乖離Ⅲ:デザスターは誰だ?(ChapterⅠ)

乖離Ⅲ:デザスターは誰だ?(ChapterⅠ)

名無しの気ぶり🦊


「…まだかしら。…って不行不行(ダメダメ)っ!」

(ニラムさんに取り付けてもらったベロバとの談合。その当日真っ只中だからか気持ちがつい逸りそうになってるわ)


時は少し進み、翌る日の午前。

礼装に身を包んだ1人の利発そうなウマ娘がデザイアグランプリのVIPルームの、そのうちの一つにいた。

そう、サトノクラウンである。

今より少し前にニラムにどうにかベロバとの談合を取り付けてもらったクラウンはどこか悶々とした日々を当日、つまりは今日まで表向きは平静を装いながら過ごしていた。


(彼女に会って、恐らく彼女のみが知る場所にいるだろうミッチーの下まで連れて行くよう説得する)


今回の目的は、もちろん道長の居場所をベロバから聞き出しそこに連れて行かせること。

あくまで憶測だが、あの日ベロバと別れて以降自分で取り得る様々な捜査や検証を行った結果道長はベロバのもとにいると断定し、今日まで過ごしてきた。


(ミッチーのことを知らないと言われてしまえばそれまで、即終了になりかねないだいぶ賭けな今回のプラン)


とはいえベロバの気持ち一つ、情報一つにだいぶ縋った不安定な策、クラウンらしくもないガタガタな策だという自覚ももちろんあった。


(…私らしくもない、不確定要素にだいぶ縋った策で備えだって分かってるけど…それでも、不思議と直感じみた何かがこの先に私の希望は待ち受けてるって感じさせるのよね)

(だからこそ、先を相手にとにかく委ねた今回のプランでもやってみようって気になれた)


────しかし、だからこそそういう思考を後押ししてくれるのは漠然と脳内に浮かんでくる直感。

クラウンはこれでその時々の感情やインスピレーションに任せて動いてみるのも時折であれば悪くないと感じるウマ娘。

ならば、今また脳内に差した希望とも思えるような掴みどころのない直感を胸にその時を待ち望んでみるのも悪くない気分だった。


「…ミッチー。絶対、再会してみせるんだから!」

「我不会让你走的(貴方を手放したりなんてしてあげないもんっ)!」

(私の、生涯この人に並ぶ人はいないだろうって言えるような、そんなパートナーな貴方をね…)


全ては自身のオンリーワンのパートナーな彼、吾妻道長に出会い、そしてまた共に歩み出すため。

そのために先月末から四苦八苦し、今日ここにいる。この想いだけは今現在、彼女の願いと同じくらい誰にも譲らない、手放さないものとしてその胸のうちに宿り彼女を突き動かしている。


「────哎呀哎呀(あらあら)、ミッチーを手放さないのは私もなんだけどねえ」

「ッ…ベロバ!」


そんな折にというべきか、はたまた必然というべきか、待ち人来たる。

この世全ての幸せを嘲笑い虚仮にするかのような彼女、一昔前のメンヘラゴスロリじみた地雷臭溢るる危うさを秘めた不幸の化身、ベロバがそこにはいた。


「よく私のところまで辿り着けたわね、やるじゃない♪」

「正直、この段階で挫折して嘆いてる図が見たかったんだけどまあいいわ。素直に褒めてあげる」


あの日気まぐれに道長の生存を仄めかし、その探索をクラウンに結果的に決意させることになったベロバだが、その過程で自身に彼女が辿り着くことも読めたし、とはいえ実のところベロバ個人としては辿り着けないという不幸をキャンディに美酒を味わうのも悪くはないと思っていたので、この状況は少し残念ではあった。


「どうもありがとう、とでも言えばいいのかしら?」

(分かってはいたけどやはり遊び半分な発言…でも、構うもんですか!)


そんなベロバが吐く明らかにこちらを見下す意図が混じった発言、これはクラウンにしてみれば想定通りで、されどそんなもので歩みを止めるという思考は今の彼女には無かったからか素っ気なく皮肉じみた何かをぶつけた


「よしなさいよ気持ち悪い、というか私も暇じゃないんだからさっさと済ませましょうか?」

「もとよりそのつもりよ」


それを気持ち悪いと感じたベロバは、元々忙しい自身のスケジュールの合間を縫ってきたこともあって、さっさと今回クラウンが望んでいるだろう情報を引き出すことにした。


「へえ…♪ じゃあまあ教えてやるわ。ミッチーは私が預かってるわよ、ある場所にね♪」

(来たっ! 逃がさない!)


