今のオレ 昔のキミ

今のオレ 昔のキミ

みもワイてぇてぇ

USA「だーかーらぁ!絶対に受けねぇって言ってんだろォ!!」

東郷「いや貴方には必ず受けてもらうわ!この私特製大和男児更生プログラムを!!!」

USA「ヤメロォ!?あんな鬼畜の所業、一回で十分だ!!!」

東郷「小学生の頃の貴方は嬉々として受けていたじゃない!」

USA「………冷静に考えるとなんでアレをまともに受けていられてたんだ昔のオレは?」

東郷「それは勿論、かつての貴方が非の打ち所がない素晴らしい日本男児だったからよ。質実剛健、不撓不屈、完璧な人間ではなかったけれども常に真面目で一生懸命で……だからこそ私は……」

USA「………やっぱ昔のオレのが好み……なのか?須美的には」

東郷「……………え?」

USA「お前の言う通り確かに昔のオレは大した奴だと思う。馬鹿正直で女心のわかんねぇクソボケなところはあったけどそれでも何事にも一生懸命取り組んでた……なによりもお前と正面から向き合えてた」

東郷「ワイくん……」

USA「それと比較しちまったら今のオレに失望するのもまぁ無理はねぇ、ふざけて道化を演じてねぇと罪悪感でお前と向き合えなくなるような情けない男だ……でもな戻りたいとも思えねぇんだ。戻っちまったらまた感情のまま信念のままに何も考えず突っ走って…また取りこぼしちまうかもって思うと……オレは昔のように大和男児として振る舞えない」

東郷「…………」

USA「だからなんだろな、折角"大和魂"が戻って来たってのにこう不完全で中途半端な形になっちまったのは……ワリィな須美…多分オレはもう昔のオレには戻れない、オマエが"あの頃の須美"に戻れないように……その上でオレは聞きたいんだ。オマエが好きなのは……やっぱあの頃の"ボク"を重ねているからなのかって」

東郷「………馬鹿ねワイくん」

USA「バカで悪かったな……だが聞かないとわかんねぇもんはわかんねぇ」

東郷「ーーじゃあ逆に聞くけど、今の東郷美森と昔の鷲尾須美。ワイくんはどっちが好き?」

USA「ンな!?」

東郷「正直に【大和男児】らしく答えなさい」

USA「ッ……ンなもん…………決まってんだろ。美森も須美もどっちも好きだ!どっちか片方じゃねぇ!両方揃ってオレが大好きな東郷で鷲尾なんだよ!!文句あっか!?」

東郷「………………やだ恥ずかしいわ」

USA「煽っといてそれはねぇだろォ!?こっちも恥ずかしくなって来たじゃねーか!!!」

東郷「そうね、今の魂のこもった叫びは大和度100点を与えても文句はないわ」

USA「大和度ってなんだよ……つうか百点もくれるんだな意外だ」

東郷「因みにかつてのワイくんなら500点は優に超えてるわね」

USA「アッハイ」

東郷「………でも」

USA「ん?」

東郷「私は今のワイくんに失望もしてなければ情けない男なんて思わないわ」

USA「………え?」

東郷「初めてUSAとしての貴方に出会った時はそれはもう不倶戴天の敵と思ったわ。この四国の地に居てはならない悪魔に魂を売り渡した鬼畜米英だと認識していたわ」

USA「覚悟の上ではあったがひでぇ」

東郷「でもその認識は半分誤りだった。共に戦い、ぶつかり合って行くうちに本当の貴方は誰かの為に一生懸命になれる優しい人だと知った。米国文化を広めようとしたり、友奈ちゃんにいやらしい目を向けていたのは許せなかったし満開の代償や過去の私の事を黙っていたりしていたのは辛かったけど」

USA「…………本当にすまんかった」

東郷「……でもねそれが辛かったのは貴方も同じでしょ?ずっとずっと貴方は苦しんでいた筈なのに、本当は私の前に立つ事すら苦痛だった筈なのに、それでも貴方は戦い抜いた。罪悪感も恐怖も全部背負って私やみんなの為に戦い守り抜いてくれた……そんな心の強い人が情けない人だなんて思わない。"あの頃"と同じように誰かの為に一生懸命になれるワイくんに失望なんてしない」

USA「須美……!」

東郷「変わってしまったものはあるし、もう戻らないものもある、けれども変わらないものも確かにある。ワイくんも私に言ってくれたでしょ?『笑顔のキミはあの時から何も変わっていない』って今なら私にも分かるわ。確かにあの頃と比べたら大和男児らしさは薄まってしまったかもしれない。でも誰かの為に頑張ろうとするその姿勢は昔のワイくんと何にも変わらないわ……それと……」

USA「…………?それと…なんだ?」

東郷「………昔の大和男児なワイくんを好いているのは事実よ」

USA「…やはりそう「でもね!!!」」

東郷「でもね……ストレートな物言いをする癖に肝心な所でヘタレたりクソボケになっていた昔のワイくんよりも今のちゃんと好きだって言ってくれるワイくんの方も……その…………すき……です」

USA「…………………………………」

東郷「な、何か言ったらどうなのよ!」

USA「あぁ〜〜〜〜〜もぉ〜〜〜〜〜〜カワイイが過ぎるぞ!!!須美!!!」

東郷「そ、そんないきなり可愛いだなんて……恥ずかしい」

USA「今の言い分が事実なら内心ずっと喜んでいたって事なんだろ!?これをカワイイと言わずして何がカワイイだよオイ!だぁあああもう好きだ!好きだよ!!!オマエのッ!!全てがッ!!!大ッッッッッ好きだぁあああああああああああ!!!!!」

東郷「…………きゅう」バタンッ

USA「…あぁ感情がOverFlow起こしてぶっ倒れやがった……なんだコイツカワイイ反応しか出来ねぇのか」

東郷「」スクッ

USA「うおっもう復活した」

東郷「……ワイくん」

USA「……ハイ」

東郷「私も貴方のことが好きです」

USA「知ってる」

東郷「好きな人のお願い事ってなんでも叶えたくなると思わない?」

USA「………そうだな、叶えられる範囲でならなんでも………あっ」

東郷「言ったわね?」

USA「ちょっと待て須美、それは大和撫子的にどうなんだ卑怯もいいところじゃ」

東郷「……男に二言があるの?」

USA「ぐっ!」

東郷「好きだと言ったのは全部嘘だったの?」

USA「……………さっきも言ったけど元に戻れると「問題ないわ、"あの頃"のワイくんに戻る必要はないの」……え?」

東郷「そう……今のワイくんのまま全く新しい大和男児として生まれ変わればいいのよ!!!」

USA「……oh……そう来たか」

東郷「さて準備はいい?"私のことが好きで好きで堪らないワイくん"?」

USA「………上等だよ、だったらこっちはどこに出しても文句の付け所がないUSA脳にしてやるよ!そのまま小っ恥ずかしいアメスク着せてやるぜェ!覚悟はいいか?"気絶するくらいオレの事が大好きな須美ィ"!」

東郷「……言動が完全に変態のそれね」

USA「盗撮と不法侵入の常習犯にだけは言われたくねェ!!!」

東郷「ふふっ……ねぇワイくん」

USA「……なんだよ」

東郷「ありがとう。『私』と【わたし】を好きになってくれて」

USA「……礼を言うのはオレの方だよ。『オレ』と【ボク】の隣に居てくれて」

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