俺っ子酒吞
伊吹童子の巨大な胸に埋もれて藤丸は目覚めた。
隣には別の誰かの気配がする。
「……う、ぅ」
「起きたかマスターちゃん?」
「んー? どうしたのぉ? まだ眠いなら寝ちゃっていいよマスターさん?」
左右から聞こえる声は酒呑と茨木童のものだった。
どちらも全裸で、肌を密着させてくる。「…………」
「あぁごめんなマスターちゃん、ちょっと張り切り過ぎちまってさ」「そうそう。つい興に乗っちゃったんだよね」
「うんまぁ、俺も悪かったとは思ってるんだけどな。けどほら、あんたも悦んでくれたろ?」
「ふふっ。ねぇマスターさん、次はいつ逢えるのかしら?」
二人の言う意味が分からないほど藤丸も子供ではない。
だが今はそのことよりも気になることがあった。
「二人とも、なんで裸なんですかね?」
茨木童と酒呑童子はカルデアでも屈指の大柄だ。
そんな二人が並んでいたら当然目立つし、何より目のやり場に困る。
現に今も藤丸の両サイドでは一糸纏わぬ美女達が彼を挟み込んでいるのだ。
しかも彼女達は藤丸の腕や脚まで絡めている。
これで何も感じない男がいたらそいつは不能である。
「ああ悪い悪い。俺たちゃ鬼だからな。着るものなんて持ってねえんだよ」
「それにしても茨木はもう少し恥じらいを持てよな」