低重力レスリング

低重力レスリング

ラウダの中の天使弱くない?

世の中のカップルは、頬を染め、息が上がった恋人に馬乗りなられても冷静でいられるのだろうか。いやいられないだろうと天使が言う。その通りだと思った。

「ふふ、レスリングって結構楽しいな!」

俺の勝ち!と誇らしげに馬乗りになって僕を見下ろしているグエルを見上げる。低重力レスリングがしたいと言うからまぁ少しだけならと付き合いだしたのが10分ほど前だが、たかが10分で勝ち負けを決めないで欲しい。何年選手だと思ってるんだ。今の僕の心はかわいいなぁが2割、残りの8割はこいつを泣かせる。だった。負けず嫌いなんだ僕は、だから仕方がないよね。そんな言い訳をしながら腹筋だけで起き上がる。え、とすっとんきょんな声を上げたグエルをそのまま押し倒した。

「お、まだやるか?」

まぁ俺は負けないがな!とイキった顔をしているグエルに、僕も負ける気はないよ、静かに笑みを浮かべた。





足がぴくびくと跳ねる。僕の下で息を荒らげガクガクと体を痙攣させているグエルに、まだ頑張ってと励ますように腰を突き上げた。

「ひゃ、ぁあっ」

可愛い声。ぱちゅん、と水音が響く度にグエルは髪を乱しながら首を振る。ぱさぱさとシーツにぶつかる髪の音を聞きながら、肉壁を抉るように突き上げる。ごりゅごりゅと上側を擦りあげれば、「い゛〜〜ッ……!!」と嬌声を上げながら肉壁がぎゅぅと強く締まった。薄いスキン越しに、己の精を吐き出してはずりゅぅと己を引き抜く。そうして性を吐き出し、使い物にならなくなったスキンを外しては口を縛り、ぐったりとするグエルの横に並べた。

「ら、ぅ…ッ」

はらり、と涙の落ちる頬に舌を這わす。ちゅぅ、と泣きボクロを吸い上げるようにキスをすれば、がくがくとグエルは体を跳ねさせる。

「う、ぁ、ふぅ、~~……」

「かわいい」

口から出た言葉は本心だ。ぐぅ、とグエルの喉が鳴る。かわいくない、と言いたげな口にキスを落としては、萎えることなく反り勃った己にスキンを付け、再びグエルの中を蹂躙した。

「ひ、ぃっ」

すっぽりと収まった己を、グエルの中がむちゅりと包み込む。少し体を仰け反らせながらも、気持ちよさそうにはふ、と息を吐き出す彼女を見下ろしながら、腰を揺らす。あ、あ、と小さな喘ぎ声を出しながら気持ち良さそうに目を閉じている彼女をしっかりとこの目に焼き付ける。どうせならカメラでも持ってこればよかった。こんな可愛い姿なんてあまり見れないんだから、写真に収めてもきっと許されるはずだ。揺らしていた腰を止め、当たりを見渡す。ぴたりと止まった動きにグエルは「え?」と困惑したような声を上げた。

「な、ん…?らう、だ…?」

「少し待って」

「ぅ……?」

汗のせいでピッタリと額に張り付いた前髪を優しくかき分ける。待て、と言われては疑問を抱きながらも、グエルは大人しくするので、それも目に焼き付けながら見つけた端末に手を伸ばした。

「らうだ?」

「ごめんね、写真撮らせて」

「は?」

「1枚だけでいいから」

「あ゛?!」

ぽやぽやで可愛いグエルから、キッと目が吊り上がり凛々しいグエルへと早変わりする。どっちも好きだけど今は可愛いグエルが欲しいかな。なんて考えながら手に持った端末をグエルに見せた。

「まて、まてラウダ!」

「ダメ?写真ぐらいいいでしょ?」

「よくないっ!ダメ!絶対だめだ!」

「誰にも見せないからさ」

「見せる見せないの話じゃなくて!倫理的にダメだろ!戻ってこい冷静で理性的なラウダ!」

「冷静で理性的だけど、今の現状で戻るのは無理かな」

「嘘だろ?!」

嘘ではないが。下で喚くグエルを黙らせるようにぐっと腰を押し付ければ、「あンッ」と声を上げ、そのまま素直に黙ったグエルに頬を緩ませながら、僕は端末のディスプレイを表示させた。

「あ」

目の前に飛び込んできた壁紙は、いつも僕が使っている学園仕様の待ち受けではなく、だらしなく口を半開きにさせ、気持ちよさそうに眠っている僕の寝顔だった。頭が混乱する。おかしい、僕の端末は壁紙を変えた覚えは無いし、何が悲しくて自分の寝顔を自分の端末の壁紙にしなくてはならない。困惑し続ける僕の頭に、一つだけ答えが出てくる。


もしかして、この端末、グエルの。


口元を抑え、目を瞑りながらふー、ふー…と吐息をこぼすグエルに「ねぇ」と声を掛ける。中途半端な快楽を与えられ放置されていたグエルは、気だるげに目を開いてはなんだ?と目線だけで訴えてくる。そんな彼女に僕は端末の壁紙を見せた。

「これ、グエルの?」

目が大きく見開かれる。慌てて伸ばされた手が届かないように端末を持っている手を高く上げ、再び問いかける

「なんで僕の寝顔の写真持ってるの?」

「そ、れはッ」

「寝顔はいいよ、なんで壁紙にしてるの」

腰を揺らす。さっきまで散々倫理的にダメとか言っときながら自分は己の寝顔を壁紙にするとか、どっちがダメなんだ。揺さぶられたことによってグエルの手は直ぐにぺたりと地に落ちる。真っ赤になった顔を、両腕でクロスさせながら隠したグエルに、隠すなと言わんばかりに腰を押し進めた。