────そう、道長は自分の管理下の場所にいるということを。

クラウンもこれを聞いて内心逸る気持ちが生まれるのを抑えられなかった。


「…ジャマトに関係した場所でしょう?」

「あら偉いわねえ、なら私の地位も分かってんでしょ?」


ならば、その場所がどこかもおおよそだが見当はついており、ゆえにこそ逸る気持ちを抑え慎重にその確認とも言うべき質問をぶつける。

すると案外すんなりベロバは認めた。意外と自分の今持つ情報に聡いクラウンを見ていると老婆心が働いたというべきか気分が不思議と良かったのである。

なので自分がデザイアグランプリにおいてどういう地位かを問うた、すると…


「ジャマトのスポンサー…」

「あははは! 父親とニラムの野郎から聞き出したのかしら、よく見当付けたわねえ!」

(見せ物小屋の住人の代表格にしてはやるじゃない♪)


やはり正解。

間抜けとは言わずともあまり把握できていないことを望んでいたが、これはこれでベロバがクラウンに対してぶつけようとしているとある提案にも似つかわしい利発さだと感じていた。


「…なら!」

「ええ。ジャマーガーデン、私が管轄しているその場所で少し前に目覚めたって報告があったわよ」


なのではっきりジャマーガーデンに道長はいると打ち明けるのも藪坂ではなかった。

賢いやつは嫌いではないのだから。


「ッ!!」

(太好了(やったあ)ッ!)


それを聞いてクラウンは胸のうちに熱い感情が滾るのを感じていた。


「でも連れて行くかは別問題よ」

「⁉︎…」

(うそ…いや、これも分かってたはずよ)


しかし、直後にベロバが切り出した情報に惑い、されど想定はできていたからかそこまで逡巡や躊躇いはなかった。


「そこまで約束した覚えはないし。というか場所を教えてやることもね」


当のベロバはというと、こんな思考である。

そう、極めて屁理屈に近しいがクラウンが自分のもとに来ることも自分のもとに辿り着いた結果道長に会わせるよう要求することも全てあくまで向こうが勝手にやったこと。

つまり未だ立場として彼女が上、要求を突きつけられるのはこっちだという認識だ。


(そう、彼女はあくまで自分で見つけろとしか言っていない)

(こうして密会することさえあくまで私の都合、自己満足でしかない)


もちろん、クラウンもそんなことはとうに理解している。伊達に物心ついてそこまでない頃からその才覚と性格でサトノのテーラー業分野のビジネスを受け持つ父の手伝いをしてきたわけではない。

立場として自分が未だ下手であることなど百も承知。


(…だから!)


────だからこそ。


「…なら、貴方に見合うメリットを提示できれば話は違うわよね?」

「どうかしらね、内容次第よ」

(まあ私がこいつから得られるメリットはもう決まってるんだけどね♪)


当然、それを覆すまで行かずともベロバと自分を対等にできるだけのインパクトのある条件は用意してきたつもりだ。

そうしてクラウンが切りだした内容に、ベロバはまたも舌を巻くこととなるのだった。



『あなたがデザスター⁉︎』

『俺じゃないんです! 信じてください!』


ナッジスパロウ/大智を攻撃して変身解除に追い込んでしまった景和

まぁ、オーディエンスや担当ウマ娘目線では不可抗力なのは分っているが、傍で見ていたロポ/冴はそうはいかない。

見たとおりに受け取り…


「…ダイヤちゃん」

「タルマエさん、私の意見も変わらないものです」

「劣勢であっても揺らぐものではありません」


またタルマエも同様で、もしや景和がデザスターなのではという認識を以前より強めてしまっている。ダイヤも内心は少し心苦しさがあったが、けれど自らのトレーナーがそうであるはずがない、不純な動機で攻撃を妨害したりするはずがないと堅く信じている。


「ダイヤちゃん…」

「ごめんね、キタちゃん。でもそういうことだから」


キタサンも景和とダイヤを心配するが、だからとて揺らぐものではない。

何より、今幼馴染を巻き込みたくなかったし弱い自分をあまり見せたくなかった。

些細だが今のダイヤにはそれだけで十分すぎる理由だった。


『みんな、僕は大丈夫だから。 なんとか巻き返そう』

『分かった』


その間、大智は何ともなかったように立ち上がり振る舞う。実際何ともなかったし、なのでこの反応も想定された動きだった。


(まさか五十鈴先生がここまで周到とは…なら私も知恵を絞ってこの罠を晴らすだけです!)

