交流会前の一幕
東京都内某所
七海健人は先日まで従事していた任務の顚末を五条悟に報告していた。
映画館での変死体の発見から始まり、宿儺の指の回収、特級呪霊との戦闘にまで発展した今回の任務は一件落着とは言えない結末だった。
「呪霊を取り逃がしたことだけが心残りですね」
「いや、良いよ。触られたら一発KOな呪霊相手に二人共無事だっただけで十分な成果だ」
「いえ。……貴方でしたら祓えたでしょうね」
「ふふん、まあ僕、最強だからね」
「……それか、黒川さんでも」
「あー、まあ、あいつならな」
「お元気なんですか?」
「任務であちこち飛び回ってるよ」
「あの人は真面目ですからね」
「それ、誰と比べて言ってる〜?」
「特に他意はありませんが。」
七海は珍しく五条に対して嘲笑を浮かべた。それに釣られて五条も意地悪な笑みを七海へ向ける。
「ところで、悠仁の調子はどうだった?」
「……相当堪えていたようでした。けれど、何とか気持ちの整理はできたようです」
七海は少しだけ眉間に皺を寄せてため息を吐くと、すぐにいつもの表情に戻り話題を変えた。
「じきに交流会でしょう?戻すんですか、彼。」
「まあね、いつまでも匿ってはおけないでしょ。」
「そうですか」
話が一区切りし、部屋に沈黙が流れる。
しかし、それを遮るように駆けてくる足音が聞こえ、すぐに扉が開かれた。
「あ、五条先生!来てたんだ。」
「久しぶり〜!悠二。」
虎杖は明るい声色とそれに釣り合う笑顔で室内に入り、ソファに腰かける。
「交流会のこと聞いた?」
「うん!……あのさ、俺出たいんだけど……ダメかな?」
虎杖は膝に肘をついて、両手を組みながら上目遣いで問いかけた。それに対し五条は即答する。
「もちろん良いよ!」
「……っだあぁー!だよな。って良いの?」
「元から誤魔化しとくのも交流会までって決めてたからね!でもただ参加するのは面白くない。やるでしょ!サプライズ!!」