亡骸マウンテン!

亡骸マウンテン!



 視点主が結構変わります。ワンピースあまり書かないのですが、亡骸マウンテンの概念好きすぎて衝動書きさせて頂きました。


前書き(心配性なので…お読み頂かなくてもss自体に支障は全くございません。)

 掲示板初心者が書いております。間違い、失礼等あったら誠に申し訳ございません。

 後…自分記憶力がカスでして…一応全てのスレッド読ませていただいたのですが、解釈違いあったら申し訳ございません…

 その他失礼がありましたら申し訳ございません。自分が書きたくて、一応…と思って上げさせて(?)頂いただけです。誰かを傷つける意図は全くございません。



正史ロー視点



“もしもの世界”そんなものがあるという。並列した、決して交わることの無い、世界。


——古代兵器、“ヘルメス”


その、決して交わることのないはずだった世界を、唯一交わらせる事ができるモノ。

そんなものがあったから。この物語は始まった。




(…酷い傷だったが。)

随分、良くなった。さすがに、この短期間で傷跡全てを消し去る事はできなかったが、浅い傷の入ったアキレス腱は治り、走る事はできずとも、普通に歩くことには申し分無くなっていた。心臓に入った忌々しい刺繍も取り除くことができ、コイツの心の負担も随分軽くなったように見えた。

“もうひとつの世界の”俺がこの世界に来た頃は、とても酷かった…いや、やめておこう。言葉にするのも憚られる。


まァ、とにかく、だ。今のコイツは、服も自分で選べるし、歩ける。唯一の懸念は“もうひとつの世界の”ドフラミンゴだが、俺たちなら、負けねェ。

“もうひとつの世界”を無茶苦茶にして、麦わら屋達も、コイツの事も、コイツのクルーも、安眠の為のはずだった世界でさえ。

踏みにじり、“もうひとつの世界の”俺のトラウマに変えた、ドフラミンゴを許さねェ。そんな奴に、“俺”を奪わせてたまるか。

だから絶対に、負けるわけが無い。負けていいわけが無い。




「街へ買い物に…1人で、か。何をしに?何故1人でなんだ?」


「理由としては、慣れるため、だな。本屋にでも行って、少し医術書と、新聞でも買って帰って来ようと思う。

それに、確か、今日、買い出しにイッカクとシャチが行くだろ?だから、その…もしもの事があればイッカクかシャチに連絡位はするし。」


「“もしも”じゃなくても一報は入れろ。そもそも、だ、そんな考えするんじゃねェ。

まァ…ここならいいだろ。島の規模も小せェ。慣れ、ってのはここのポーラータングにずっと居る気はねェからだろ?」

—せっかくなら、この本も買ってきてくれよ。


「!あぁ。ありがてぇ。」

—本当に、ありがてぇ。


普段、俺が着ねェような、だがどこかたまに着るなら悪くねェなと思える服を着たもう1人の俺が、イッカク,シャチと少し時間をずらして出ていく。1人で。


「行ってくる。」

「あァ。」




(独特な笑い声)…これが最後の会話になるとも知らずに…やはり、お前は俺の隣に居るのがイチバンじゃねェか。


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ifローさん視点



「あっ…ローさーん!!今着いたんっすか?」

「ローさん…!こんにちは。今日は絶好の放浪日和ね!」

「あぁ……あぁ。本当に。そうだな、シャチ、イッカク。」


ここは、あんなおぞましい世界ではない。

俺が殺してしまったはずのクルーは生きていて。

俺が殺してしまったはずの同盟相手も生きていて。

“俺”は恩人の本懐を遂げていて。

なんなら、同盟相手…麦わら屋はカイドウを、“俺”はユースタス屋とビックマムを倒しているらしい。

あの日、ド、フィ…が、ドフラミンゴ、が、アイツが、持ってきた“ヘルメス”と言う古代兵器。それは並行する世界を、移動できるものらしい。

仲間の生存、同盟相手の生存。それを願った先にたどり着いたこの世界。この世界は、可笑しいくらいに何もかもが上手くいっていて。

最初は、何故こんな世界に来てしまったのか、俺はここに居ちゃいけないとばかり思っていた。

が、この世界の“俺”は、俺の事をちゃんとみてくれた。


身体だけでなく、心も。


最近、ようやく自信が戻ってきたような気がする。自信、と言うには粗末なものかもしれないが、服を選べるようになった。外に出られるようになった。メシを食えるようになった。

