人生2周目の高家に生まれた直義妄想続き
生後1か月ほどで、赤ん坊直義の目がはっきりと見えるようになり、師直三兄弟を初めてちゃんと視認した。
(師泰も重茂もまだ部屋住なので、なんだかんだ毎日顔を出してる)
「ふしゃーっ!」
(…威嚇されている)
「ふしゃーっ!ふしゃーっ!」
茶トラのキトンブルーのふわふわ産毛の仔猫が、師直を見て震えながら精一杯の威嚇をしている。
メチャクチャ怖くない。めっちゃ愛しい、可愛い。なんだこの生き物。可愛さに限度がないぞ。
師直、精一杯の威嚇をしてギャン泣きしている直義を無表情で凝視。
「ふしゃーっ、っ…しゃっー!」
「…兄者、なんか威嚇されてねぇか?」
「ふしゃーっ!ふしゃー!ふしゃー!」
覗き込んできた師泰を見つけてさらに激しく威嚇。
ふわふわ仔猫のぷるぷる震えながらの威嚇、全然怖くない。寧ろ愛しい。守りたい、全力で。
師直、師泰、無表情で固まって凝視。恐怖しかない圧迫の絵面。
顔を真っ赤にしてギャン泣きしてる直義を嫁が「あーあー」と呆れるように師直、師泰をチラ見して抱っこしてあやす。
「ぴゃあ…んみゃあ、ぴゃあ」
「おーよしよし。アンタのお父上と叔父上は怖いねー、ホント」
嫁の腕の中であやされて、赤ん坊直義がなんとか落ち着いてふにゃふにゃと両手を動かしている。
「アンタら顔が怖すぎるんだよ。ったく、もうちょっと愛嬌のある感じにできないのかね。これじゃお父上に懐くまで大変だ」
「…愛嬌」
必死で笑みを浮かべてみるもニタァってなって、どう見ても捕食者の嗜虐の笑顔。
赤ん坊が見てなくてよかったと嫁げんなり。
「お、俺の事も怖いかなあ」
兄者達に比べればそんな強面ではないけど。
師直、師泰より後ろに控えてた重茂がおずおずと見を乗り出して赤ん坊直義の近くに行く。
「… あぅ、あー、ぴゃ?」
赤ん坊直義、重茂を怖がらず(師直、師泰が怖過ぎたので多少麻痺してる)重茂を見て手を伸ばす。
「わぁ、可愛いな、こんなに顔の整った赤子は見た事ないなあ。ちっちゃい手だな、可愛い」
怖がらない赤ん坊直義に浮かれてにこにこしながら、伸ばされた直義の手のひらに指を差し出してみる、と、きゅっと握り締めてくる。
「っわ、指握った!かわい…い…」
なんでお前だけ…!!後ろからの無言の圧がゴゴゴゴ…と重茂を襲う。
その圧力の恐怖に赤ん坊直義がまたギャン泣き
「アンタらもう出て行きな!赤ん坊に泣かれないようになってから来い!」
三人纏めて嫁に追い出された。
「どうすれば良いのだ、頭に風車でも飾れば良いのか」
「兄者なに言ってんだ。なに受信した?」
落ち込み悩む師直に師泰が突っ込む。
(…こ、殺されなくてよかった〜)
ジリジリと距離をとって重茂は逃げた。
どう頑張っても兄上に見つかってしまわれちゃうエンドしか想像がつかなくてこまってるんです。
見つけたら最後、お手つきされて丁寧にしまわれちゃう。
とりあえず私がほのぼの出来るとこだけ妄想してます。