不沈艦の可能性を語る会 Part8 スレ102前提
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※実馬擬人化前提
※実馬環境設定前提
視界の端に白くてキラキラしたものが引っかかって、振り向いたら、案外近くにある懐かしい目と目があった。
「あっ、お久しぶりです…」
別職場とはいえ、かつての先輩を無視するにも無礼が過ぎるので、ぎこちなく挨拶を送る。向こうも一瞬、見開いた目を緩ませて、
「おう、久しぶり。元気か?」
と柔らかく笑って、こちらに一歩踏み出してくる。
あんまりにも自然に近づいてくるので、こっちもついつい、近づいてしまう。
「えぇ、まだ慣れない事も多いですけど、ぼちぼちです。先輩も応援ですか?」
「まぁな、そういうお前も?」
「はい」
今日は年に一度のクラシック最終戦菊花賞だ。
繁忙期も終わったタイミングで現地観戦する関係者は多い。
特に初年度産駒参加になる僕らは初めての事に浮き立ってしまう。最近まであっち側に居たんですけどねと一年目同士話が弾んでいくが、試合開始の時間が近づいてきた。
そういえば、自分達は最後に会った際、喧嘩別れみたいな形になっていたのでは?と今さら思い出した。連絡先は消していないし、変えてもいないけど、このまま別れたら、また連絡を取れなくなる。どうやって次回に繋げようか、顔に出さない様に考えていると先輩がじっとこちらをあの大きな目で見つめてきた。
「あのさ、今日久しぶりに会えて話せたわけなんだが、話し足りないなて思ってる?また会ってもいいかなて。」
「えっ、なんでわかるんですか?」
「いや、だって、昔、俺にお願い事した時と同じような顔してるし、さっきから右手で携帯いじってるし。」
隠してたつもりなのにバレてしまった。
こうなったら、当たって砕けろである。
「バレたなら、仕方ありません!先輩は俺の連絡先なんて消してると思いますが、教えます!なので、先輩のを教えてください!また、お話がしたいです!ちなみに昔と同じなら、消してないです!」
言いたい事は言い切った。後は野となれ山となれである。
言い切った俺に呆れた様な仕方なそうな柔らかく先輩は笑った。
「いいよ。俺もお前の連絡先消してないし、変わってないんだ。また、連絡取ろうぜ。よろしくな。」
現役時より柔らかく笑う顔の目尻に少し深くなった笑い皺を見つける。確実に過ぎた時間の形を見つけた気分だ。
「はい、よろしくお願いします。」
「そういえば、先輩は今日、一人ですか?」
「いや、連れがいる。というか、そろそろ試合始まらないか?」
気がつけば、話し込んでいた様でこちらも連れがいるので、その場は解散になった。
連れのいる場所に向かう途中、確認の意味を込めて、これからもよろしくお願いしますとLINEを送る。
可愛らしいネコのスタンプがよろしくと挨拶を返してきた。
連絡を取らなくなったきっかけは解決していないし、社交辞令かもしれない。
しかし、縁はまた繋がった。
とりあえず、今度、どこかへ行こうと誘おうと決意した。