流石に走れはしないが、満足に歩けるようにはなった。


「じゃあ、私達はこっちで買い出ししてくるわね。ローさん。」

「今が昼頃なんで、また夕方頃にここで落ち合う、ってのはどうすか?一緒に帰りましょうよ!」

「あぁ。またな。」



さて、この街の本屋はどこだろうか。


あの、シャチ達と落ち合うと決めた大通近くには、本屋はねぇらしい。島が小さく、街も小さいから、と言うのが俺が1人で出かける事を許可できる、大きな理由だったようだが…まぁ、そこまで離れてはいない。このくらいならいいだろう。


「ン?おやまぁ…珍しいねぇ…こんな寂れた本屋に、なにか御用かい?ボク。」


島民の情報を頼りに進むと、大通に繋がっている林道が見え、少し進むと、見晴らしのいい所にある、本屋に着いた。

優しそうな老婆が出迎える。やっぱり、俺は幼く見えるのか…


「新聞と医学書ね…ごめんなさいね、医学書ならこの3冊、ならあるけれど…新聞は大通の街の、そうね、雑貨屋さんになら言ってると思うわ。」

「それと、この本ね、ふふ。“白銀の町と夕日のお話”…?可愛い絵本ね、弟さんにでもあげるの?」


「あぁ…あぁ、その童話は、凄く、深い話だからな。」


——一瞬、老婆の顔が歪んだ気がした。


「唯一、故郷の真実を語っているように見えるからか?」


低い声が響く。背中越しに、おぞましい気配を感じる。足が震える、立っていられない。立っていられない?


「ッROOM!!!」

「オイ、いいのか?」

糸が中を舞い、風を切る音がする。

あの優しそうな老婆はどこへ行った?俺を縛るこの糸は、どこから出てきた…?


ま、さか。


「フッフッフッ…まァ、聞け。お前に話したい事が沢山あるんだ。」


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イッカク,シャチside。正史ロー視点。


「すんません、キャプテン…夕方にはここで落ち合おうって、ローさんと約束はしたんすけど…」


「ごめんなさい、キャプテン。」


「お前らを責めてどうにかなる事じゃねェ。それに、お前らに非がない事くらい、俺もアイツも分かっている。」

(だが…ッチ…嫌な予感がするな…大体、本屋はどこにあるんだ…!!)



連絡がねぇから来てみたら、アイツが1人で出かけた昼頃から、シャチ達とは1度も会っていないらしい。

本当に、嫌な予感がする。そう思った瞬間。

青い、半透明のドームが広がる。

あぁクソッ…!どうしてこんな時は“嫌な予感”がよく当たるんだ…!!


「う、そだろ…?」

「ロー、さん…!!」

「山の方か。行くぞ。」


ROOM…シャンブルズ…!!


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数刻前。ifローさん視点の続き。


話したい事が沢山ある。


そう言ったピンクの怪鳥は、まず、老婆の死体を見せた。

お前が本屋に来る事を知って、と。

ローに接待をしたのは怪鳥が作った糸人形だったようだ。

怪鳥は、こうも言った。新聞を売っている雑貨屋は、この老婆の孫だと、両親は死んでいて、老婆が1人で育てた孫娘が、やっと叶えた雑貨屋だったらしい、と。

お前が、本屋に行こうとしなければ、孫娘は悲しまずに済んだかもしれねェなァ、と。


次に、どこからともなく、大量の“トラファルガー・ロー”を出した。

いや、正確には、“トラファルガー・ロー”を模した奴隷のようだ。


ローの口から、は、と息が漏れる。

命に対するこれ以上ない程の侮辱。ローの口から漏れる、それに対する絶叫。

それも虚しく、怪鳥は嗤う。お前のせいだ、と。

お前が。お前が俺の元を離れたせいで。あんな奴らの生を、ただ願ったせいで、と。


トラファルガー・ローは、医者だ。そして、愛を尊ぶ人間だ。

だから、「もうやめてくれ。ドフィのモノになるから」と。それが、俺のせいで死んだ者への悼みに、薬に、なるならば、と。そう思ってしまう。


怪鳥は咲う。楽しそうに、嬉しそうに。望んだモノを手に入れた子供のように。


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正史ロー視点

ROOM…シャンブルズ…!!


