優しさ故の…

優しさ故の…



「嘘でしょう」


思わず、そう言葉が口をついて出ていた。

数週間前、一晩のうちに人間の大半を殺した殺人ウイルス。

その時は国に私一人しか生き残っておらず、発狂寸前で何とか他にも生存者がいるということで何とか踏みとどまっていた。


「嘘でしょう」


ざく、と雪の上に膝をついた。


各地の村を周り、国民の遺体を一つ一つ埋葬した。

それくらいの事しか、私には出来なかったから。

その後、Dr.くれはなら、もしかしてとドラムロッキーの頂上の城へ向かった。

しかしDr.くれはは椅子に座ったまま、机に突っ伏し眠ったように死んでいた。

その時には半ば覚悟していたからか、初日程ショックは受けなかった。

Dr.くれははDr.ヒルルクの墓の横に埋葬した。

それも、つい先日の事だ。


なのに。


「嘘でしょう」


何度も何度もその言葉を繰り返した。

朝、いまだに配達される新聞に書かれていた記事。


『感染者の遺体は仮死状態になっている。その為、生き残った感染者が手を触れるだけでも本当に死んでしまう。薬が出来るまで安置しておく様に。』


とどのつまり。

私が余計なことをしなければ。

私が、余計なお世話をしたから。

この国は。


ぼたり、と目から流れた熱い液体が雪を溶かした。


「ごめんなさい」


誰にも届くはずは無いのに。

許されるはずなど決して無いのに。


「ごめんなさい」


震える声で、呟いた。




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