会談

会談



その場には5つの姿があった。一方にはPMC元理事と150号、もう一方には黒服とヤヨイ、そしてヤヨツーがいた。元理事と150号は仕事の話をする為にやって来た。しかし、対等ではなかった。先に150号のデモンストレーションと言わんばかりの戦闘が始まり、一方的に終わったのだ。ヤヨツーの足を壊し、ヤヨイに銃口を向ける150号。その状態で話し合いが行われた

「いいんだな?」

元理事が口を開く。その声は聞く者に威圧感を与えるものだった。それを目の当たりにしながら黒服は答える

「ええ、あなた方がお金を支払ってくれるのならこちらは情報、兵器の調達は手伝いましょう。ただし—」

黒服は一呼吸置き伝える

「こちらの『アリス』を戦力として貸す事は彼女達の意見を聞いてください」

黒服のその言葉にヤヨイ達は答えた

「お断りします!」「先輩と同じです」

元理事が嘆息する

「大した忠誠心だ。…だが、わざわざそいつ等に聞かずとも貴様の命令だけでいいだろう?なのにわざわざ個々に尋ねさせるなど面倒な真似をさせる」

「当然でしょう。未だヘイローの出ない実験体はともかく彼女達は『個』として覚醒し、パートナーとなっているのです。仕事をするなら彼女等の意思を尊重しなければなりません」

元理事は鼻をフン、と鳴らして立ち上がり、その場を去ろうとする。それに150号が待ったをかけた

「この状況で随分強気だな。交渉などせずに力づくでお前達を従えても良いんだぞ?」

150号の言葉にヤヨイ達が身構える

(どちらもヘイロー持ち。しかし、スペック上どちらも私の脅威にはなり得ない…か)

150号のAIが正確に相手の力量を見抜く。事実、今の状況がそれを表していた

だが

「何だったらソイツを殺してマスター権を——」

その言葉がいけなかった

「ッ!?」

150号が反応した時には既にヤヨイに銃を蹴り飛ばされ、体勢を崩されたところを逆にヤヨイのSGが自分の顔に照準を突きつけられたのだ

「やめなさい。ヤヨイ、ヤヨツー」

黒服からの制止の声がかかる。それによりヤヨツーもまた2丁のHGでこちらに狙いを定めている事に気付いた

「あちらにに殺意は無かったはずです。ただの冗談でしょう」

「例え冗談であろうと許してはいけない言葉はあります!」

まるで先程と別人かのように冷たく恐ろしい目をしたヤヨイはそのまま指に力を入れようとして

「ヤヨイ」

黒服の再度の言葉に渋々といったように従う

「すまんな、ウチのじゃじゃ馬娘が。…ほら帰るぞ150号」

150号の銃を拾った元理事はそのまま部屋を出て行き、150号も追従する。そうして彼等が出て行った扉をヤヨイは睨み続ける

「…さて、ヤヨツーには足の修理を予約しなければなりませんね。料理は…クックック、仕方ありません。今晩は久々に出前でも取りますか」


「高くついたが良い授業だったな」

元理事の言葉に舌打ちする。あの時、一瞬黒服の方を向いたとはいえ銃口を向けている相手にも注意を払っていた。…なのに、反応出来なかった。スペック上では勝っていたのに

「そういうもんだ。いくらデータを取り揃えてもそれを超えてくる奴らはいる。…忌々しいがこれから俺達が相手にする奴らにもな」

元理事の苦々しそうな言葉に思う。ソレこそが強くなるのに私に必要なものなのかと。どうやったら手に入るのかと

「しかし、自分から挑発しておいてあんな無様を晒すとは笑えたな。ハッハッハグボァ」

とりあえず黙らせる為に肘を入れた


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