体格差尊直2
五話二項目のちっちゃい直義から想起した体格差がすごいたかただ妄想
この話の足利兄弟の直義は頭ひとつぶん、兄より小さい設定
直義はこの時点ではまだ処女。ここまでされて兄弟の戯れだと信じているし、信じていたい
Qなんで温泉宿にきてるの?
A旅行すけべを書きたかったんだよ!
Q時系列は?
A知らん!
湯治で有名な宿である。貴人や金持ちに気持ちよく金を落とさせることに慣れた宿は、育ちのいい足利兄弟にも満足のゆく環境を提供してくれた。
夜の室内にあるのは心許ない小さな灯り。それが照らすのは、開けた障子戸の先にある月を肴に静かに飲むふたりきりの酒の席。
尊氏は機嫌よく口を開く。
「我は酒の味の細かい良し悪しなど分からないが、店の者がいうには今日のこれはとっておきらしい、どうだ直義?」
瓶子を軽く掲げてほがらかに笑う尊氏に、それとは真逆に直義は厳しい眼差しをしていた。嫌味や皮肉のひとつでも返してやろうかと臍をまげかけたが、ぐっと喉の奥でこらえた。酒が美味いのはたしかに事実で、罪はない。上等な酒にたいして、虚勢といえど嘘のひとつでも口にした挙句舌の上で負の言葉と混じり合い濁って味が落ちる気がするのも、勿体ない。
「ええ、美味しいです」
素直に返す直義だが、笑みのひとつもこぼさない。つんと尖った警戒が抜けず、兄弟として以上に家臣として常に立てている主の尊氏に対して、珍しく怒りをあらわにしている。尊氏を前にした私人としての直義はいつも柔和だった。兄を慕い、全身で信頼をしめした態度をとっているが、今は気をゆるした素振りをおくびにもださない。
婆娑羅どもに「姫君のようにお高く止まった態度」と下卑た影口を叩かれる——一方で玲瓏な直義の微笑みが見れるならなんだってするという信者を生み出してもいるが——上品で高慢な面持ちのままである。と同時に、その小柄な体格も相まって拗ねた子猫のように可愛らしさもあった。
彼の上に立つものなど実質誰もいない、この国の天下人たる尊氏にそのような不遜な態度をとって赦されるものなど数少ないが、弟である直義はその少ないひとりであった。それに胡座をかいている自覚は直義にだってある。だが、たまには胡座をかいてもいいではないか、ともおもう。とくに、とんでもなく品のない失言をされて恥をかいたうえに、兄によってとんでもない目にあった今日のような日は。
「それは良かった。おまえのために用意させたんだ。好きなだけ呑んでくれ」
ぐいぐいと不躾ににじり近寄ってくる尊氏に柳眉を顰めて、直義は垂直に立てた掌を突き出し兄の接近を制止する。
「いいえ、遠慮しておきます」
「つれないな」
二人の間を遮るために立てた小さな手に、尊氏がひとまわりおおきい己の掌を重ねておもむろに指をふかく絡めてきたものだから、直義はまばたいた。
直義がいくら怒っていても、尊氏は表向き悪びれているだけでその実まったく反省していないのがそれだけでわかるというものだ。
「兄上!」
おもわずといった体で叱責が飛ぶ。
「せっかく滅多にこれない場にいる今日のような日に、そう、機嫌を悪くしないでくれ、直義。我が悪かった、な、このとおり」
指を絡めた手を恭しく自らのもとによせ、唇を落としてくる。意味の理解できない仕草に直義はまず混乱すればいいのか、怒ればいいのかわからない。
「悪いなどと、これっぽっちもおもっていないのではありませんか?」
目を細めて詰問すると、尊氏は軽く首を振った。直義の手はいまだに囚われたまま、尊氏に弄ばれている。逃げようとしても尊氏が離してくれないので、直義はこればかりは諦めて好きなようにさせた。
「いや、さすがに我ながら酷いことをしたなとおもっている」
——直義は、ここの大きさもかわいいのだな! 義詮の指二本分くらいか?——
露天風呂に四人でたったとき、湯に浸かるために裸になった直義を見て、というか恥ずかしげもなく下半身を注視してまったく悪びれもなく無邪気に言い放ったのである。
付き人がてら一緒に裸になっていた師直と師泰が、酷い形相になりながら直義から顔を逸らし、噴き出すのを全身をつかって堪えていたのを直義は見逃さなかった。いっそ笑い捨ててくれたほうがよかった。直義にたいする優しさが逆にこころの傷を広げ、かつてないほど矜持をぎたぎたに傷つけた。
ちらと見てみれば、兄といい、師直といい、師泰といい、直義と比べるまでもなく股間には立派なものがぶら下がっていた。直義の視線に師泰が哀れみも含めながら申し訳なさそうにそっと股間を隠したのもまた、直義の男としての居た堪れなさに拍車をかけた。
