便利屋社員の下克上?
「ねぇ、たまにはアルちゃんにやり返さない?」
その日、ムツキは、にんまりと、いつものように、笑っていた。
「アル様に、ですか?」
「そう、だって、いーっつも私たちアルちゃんにいじめられてるでしょ?」
その言葉に、確かに、と私とハルカは頷く。
……言われてみれば、私たち、全員アルに転がされている。
一対一も、勿論だけれど、三人でかかっても、たいていの場合は一人勝ち。
……なんならキスだけでダウンすることだって珍しくない。
それは、よくない。
便利屋68は、今事業拡大をしている。
主にアルの……うん、あれのおかげで。
実際ゲヘナの有名どころ、いや、キヴォトスにおいての組織図の中に私たちは食い込んでしまっている。
薔薇のアイテムを見たら、それは彼女のお手付きだ。
何て噂が、既にキヴォトスに混じって、トリニティや、ミレニアム、連邦生徒会にも何人かつけてる人がいる状況らしい。
そんな状況で、正社員である私たちが、社長相手に一方的にやり込められるだけ。
そうなると……後から入ってる子たちに自分たちも、と思われても仕方ない。
それは、うん、避けるべきだ。
決して、性豪すぎるアルのかわいい顔が見たいとかそういうのじゃない。
「じゃ、やろうか。仕込みは?」
「くっふふ~。勿論できてるよ。ハルカちゃんもいい?」
「は、はい。アル様のために、が、頑張ります」
そうして、便利屋68夜の特殊任務の作戦が決行された。
「っ、みんな、普段より、積極的ね?」
「そ、そうですか?アル様っ」
作戦は三段階。
私たちの中で最も耐性の高いハルカが、アルの唇を抑える。
「ほらほら、アルちゃん。こっちでも感じて?」
そして、普段からアルの体をいじくりまわしているムツキが、彼女の胸を中心に攻める。
えっちでは惨敗してるムツキも、普段からこういう仕込みはしてたらしい。
思った以上に、アルの体はすぐに出来上がった。
「……もう、下もトロトロ。たまには先にイってみてもいいよ?社長」
最後に、私が下の担当。
ハルカとムツキの攻めのおかげで、ふたなりも、ナカもトロトロによだれを垂らしてる。
正直、体がうずいて仕方ないけれど、我慢。
今は作戦を優先して、アルの中をいじくりながら、竿を頬張って、出させることを優先させる。
「~~~~、そ、そう。……じゃあ、だすわ……、受け止めてっ」
口の中に吐き出されるアルの白濁。
どっぷりと、口の中にあふれるそれを何とか口いっぱいに頬張って、喉の奥へと飲み下す。
「ちゃんと、飲んだよ」
ぁーっと、口を開けて、奉仕完了を、ご主人様に見せつける。
体の芯から熱くなって、頭がぼーっ、と蕩けるのを感じる。
「でも、まだ、欲しいな」
ハルカと入れ替わって、今度は、私がキスをする。
「ん、自分の味、嫌だった?」
「いやじゃないわよ。カヨコと混じった証だもの」
すぐそういうことを言う。
そう思いながら、アルのキスに対抗する。
そう、対抗。
アルのキスは、もはや快楽兵器。
なんなら、ふたなりよりも好きという子がいるくらいに、私たちを融かす。
だからこそ、本当に、これだけでいってしまわないように、意思を固める必要がある。
……そして、私は、そのとけやすい一人。
でも、胸に行く気恥ずかしさよりはずっとマシだと。活きこんでみたはいいけれど。
(や、っば……)
意識してないと、すぐに、腰が動く。
キスだけで、アルの子を孕みたいと、メスとしての私が内側から叫ぶ。
「は、ハルカちゃん、ちょっと、交代して」
「わ、わかりました、ムツキ室長」
そして、多分二人も同じ。
三人がかりで、一回いかせて、それだけで私たちは限界近くまで追いやられてる。
「「~~~~~」」
そんな考えを巡らせてる間に、私とムツキは耐えきれなくなって達してしまう。
アルにかわいがられた肉の内側から、とろとろと愛液が零れ落ちる。
表情を見る限り、ハルカも、そう変わらないだろう。
けれど。
(飲んでてよかった……)
私たちがすぐにイくのは、目に見えていたから、少しだけ高かったけれど、そういう薬を三人で回し飲みしておいた。
おかげで、私も、ムツキも、まだまだできる。
「ふふ、普段と違う、ってことね?」
けれど、その様子はアルからも見て取れる。
普段よりも耐えてる私たちを見てやる気満々といったところだろう。
「たまには私も本気を出さないとね……ちょっと休憩したら第二ラウンドにしましょ?」
そういって、喉が渇いたといいながら休憩室から離れるアル。
「くふっ~……。なんとか、第二ラウンド、突入だね」
「正直、ここから何とか出来る未来が見えないけれど」
三人がかりで、精力剤込みとはいえ、私とムツキはいつ堕ちてもおかしくない。
「あ、あの……」
これからの攻めをどうするか、と、私とムツキが作戦を立てようとしているときハルカが手を上げる。
「私たちが飲んだ精力剤、どうしましたっけ……」
「ん?ムツキ、どうだっけ」
「……ぁ。応接室のデスクの上」
沈黙が、私たちの間に流れる。
水道が通じてるコンロはここにあるし、多分外に買いに行こうとした。
そして、私たちは、回し飲みとかは平気でする。
もしダメだったら後で買って返す。なんてことも、少なくはない。
「アル!机の上の飲んだら……!!」
私の叫ぶ声よりも先に、しきりの向こうで、ごくり、と、何かを呑む音が響いた。
「……」
私の声に反応はなく、床を叩くヒールの音が夜のオフィスに響く。
そして、無言のまま、居住スペースに入ってくるアルの、その下半身。
「~~~~~~~」
私が、いや、私たちが悲鳴を上げなかったのは奇跡だろう。
アルのそそり立つそれは、普段のサイズの比ではない。
ミチミチと張っている音が聞こえてきそうになるほどにそれは隆起していた。
「ムツキ、カヨコ、ハルカ」
私たちはただ、名前を呼ばれただけで感じてしまう。
二人も、私も顔を真っ赤にして。
頭の中に浮かぶのは、数分先に自分たちの姿。
「第二ラウンド、始めましょう?」
獣と化したアルに押し倒される私たち。
……次の日、アル以外が一日動けなかったということは。
もはや言うまでもないことであった