二人の夜更け

二人の夜更け

モテパニ作者

それは品田家が晩御飯を食べ終えたあたりのこと。

みなみがこの場にいるかは本人の予定によってまちまちだが、今日はこの場にいる。

ダークドリーム「今日面白い番組やってないなー」

そんな中テレビの前でダークドリームがチャンネルを変え続けていた。

拓海「どれでもいいんじゃないか?」

ダークドリーム「どれも同じくらい微妙だから迷ってるのよ」

品田家のチャンネル権を握るダークドリームはまだまだチャンネルを変える。

みなみ「(そういえば今ってどんなテレビやってるのかしら)」

ここ最近忙しくてテレビを観ていなかったので気になりテレビの方を見てみる。

すると運悪く…

『キャァァァ!』

心霊番組の、しかもまさに怖いシーンが流れてしまっていたのだ。

みなみ「きゃぁぁぁ!」

あん「みなみちゃん!?」

ダークドリーム「え!なに!?」

拓海「とりあえずテレビ消せ!」

ダークドリーム「あ、うん」

慌ててテレビを消すダークドリーム。

悲鳴を上げた後震えているみなみに寄り添う。

拓海「みなみはひょっとして怖いの苦手なのか?」

みなみ「ご、ごめんなさい…昔少しあって…」

ダークドリーム「…」ソソソ

拓海「なんで距離とってんだお前?」

ダークドリーム「え?おばけとかダメなら私も気を遣った方がいいかなって」

拓海「ややこしくなるから早くこっち来い」

そうして三人はなんとかみなみを宥めるのだった。

〜〜〜

そしてその深夜のこと。

みなみはあれからなんとか落ち着いたものの一人でいるとふと猛烈な心細さを感じた。

思えば今までの人生でここまで"一人"を感じる環境は無かった。

実家では当然家族がいたし、学生寮では共同生活する他の学生がいたしそもそも二人部屋だった。

しかし今は他の宿泊客はさして交友は無いし、普段よくしてもらってる品田家もあくまで大家と店子だ。

ある程度自立していたつもりでも、こういう時の乗り越え方を自分は…

コンッコンッコンッ

みなみ「ひっ…!」

すると次の瞬間扉からノックの音が聞こえた。

こんな夜更けにいきなりノックが聞こえてはみなみでなくとも怖い。

ダークドリーム『みなみーいいー?』

みなみ「え…?ダークドリーム?」

聞こえてきたのはダークドリームの声、開けてみれば実は幽霊ということもなくダークドリームが入ってきた。

みなみ「どうしたの?」

ダークドリーム「寝れないからお話しましょ。あ、拓海とあんには秘密にしてね、怒られるから」

みなみ「あ…」

みなみは察する。ダークドリームは自分を案じてこうして来てくれたのだと。

みなみ「ごめんなさい、気を使わせちゃって」

ダークドリーム「気にしないで、みなみが気になって寝れなかったのは本当だから。…私寝る前の時間って好きじゃ無いのよね」

みなみ「え…?」

ダークドリームは表情は変えないが、少し雰囲気が変わった。

ダークドリーム「夢を見るのは好き。普段の自分とはまた違ったことができるのは楽しいし。でも寝れない中一人でいるのは嫌」

みなみ「それは…心細いから?」

ダークドリーム「うん。私ここに来る前ずっと一人だったから、寝る前とかその時のこと思い出しちゃうの」

みなみ「ダークドリームがいつも兄さんの部屋にいるのって…」

ダークドリーム「そうよ。一人が嫌だから」

みなみ「それじゃあ兄さんがいない時も部屋にいる時があるのは?」

ダークドリーム「あそこで待ってれば拓海が帰ってくるじゃない」

ダークドリームは孤独が嫌いだ。

しかし希望という概念は好きだ。

曲がりなりにも希望のプリキュアから生まれているのだから。

だから誰が来るかもわからない自分の部屋で一人いるのは好きではないが、拓海の部屋で彼の帰りを待つ時間はそれなりに好きだった。

ダークドリーム「だから今日はみなみが寝るまでみなみといようと思って。みなみが気になって寝れない時間過ごすのは嫌だから」

みなみ「そう。それじゃ私も早く寝ないとね」

そうして二人の夜更けは過ぎて行く…

〜〜〜

拓海「(ダークドリームのやつ部屋にいなかったな)」

翌朝のこと、ダークドリームが起きてこないので部屋を確認したらダークドリームがおらず、昨日の一件からひょっとしてと思いみなみの部屋へ出向く拓海。

ダークドリーム『寝落ちしちゃったー!やばい!バレる!怒られる!みなみも誤魔化すの手伝って!』

みなみ『え、えっとどうすれば…?』

ダークドリーム『頭いいんだからなんとかならない!?』

みなみ『ご、ごめんなさい…こういう時の誤魔化し方は習っていないから…』

ダークドリーム『それ私のセリフー!』

案の定みなみのところにいた。

おそらく昨日のことを心配してのことだ。

大家と店子の関係であることを考えれば本来こういう事はよくないのだが。

拓海「ま、今回は大目に見てやるか」

とりあえず母への誤魔化し方を考えながら拓海は戻るのだった。


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