京楽紅衣 俺はなぜ服を...?
紅衣・メメのスレ主「滅却師のユーハバッハ殿とお見受けする どうか止まって話を聞いていただけないだろうか!」
俺は京楽 紅衣 護廷十三隊に所属する隊士で死神である。まだ服は着ている。
そんな俺が道中馬に乗って駆けているユーハバッハとその部下たちの進む先に突っ立っているわけだが...相手側は混乱もなくゆっくりと止まってくれた。
『死神であるお前が我らに何の用だ』
用というのは単純だ。俺はどうにかして死神と滅却師の衝突を回避しどちらかが滅ぶような真似が起きてほしくなかった...だが努力むなしくあれよあれよという間に既に小競り合いが起きている
ならばたとえ叩き切られようと向こうの御上にでも頼み込んでみるかと思った次第である。
「...滅却師と死神が手を取り合う未来は無いのでしょうか」
『私は争いを好まぬ...だがこれらの争いは避けられぬものなのだ。』
だが結果はダメだったし、ただ悪戯に命を危険にさらして敵の前に出ただけだったが。
『お前のその慈しむ心と勇気に免じてこの場は逃がす よいな』
他の部下に目を向けて制するユーハバッハを見て俺はただ帰るしかなかった
この後こっぴどく十字斎には怒られた。人に向ける火力じゃねぇよあれ
滅却師との戦争が激化し互いにすりつぶすような戦いが繰り広げられる中で俺は告白した
「俺と裸の付き合いをしませんか お嬢さん!戦いとかどうにか止めてさぁ!」
俺は半裸で見繕ってきた花をもって適当に美人なお姉さんに告白した

『お気持ちは純粋に嬉しいですが...この身は陛下の御身に捧げておりますので。御容赦を』
「まぁそうですよねぇ!」
成功するわけがないのは自分でもわかっていたがワンチャン突破口にならないかともう総当たり的にやれることをやっていた。このナンパもそのうちの一つである。
「あっそうだ。ユーハバッハを倒せば捧げる先がなくなって行けるのでは?」
思い立ったが吉日、霊圧は掴んでいるのでさっさと戦いに向かおう。
『お前のそれは勇気ではない。蛮勇や匹夫の勇というのだ』
ユーハバッハと相対し、案の定サクッと倒された...やけっぱちで勝てる相手ではないのだから。
十字際にはもう頭のハゲが3年分進行しそうなくらい怒られた...ただ心配をかけるだけで俺は何もできなかった。
そうして戦いが終わり腐っていた俺に家族から家に戻ってくるようにと連絡が入った。元より俺は京楽家の五男の道楽息子であり「働いて来い」と護廷に突っ込まれたうつけものだった。
護廷に入って俺は...ただ何を殺すのもいやだった。虚とだって滅却師とだって死神とだって仲良くしていたいと思った。時には辻斬りをする卯の花隊長に食って掛かり果し合いを行い服をどうにか斬って木っ端みじんにしたこともあった。
だがこのままの思想ではいつか虚にでも騙されて死ぬと兄弟の三男を筆頭に俺を連れ戻したのだ。
『紅衣はやさしいし優秀だから務める先はいくらでもあるはずさ』
そう言う三男を尻目に俺は十字斎と卯の花、そして護廷十三隊に別れを告げた。斬魄刀は護身のためとなぜか携帯を許可してくれた。
俺はその後貴族としての礼節を学ぶ教室を立ち上げてかなりの人気を集めることになった。まぁたまに半裸で刀の鍛錬をしているのを見られて生徒の親にクレームを入れれられることもあったが実に順風満帆であった。
「わざわざ俺に付き合って刀を振らなくてもいいんだぞ"時灘"くん...しかも半裸で」
『おや?先生も半裸だというのに私だけ咎めるのはどうかと思いますが』
口は悪いが大体そつなくこなす時灘を筆頭に良い子ばかりな生徒たちである
『先生...教科書のこの辺りが分からなくて後でお時間を取らせてもらっても良いでしょうか?』
「あぁわかったよ しおりちゃん すまない時灘くん今日はこの辺で」
特に問題はなく時間が過ぎていた はずだった。
お俺は何者かに騙され全裸にさせられ街に放られた...挙句に弁護士も呼べない
そして一番訳が分からなかったのは俺の罪状が「無間行き」だったことだ。
結果だけ記そう。この事件を企てていたのは二男と四男だった。教室が上手くいった俺が力を持ち序列が変わる前に手を打とうと部下に進言されてやったらしい。だがあくまでそれは全裸で放って弁護士を呼べない状態にして軽い罰を受けさせるだけだったらしい。
しかし現実では「無間行き」と決まり二人とも混乱したらしい。挙句の果ては自分たちで俺の罪状を軽くしようとする始末である。
俺は血を分けた兄弟に裏切られたのがショックだった 何も考えられなかった だが死にたくはないので兄弟が部下に教唆してやらせたことだと推理したことは喋った。
二人は蛆虫の巣へと連行された、連行される中で俺とすれ違った時に
『騙してしまったことを悔いている...そして無間へとお前を送ろうとした奴は俺たちには見つけられなかった。残りの兄弟を頼れ あの二人はお前を騙してなどいない』
そう言っていつも見ていたやさしい兄としての言葉を掛けてくれた。
もう俺は何も考えずにただそれを聞き流していた。
教室に戻った かなり一年かそれに満たない程度か牢に入れられていたので随分久しぶりであった。
...しおりちゃんが居た。教室の中に無断で立ち入ってたようだ
『実は先生に報告があるんです!』
腕には赤子が抱えられておりしおりちゃんは満面の笑みだった。
『私と"先生"との子供です!先生に似てちょっと中性的ですね!』
訳が分からないことをのたまうしおりちゃんだったが 俺の記憶と知能がそれを肯定した
おそらくしおりちゃんは俺を薬物などで昏睡させて...いやなにか能力で眠らせたのだろう。
後日、京楽家はしおりちゃんに対して裁判を起こそうとしていたが俺が止めた。もうこれ以上俺のせいで誰かを引っ掻き回したくなどないし、生徒であるしおりちゃんの未来を奪いたくなかったからだ。
憔悴しきった俺に長男と三男が何かを抱えて俺の元へ来た。死神装束と斬魄刀だった。
『お前は護廷へと戻れ これまでのいざこざは俺らがどうにかしてやる』
『総隊長さんや卯の花さんにも話は通しているから大丈夫だよ紅衣』
ふたりは持ってきたものを渡してやさしく抱きしめてくれた
俺はふらふらと死神へと舞い戻った だが兄たちのくれた装束を着ることは出来なかった。
俺はもう貴族は信用できない 仮にそれが同じ京楽家の者であっても。
俺は全裸になった。貴族としての、死神としての、教師としての身を捨てたのだから。