(…私で立ち打ちできるかは分からないけど…やらないと!)


大智の健気な被害者ムーブで同情を買おうとわざとらしくダメージを受けている感じも含めネチネチした嫌がらせを用意周到と判断したダイヤは、自らの知恵でもってそれを打ち破ることとした。


『SET』 

『変身』

『MONSTER』


大智はジャマトを請け負うつもりで、冴にボールを任せると言ってニンジャバックルを渡し、自身は再びナッジスパロウに変身し戦闘に帰還した。


『そこで大人しくしてて』

「当然だけど桜井トレーナーは実質今は参加中止状態だね…」

(ダイヤちゃん…思い余らなきゃいいけど)


『SET』

『NINJYA』

『READY FIGHT』


 そして冴は茫然自失な景和にその場を動かないよう託けると、ロボニンジャフォームにチェンジしこちらもゲームを再開した。

その後、大智の『モンスターストライク』で冴に近づくジャマトを撃破。

しかし すぐさまジャマトが補充され道を阻まれたので、冴はナーゴ/祢音にパス。


『向こうだけ交代要員が居るなんて卑怯!』

(あきらかに昨日より増員されてる…祢音ちゃん、改めて気をつけて…!)


シュヴァルがジャマト

正論でしかない。

ゲームマスターが不正をしなくても、だいたいライダー側に不利になっているのが、デザイアグランプリというリアリティーショーなのである。

とはいえ泣き言だけ言っていても始まらないのも事実なので、祢音と冴で連携してジャマトを掻い潜っていく。


「トレーナーさんは…相変わらず流石です!」


ギーツ/英寿も、パワードビルダーフォームの能力で足場を作り、ジャマトの妨害を受けずに進む。

そして英寿と冴によるシュートで3点×2で6点ゲット、17対16で勝ち越しである。


「嘘っ⁉︎」


 しかしタルマエの悲鳴が物語るように、一同が安心したのも つかの間、ルークが腕を砲身のように作り変え、ボールを撃ち出す。さながらピッチングマシンかよ・・・。

 ジャマト側ゴールから、一気にライダー側ゴール前まで飛ばし、キャッチしたジャマトライダーがシュートし、3点取られてしまう


「まだ…諦めないで…!」


 諦めずゲームを続けるが…さらにジャマトに3点取られてしまう、この時点で17対22。

そのまま再ゲーム続行し、冴がニンジャの能力で分身してルークを止めようとするも、腕の砲身からの射出で分身をかき消され、5ポイントエリアからゴールを許してしまう。

この時点で17対27。


そのままゲーム続行するも。


『あっ…あっ、ちょっ…』

「うげっ、ジャマトライダーだ…」

(今の祢音ちゃんには荷が重いよ…)


 こっそり移動する祢音だが、ジャマトに見つかってしまう。

 ギーツに足止めしてもらい、ナーゴがゴール前まで飛ばし、冴がすかさず足でシュートし3点ゲットでようやく追加点となった。

この時点で20対27。


『ぐっ⁉︎』

「トレーナーさん…」


その後、景和のディフェンスが甘くパス回しで簡単にゴールされてしまう。

この時点で20対30。


『にゃああッ!!』

「祢音ちゃん、流石だよ…!」


 ナーゴの奮闘でゴール。23対30。

 ゲーム再開。

 


『ヤバイよ。もう時間が無い』

『────まだ、ゲームは終わってない!』

「トレーナーさんのハイライトはここからです!


 時間も終了間近ながら10点差。

────しかし、ゲームは まだ終幕を告げていない。

英寿はパワードビルダーバックルに『マグナムシューターバックル』を装填しマグナムシューター40Xを装備。

ジャマーボールを同時に投げ、マグナムシューターの弾丸で弾いてジャマトに取られないように軌道を変えていき────


『やったー!』


「よしっ…!」


──タイムアップと同時に2つともゴールに撃ち込み、5点×2で10点ゲット、33対33でドローとなってこの日のゲームは終わりとなった。


その様子を尽きぬ闘志に満ちた両の目で見つめる男がいた。そう、吾妻道長である。

あの後、アルキメデルの計らいでここに戻ってくることを

試合の様子を見ていて、終了を見届けると去っていく。ジャマーガーデンとは地続きなのか?