「ぁ、う゛ぅ゛~~ッ…!」

「ねぇグエル」

教えてよ、なんでこれを壁紙にしてたの?気持ちよさそうな声だけじゃ分からないよ。急かすように、焦らすようにグエルが好きな場所をずらし、抉る。びくびくと跳ね、自分から好きな所に押し当てようとするグエルの腰を片手で掴んで押し止めながら、甘ったるい声で問い掛けた。ほら、答えないと気持ちよくしてあげないよ?焦らしながらそう教えてやれば、観念したグエルははらはらと涙を流しながら口を開いた

「ぅ、ひぐっ……らうだの、ねがおみたらッ…元気になれる、からッ…かべがみに、してましたッ…」

「……」

はぁ、と深いため息が出る。なんだその可愛い理由は。なんだその、は?かわいい。可愛いしか出てこない。うー、とぐずぐず泣いているグエルを無視して、僕は端末のカメラを起動させた。ぱしゃりと1枚写真を撮れば、グエルは目を見開いてカメラを止めようとした。

「な、にしっ!ばかっばかばかばかっ!とるな!」

「グエルは僕の寝顔を撮ってるのに?僕だけ撮っちゃダメって不平等だと思うんだけど」

「そ、れは」

もごもごと口篭らせるグエルを無視して、再び腰を揺らす。正直もう限界だった。端末を構えながら、融合部分から出る水音に合わせるようにシャッターをきる。

「う、やぁ、あ゛ッ…らう、だっ、あ……ッ」

「っ、はぁ…」

吐く息が甘くなる。締め付けが強くなるほど、グエルの声も高く愛らしいものへと変わっていった。撮るのをやめろと繰り返していた口はいつの間にか「もっと」と強請りだし、カメラを止めようとしていた手はいつの間にか縋るように僕の腕に絡められている。ぶちゅ、ぷぢゅッ、と響く水音と、パシャリと響くシャッター音が僕らを煽る。控えめだったグエルの嬌声が大きくなる。僕の息も荒くなれば、もう止めることは出来なかった。端末をベットに落としては、両手で腰を掴む。がむしゃらに腰を打ち付ければ、その振動のせいで背中を浮かせたグエルが悲鳴を上げる。

「あー、あ゛ーッ!も、いく、い゛くからッ、ぁ゛……ッ!」

「ッ゛……ぼく、もッ…!」

「ぁ、あ、あ゛ッ!ら、うだ、ぁっ!」

下半身に熱が集中する。歯ががちがちと鳴り、汗が滴り落ちる。目の奥がバチバチ光ってもう止まらない。腰がより早く動く。逃げようと必死に体を捩るグエルを固定するようにぎっちりと腰を掴んだ。

「い゛、く、ぁ、ああッ……〜〜〜〜〜ッッッ!!」

「〜〜ッ……!!」

最奥を抉るように突き刺し、スキン越しに熱をはき出す。いつの間にか背中に回された手が、ばりばりと爪を立てる。痛みに顔を顰めるも、それすら気持ちがいい。全ての欲を吐き出しては、深い息を吐く。下を見れば口を開き、虚ろな目でぐだりとシーツの海の中に沈むグエルの姿が見え、少し身を乗り出しながら僕は首にキスをした。じゅぅ、と強く吸い上げては赤い花をひとつ残し、名残惜しそうにうねる中から己を取り出す。鬱陶しく散らばった髪を上げ、スキンを外す。スキンの中で溜まった僕の欲の多さに呆れながら、ぐったりとしたまま動かないグエルに大丈夫?と問い掛けた。

虚ろな目が、ゆっくりと僕の方を向く。それと同時に、あー、と口が開くので、僕はごくりと息を飲みながらスキンの口をグエルに向けた。どろりとした白濁の欲が、グエルの真っ赤な舌に落ちていく。全ての欲を彼女の口の中に注げば、あむり、と口を閉じた彼女はくちゅくちゅと音を立たせながら粘ついているそれを、数回に分けて飲み干していく。ごく、こく、と喉を震わせながら飲み干された僕の欲。グエルは全部飲み干せたことを褒めて欲しいのか、ぱかりと口を開いて白濁の欲がもう無くなってることを見せてくる。僕は素早く、そう、僕は冷静で理性的だったので、そのグエルを写真に収めるのだった。



隣で気持ち良さそうに眠るグエルを、僕の端末のカメラに収める。グエルの端末で撮った写真は全て僕の方に移行させたし、グエルの端末に入ったエッチなグエルは綺麗さっぱり消した。そういう処理も僕は出来る、舐めないで欲しい。

カメラに収められたグエルの寝顔を、人生初、端末の壁紙に設定しながら、僕は彼女の横に寝そべる。ただレスリングをしてたはずなのに、いつの間にかこんなことになるなんてと内心自分の性欲に呆れながらも、こんな幸せな日々が続くことを願うように、そっと彼女の額にキスを落とし、優しく抱きしながら意識を沈ませた。


因みにだが、あの寝顔の写真はグエルが撮ったものでは無いらしい。じゃあ誰かというと……まぁ気ぶった金髪野郎とだけは教えておくとしよう。


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