何でもなかった1日
ぴゅうっと、強い風が吹いた。
桃色の髪が風に靡いた。
予感を告げる爽やかな風は。
世界をおかしく作り替えた。
殺せ!!粛清せよ!!!
・・・・
あの淫婦に裁きを!!!!
・・・・・
妖婦ハナコを誅伐せよ!!!
走る、走る、とにかく走る。
一瞬の知覚すら許さず、世界は異変に覆われた。
確かに私を蔑むものが居ないわけではないだろう。
敵意を隠し持つものも居るだろう。
だが、今回は明らかに違う。
異常な憎悪が、私の周りを渦巻いていた。
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
原因は何なのか?
憎悪の理由は?解決の糸口は?
逃げ惑った先、角に人がいた。避けられない。
「いったぁ〜☆もぅ、ちゃんと前みて───────」
その言葉は続かなかった。
聖園ミカ。
ティーパーティーパテル分派元代表、現代表代理。
彼女が尻もちをついていた。
止まった途端に乱れる息を整えながら後ろを警戒する。
どうやら撒いたようだ。
「───────へぇー、随分お忙しそうで。」
よっと、と言いつつ立ち上がる聖園ミカ。
息も整わぬままに謝罪をする。
「いいよ、別に。貴女とは違って暇だし。」
どうやら機嫌を損ねたようだが、正直今は全くもってそれどころでは無い。
とりあえず落ち着ける場所を───────「居たぞ!!」
「悪魔、それに淫婦と魔女だ!!!全員殺せ!!!!」
探す暇はなさそうである。
「ねえ、あれってセリナちゃんだよね?」
「ええ、追われてるようですね。」
「魔女ってのは私で、淫婦って多分貴女よね?じゃあ悪魔って」
「セリナさんになりますね」
「どうする?」
「とりあえず撃退しましょうか」
「賛成☆」