『「ん…?」』

(あれは…まさか吾妻トレーナー⁉︎)


英寿とキタサンは、どこか以前と比べて見窄らしくなったその背中に早くも気づいたのだった。



ツムリとスイープ曰く、ドローだったためリザルト。つまりは翌日に延長戦があるということでこの日はお開きということになった。


またチラミ曰く投票結果も延長戦後に持ち越しにはなったが、投票していないあと2人にも投票するようにと念を押す。


「ちょっといい?君達2人に会いたいって人がいるの。くれぐれも粗相のないようにね」

「構いませんが私達、ですか…?」


そして、景和とダイヤに会いたいという者が居ると伝えるのだった。

そのまま2人が案内された部屋に入ると…


「えっ…?ここは…!」

「モニタールームと同じ、近未来的な拵えの部屋みたいですけど…」


どこか外壁が近未来的、それこそ2人は知らないことだけれどジーンの部屋に近しい様相の作りだった。

ただし中央には前世紀の日本の家屋の居間を想起させるようなスペースに、さらに丸机と湯呑みが置かれている。


「お前ら2人の説教部屋だよ、桜井景和、サトノダイヤモンド」


部屋の作りが気になっている景和とダイヤに対し響く声。見るとカエルの置物から聞こえるので、スピーカーかと思い持ち上げて調べる。

すると…


「あっ、去年6月に学園祭で見かけた謎のカエルの置物さん⁉︎」

「えっ、あの⁉︎」

(ほう、あれに気づいたか。聡いじゃねえか、サトノダイヤモンド♪)



昨年の学園祭で自分達の出し物の近くで見かけふたカエルの置物に似ているというかまんま同じだと気づいた。

このカエルもそれに気づいてたようで、それを嬉しく感じていた。


「というかこれってスピーカーn「おい⁉︎ 気安く触るんじゃねえ!! そして靴を脱げ!」うわわっ⁉︎」


ただなおもその姿が気になり弄る景和に苛立ちが爆発し思わず説教をかますこととなった。


「俺はてめえのサポーターのケケラだ、礼儀を知れ」

「サポーター?」

(なぜに上から目線なんでしょう?)


そう、このカエルの置物に見える存在ケケラ、ジーン同様にデザイアグランプリに深く貢いでいるオーディエンスの1人だった。


「確か私はトレーナーさんのサブサポーターと言われてましたが…もしや貴方が?」

「そうだ。俺がサトノダイヤモンド、お前を指名した」


靴を脱いで正座させられる景和に自分が景和のサポーターだと伝えるケケラ。

そのサポーターという響きに、先日自身がキタサンやシュヴァル共々それぞれのトレーナーのサブサポーターなる存在だとナレーションでオーディエンスに触れ込まれていたことを思い出さないほど、サトノダイヤモンドという少女は愚者ではなかった。

 

「俺がどれだけ、桜井景和を目をかけてきたか…今までお前がブーストバックルに恵まれてきたのは、俺のおかげなんだぞ!」

「ちょっと言ってる意味が…」


ケケラの推しさえ黙らせるような熱弁によると、今まで景和がやたらとブーストバックルに恵まれてたその理由は…


「俺がお前にプレゼントしてやってたんだよ!」

「⁉︎ そうだったん…ですか?」


ケケラがプレゼントしていたかららしい、そういうことかとようやく景和にも腑に落ちた。


(あれってそういう…というか、やっぱりスパチャ制はデザグラにも存在してたんだ)


一方でダイヤはというと、その発言を参考にするならばデザイアグランプリにもスーパーチャットのようなギフティングシステムが存在していたことになるということになるほどとなっていた。


「でしたら私からトレーナーさんの意も代表してお礼を言わせていただきますね、ケケラさん♪」

「分かってるじゃねえか!」


なので日頃から素直と好奇心旺盛な令嬢で通った身としては、息を吸うようにケケラにお礼を述べたのも自明の理だった。


「なのに、なんだ桜井景和、サトノダイヤモンド! あの後半戦のザマは!」

「サロンの様子も見られてたんですか」

「ええ、ダイヤちゃんの様子も見られてたの⁉︎」

(サポーターだからでしょうか、恐らく)