怒りに頭が沸騰した感覚のあと、すぐに何かによってさあっとその温度が下がった。憤怒というのは一周まわると冷静になるものだ。
赤面していた直義はす、と表情を失い、三人と湯に背をむけて無言で脱衣所に戻ろうとした。
尊氏はここで自身の失態にようやく気付き、背後から直義に抱きつき懸命におしとどめた。「私は帰る! 離せ兄上!」とつい幼な子のころのような口調に戻って怒っても、力比べで直義が勝てるわけないので、抵抗も虚しくあっさりと捕縛される。このとき、兄弟二人とも全裸である。「うわ、見たくねえ」と師泰は汚いものでも見たような本音をうっかりこぼしていた。
「直義! 直義! すまん、怒りをおさめてくれ! ほら、反応すれば多少マシになるだろう?」
いかに大器をもつ鷹揚な尊氏とはいえ、彼なりに混乱していたのかもしれない。なにが「ほら」なのか鋭敏な頭脳を持つ直義をもってしてでもわからない。だいたいマシとはなんなんだ、マシとは。と、細かく突っ込みたい部分もあるうえに、そもそもがろくでもない下世話な発想だった。そうして下品な発言にとどまらず、とんでもない行動にでた。
直義の『義詮の指二本分』をそっと掌の中に収めて、先端を刺激して滑らせながら扱きだしたのだ。
「ひぃ、あ、兄上なにを!」
「よしよし、直義の直義を大きくしてやるから!」
尊氏の胸の位置に頭がおさまる小さな弟をがっちりと腕の中にしまいこみ、直義の直義では飽き足らず、薄い胸板の先端にある桃色の突起にも刺激をあたえはじめた。
「やぁっ、どこをさわって、おやめ、おやめください兄上」
驚きによって喉の奥でひっくりかえった高い声があがる。まるで暴漢に襲われて手篭めにされかけている初な生娘だ。細い腕で尊氏の手を必死に引き剥がそうとするが、尊氏の手はびくともしない。
脇の下から通した尊氏の手は、直義の抵抗をまったく受けずにぐりぐりと痛いくらいに乳の先を潰しては摘み、つねったかとおもえば周りの肉ごと揉んでくる。
そうして、急所を抑えた尊氏の手は、直義をこのうえなく追い詰めた。自身やごくごくたまに触らせることもある妻の手とも違う、体温が幾分か高いかさついた大きな手は、なにか大きな生き物に飲み込まれているような恐ろしげな気持ちを直義に味あわせてくる。
この時点で高兄弟は無言で目配せをして頷きあい、完全で完璧な十全で万全な人払いのためという名目の脱出をはかっている。
「ここをさわるとな、気持ちよくなって男の部分も兆す」
ご機嫌伺いのようなあやす甘い声で、尊氏は屈んで囁く。入念に、執拗に、尊氏は直義の乳首を弄んだ。竿や玉と一緒にこねくられると、気持ちいいだろう? なあ、直義。むしろそうなれと促すように吹き込んで、尊氏は薄い桃色から紅く熟れた乳首を指の先で挟んでは撫でるを繰り返す。
「やだ、いやです。離してっ、ください! 兄上!」
「ん、どちらもしっかりと育ったな。もう片方の乳首も気持ちいいことを教えてやらないとな。……このまま出していいぞ、直義」
懸命に訴えるが、尊氏の暴挙は止まらなかった。
頭では嫌がっているのに、若い身体は手管に優れた官能にあっさりと屈した。
直義は尊氏の腕の中で背を張り詰めさせ、腰をがくがくと振るわせると掌の中に欲を吐精した。
兄の手によって欲を促された衝撃で、直義は頭が真っ白になった。目を開けてはいたが呆然となり、ほとんど腰が抜けて、足から崩れおちそうになる。その身体を尊氏は難なく支える。
この時尊氏は、当初の目的ともきっかけともいい難いものすっかりと忘れて、おざなりになってしまったもう片方の胸をいじってもっと直義を可愛がってやるつもりであった。
しかし、
「う……ぐ、ひっく」
もう何年も泣いたことのない直義が泣き出して、それどころではなくなったのである。
風呂につかりながら尊氏は必死に直義をなだめすかし、慰めて平謝りし、直義に拒否されても小姓のごとくせっせと身繕いをして機嫌をうかがい、なんとか真向かいで酒を呑める程度には信用を回復させたのだった。
「直義、悪かった。言いすぎだったし、調子に乗りすぎた」
しゅんとした様子で大きな体で上目遣いをする。絡めていた指は相変わらずなので、説得力には欠けていた、が。結局、兄の愁傷な態度に弱い直義は、もう二度と、絶対に、あのようなことをしないという条件のもとに、尊氏を許したのである。
持ち出した条件に尊氏が玩具を取り上げられた子供のように衝撃を受けて悲しんでいたことに直義は驚いたし、肝が冷えた。再三、念を押しているうちに夜も更け、微妙な空気のままふたりだけの酒宴は終了したのだ。