人の恋路を邪魔するつもりはないけどbyえりか
本人は断じてそんな事はないと否定するが、花咲つぼみは面食いである。
彼女の祖父の姿を真似たコッペ様や明堂院いつきといったイケメン(?)に恋心を芽生えさせてはその正体に撃沈してきた過去があった。
それを彼女のお隣さんであり親友、そして共にプリキュアに変身して砂漠の使徒達と戦ってきた来海えりかは今の状況をこう語る。
「まあ、そうなるよね…」
事の顛末はこうだ、つぼみとえりか、おいしーなタウンに遊びに来た2人は家の都合等で来れなかったいつきとゆりにお土産を買っていこうとした。
そこでつぼみがはぐれてしまい、目的の店が分からずに道行く人に訪ねようとしたのだが、その相手が拓海だったのである。えりかが目を離した時の行動であり、すぐに合流出来て良かったとえりかは安堵したが、その光景を見てここは隠れていた方が面白そうだったので少し距離を取る事を選んだ。
「拓海のやつ、また女の子からアプローチを受けているのか…ってえりか先輩じゃないか、もしかして拓海と一緒にいるのはつぼみ先輩か?折角来るなら案内したのに」
「えーっと…華彩あまねさん…でしたっけ?」
「ああ。プリキュアの先輩に覚えてもらえるとは光栄だな」
「トロピカる部からお噂はかねがね…あの、先輩は恥ずいんで辞めて貰えませんかね…?普通に呼び捨てでいいっしゅ」
「私は別に構わないけどな」
「あたしが調子狂うの!」
物陰に隠れて様子を伺う2人。だが、えりかの観察眼がつぼみの異変を見抜いた。
つぼみが頬を赤く染めている。
堪忍袋の緒が切れました!のお決まりのセリフで激昂に定評のあるつぼみだが、その表情はいつものそれとは違って表情が強ばり、羞恥で目を逸らしてはいるがなんとか拓海と目線を合わせようとちらちらと頑張っているように見える。拓海が心配そうに様子を伺っているが、完全に逆効果だ。
「あちゃーこりゃ完全に意識しちゃってますわ」
「全く罪深い男だな、ほぼ初対面の相手を惚れさせるとは」
「いやアレはうちのつぼみが惚れっぽいだけですよ」
「まあ品田もラブレター貰う位にはモテるからな」
「やっぱり。料理も気遣いも出来るとなればそりゃ女子からも人気出るでしょ」
「まあ肝心の本人は…おや」
頭から蒸気を放ち、緊張のあまり自分でも何を言っているのか分からない様子で一方的に捲し立てるつぼみ。えりか達からは何を言ってるのかは分からないが、拓海が動揺してる辺り何か後で気づいたらあまりの恥ずかしさにベッドから出られなくなる位の事は言っているだろう。えりかはそう確信していた。
その後、学校にて
「」ぽぇ〜
「もしかして拓海先輩の事考えてるの?授業中上の空になる位なら連絡先交換しちゃえば良かったのに」
「そ、そんなナンパみたいな事恥ずかしくて出来ませんよ〜!って!もしかしてえりかあの時陰から覗いてたんですか!?」
「だってつぼみが久し振りに恋する乙女の顔してたからつい」
「もぉ〜!」
「因みにあまねさんもその時一緒にいたわよ。なんか怪しい笑みを浮かべてたけど」
「怪しい笑み、ですか?」
「つぼみ先輩か…さて、これからが楽しみだな。先輩にもシェアする喜びを感じてもらわなければ、ふふふ…」