それに内心喜びを感じたケケラは、されど後半の景和の振る舞いやその少し前にダイヤが景和共々大智とリッキーの罠で疑われる身になったことを思い出し、それに憤慨しながら言及してきた。


「ってすいません!」

「…退場した人がジャマトになってたんです。だから…とっさに守らないと、って…」


それに若干引き気味になった景和は、しかし礼節を、そして今回の一件を思い出し落ち込みながらその理由をぽつぽつと話した。


「私もそんなトレーナーさんの意を勝手ながら汲んだ形です」

「ダイヤちゃん…今さらだけど巻き込んじゃってごめん…!」


ダイヤもまた、それを受けて景和を庇ったその理由を話す。そんな彼女に景和は改めて理知的さと申し訳なさを感じ、思わず謝罪の言葉を口にしてしまっていた。


「謝らないでください、あくまでダイヤの独断ですから」

「…でもトレーナーさんにそう言ってもらえたなら、トレーナーさんのサブサポーター?としての役目を果たせたみたいで嬉しいですね♪」


ただダイヤとしては、あれはあくまで自分の意思で為したことという認識なのでそれを景和に申し訳なく感じさせてしまっていることこそ申し訳ないという印象で。

そしてそんな状況ながら、ならば自分は件のサブサポーターとしての役目を果たせたんじゃないかと年相応の幼さと無邪気な可愛さ、愛しき者からの信頼に対する喜びを見せていた。


「2人の世界に入ってんじゃねえ! ここは俺の部屋だよ⁉︎」

「あっすいません!」

(むう…残念です)


しかしここはケケラの個室。2人きりでいる時にそういうことはやれと言わんばかりにケケラは思わずツッコんでいた。


「というか桜井景和! たぶんサトノダイヤモンドはそうじゃねえんだろうがナッジスパロウの言葉を馬鹿正直に信じてんじゃねえ! アイツがデザスターかもしれねんだぞ!」


何よりまだケケラの話は終わっていない。

大智に用心しろということを少し回りくどく上から目線で景和に告げてきた。


「大智君が?」

「はい、私達を罠に嵌めたということはその可能性もあるかと」

「あっ確かに…だから俺たちをってことかもなのか」


人を必要以上に疑うということを基本したことがない景和は、だからかそれを疑問に感じるも、しかしダイヤの提言により納得を得ていた。ここに至ってようやく五十鈴大智という男の持つ知性や危険性に気づいたというわけである。

オーディエンスの多くはわりとフラットに全員疑ってるけど、今のところ読めないくらいなので景和も多少は疑いの目は持っておくべきというケケラの意図が通じたようである。


「信じる奴ほどバカを見る。 このゲームはな、デザスターを食うか、デザスターに食われるかの戦いなんだよ」


信じるやつがアンジャスティス。

ケケラの言うように、このゲームは誰かを疑って蹴落としてなんぼのそれだった。


「あとちょうどいいからサブサポーターってのがなんなのかゆっくり説明してやるからよく聞いとけ、サトノダイヤモンド!」

「もちろん、桜井景和もだ!」


「「はっはいっ⁉︎」」


また先程から言い忘れていたからか、説明したくてうずうずしていたようで。

ケケラはこの流れでサブサポーターとは何なのかということについて懇切丁寧にレクチャーしていくのだった


・景和のインタビュー。

【あなたがデザスターですか?】


「やめてください、ジャマトが退場した人の言葉をしゃべったんです!!」

「だから…躊躇ってしまって…」


その後、時刻にして夕方。

景和とダイヤはもう何人か受けているインタビューをようやく受けていた。

といってもデザスターであるかということを問われるだけなので、半ば自業自得だがそれに迷惑している景和としてはただただ困りもの。


「裏切り者のデザスターが俺だって、疑われてるけど、俺じゃないんです・信じてください!」

「あれはあくまでトレーナーさんの善意によるもの。決してデザスターだからそうしたわけではないとお心得くださいませ」


あくまで自分は無実、信じてほしいとオーディエンスに対しても告げる。

ダイヤもそんな自身の唯一無二のトレーナーの一挙手一投足に沙羅と同じぐらい強い信頼を置いているからか、改めて景和はデザスターではないと画面の向こうの視聴者やスタッフに強く進言してみせたのだった。


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