どこだ…!!本屋はどこにある…!!

ドームの中心辺りに飛んできたが、どこを見ようが木々が生い茂るだけ。アイツは何故こんな所まで来たんだ、と、どうして行かせてしまったんだ、と。

何が負けねェだ。何が許さねェだ。俺が近くに居るって大前提ができてなかったら、何も意味がねェじゃねェか…!!


けもの道には行かないだろう。と、人が通れる道を探す。少しでも、開けている方向に、しらみ潰しに走る。


「キャプテンッ!!こっちに道がありますッ!」

「…!?イッカク、お前、置いてきたはずじゃ…!!」

「街の人に道を聞いたんです、本屋はこの林道を通った先だって、シャチが先に向かっています!!」

「助かった、行くぞイッカク…!」


茂みの中から、街に置いてきたはずのイッカクが俺を見つけた。クルーの安全も考えずに、1人で先走った自分に嫌気がさす。焦りで少しでも我を忘れた自分が情けない。

…俺のクルーは、こんな時でも、冷静に自分なりの行動ができる。本当に、いいクルーに恵まれた。

アイツも、そうだったはずなのに…!ドフラミンゴはそれを踏みにじった。許せねェのに…!!アイツを、1人にしてしまった…!!


イッカクが街の人に聞いた林道をひた走る。暫くすると、海が見える見晴らしのいい高台に、寂れた小さな本屋が見えてくる。

本当にこぢんまりとしている。


だが、窓からは、血が見えている。

ドアの前に、シャチが腰を抜かしている。

「ッシャチ…!!」アイツは…!!


「ヒッ…何……これ…キャプテン、みたいな…」

もう、わかっていた。間に合わなかったのだと。負けないと、許さないと豪語した癖に、こんなにも簡単に、アイツの世界のドフラミンゴを視認すらできずにアイツとドフラミンゴを会わせてしまうなんて。

悔しさだけだった。己の未熟さが、ただ悔しくて。だが…目の前に広がる血の、死体の海を見た時、そんなものは吹っ飛んだ。


黒髪で、右腕がない。“トラファルガー・ロー”のような何か。足裏が削れている者もあれば、喉を潰されているように見える者もある。


そうだったなァ…!!アイツはこんな奴だった。どうしようもねェな…!許さねェ、アイツを易々と攫わせた俺のことも、アイツの事も、赦さねェ。

ただ、後悔に溺れ、焦り、周りが見えなくなっていた俺を、“怒り”と言う“狂気”で目を覚ましてくれた事にだけは感謝しよう…!!


俺が必ず、アイツを、“俺”を助けてやる…!


「悪い、少し焦って、我を忘れていた。もう、見るな。

ポーラータングに帰ろう。ヘルメスは、ニコ屋に話でもすりゃ、探すのに協力してくれるだろ。古代兵器だ、壊れている可能性があるかもしれねェ。修理はロボ屋に頼む。ドレスローザの因縁だ、麦わら屋達と同盟を組み直す。

アイツを、“もう1人の俺”を取り戻し、“もう1人のドフラミンゴ”を倒すぞ。」







後書き。

最後の方…疲れが見える文章だなぁ…って感じになってしまいました…申し訳ございません…

“白銀の町と夕日のお話”は完全創作でございます…()なんとなく、白銀→フレバンス、夕日→赤→血って言う連想で、そういう絵本があったらなぁ…って思いながら書いたのですが…どっかでこういう設定見たな…?って気もしてしまったので、もしパクってしまってたら本当に申し訳ございません…!!!

誰か様の作品を穢す意図はございません。

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