔を満たした。いや、これは森ではなく……。

「オレ以上にお忙しい火影サマが、一体何の用だ」

「いやぁ、お前とゆっくり話す時間が取れなくてな!少し参っていた……」

言葉とは裏腹に声は明るく、穏やかな顔のまま、ずんずん近寄ってきた。適切な距離を保つために、オレが一歩二歩と下がったが、すぐに背中が戸に付いてしまった。独りごとのつもりか、「やっぱりな」「原因が分かった」と呟きながら迫る火影を、「近ェ!」と、突き放す前に、耳元で名を呼ばれた。

「マダラ」

大声を出されたわけでもないのに、妙な迫力を感じ、怯んだ。火影はさらにもう一歩身体を寄せ、オレは腹に違和感を与えられた。

「分かるか?お前を見ると、どうも抑えがきかん」

その熱が移ったかのような昂りを自覚した。なにか、言い返さなければ……。

「お前もオレと同じだろう?マダラ」

服の上から身体をまさぐられた。力は入れず、しかし形を捉えるように掴まれた。

「バカ!昼間だぞ!!」

「ならば今夜、お前の家へ行く」

返事も聞かず、「次の任務がある」とその部屋の主は出て行った。


* * *


鍵の掛かっていない戸の向こうに、親しき友の姿があった。

「ずいぶん不用心だな。鍵もかけずに」

「お前が来ると言ったから開けていただけだ。それに、ここが誰の家か知らん奴はいない」

履物を脱ぎながら、「風呂か?飯か?」と聞かれたので「風呂がいい」と答えた。

「何持ってんだ?」

「着替えだ。お前はこういうの、気にするだろう?」

弟よりも潔癖症な友の家に、夜分訪ねる作法は理解していた。どうやら正解だったようで、「助かる」と小さな声が聞こえた。


「どうだ、湯加減は?」

浴室の向こうから問いかけられた。

「バッチリだ。いやぁ、ホントにすまんな!」

「ん……。それで、本当に飯はいいんだな?」

友が、まるで母上のように気に掛けるので、少し申し訳ない気持ちになった。

「もしかして、用意していたか?」

「いや、別に……」

こういう時に方便を使えるほど器用な奴でもないから、特別に用意はしていないが、オレが「何か食いたい」と言えば多少食えるものが出せる、という状態だったのだろう。

「その辺りにあるものは好きに使え」と言い残し、友の気配は遠くなった。

普段と同じように身を清め、体を温めた。友の性分を思うに、自らの使った湯にオレを入れるわけがないし、その逆も然りだった。わざわざオレのために、湯を張りなおしてくれたことは容易に想像できた。


もうよいか、と湯から上がる時にかつての戦場で覚えた熱を思い出した。今日、ここを訪ねたのはそういう意図があってのことだが……。いやいや、これでは……。

どうにかマシにならないかと、一度は吐き出してみた。が、到底抑えられるものではなく、かといってこれ以上ここに篭るわけにもいかなかった。

ええいままよ、と体を拭き、持参した替えの服に袖を通した。友の気配のするほうへ向かうと、居間で静かに待ってくれていた。

「お前も飲むか?」

「なにをだ?」

「白湯」

ジジイのようだと思ったが、余計なことを口にして機嫌を損ねられても敵わなかったので、「いや、もう体は温まったのでな」と断るだけにした。

友はもう一口、白湯を飲み下すと「それで」とスルスルと近寄ってきた。

「何の用だ?柱間」

風呂で温まった体……ではなく、この友の所為で熱くなった部位をぐにぐにと触られた。

「分かってて問うのか。イジワルだな」

「お前、本当に分かってんのか?」

「何がだ」

「オレも、お前も男なんだ。女とは違う」

「何が問題なんだ」

友はその手にさらに力を入れ、オレは痛みに顔を歪めた。しかし、友はそれ以上にしかめ面をし、深いため息を吐いた。そして、呆れた様子を隠さずに言った。

「やっぱな。オレが準備してやったことに感謝しろ」

そう言ってオレを解放すると、隣の部屋に移った。後を追った。


行燈一つ、布団一組。それ以外は見当たらなかった。

「さて、天下の火影様のお手並み拝見といこうか」


* * *


髪を撫でられる感触があった。遠い昔、母上に撫でられた幼い日を思い出した。

「柱間、起きてるんだろ?」

昨晩から少しかすれてはいるが、優しい声が聞こえた。

「心地よくてな。もう少しこうしていてくれ」

返事はないが、オレの頭から手を放すこともしなかった。

「お前、オレのことどう思ってんだ」

「今でもお前は親しき友だ!マダラ」

スッと手が離れた。

「友とこんなことすんのか」

一段低く、怒りの色を含んだ声で言われた。


「なら、お前はどうなんだ?ただの友にここまで許すのか」

そう尋ねると、その美しき双眸と同じくらいに頬と耳を赤く染めた友の顔が見えた。

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