下水道
「―あ?」
何かがおかしかった。
「待ってたぜ。ああお前からすればさっき会ったばかりか?」
真人が呪力を振り絞って逃げた先の下水道。何の気配も感じなかった中、それは影から現れ立ちふさがった。
「呪術師…」
どうやってここに?あの宿儺の器がここまで来れるはずがなかった。真人は死に物狂いで排水溝から人間には到底追跡が不可能な形で逃走した。あの時の宿儺の器の呪術師も限界を迎え自分を追える力はないはずだった。
呪術師は歩を進める。
真人は出方を伺おうと咄嗟に身構える。
「俺だよ。虎杖だ」
まっすぐに目が合った。
真人は背筋が凍りついた。
魂の深いところがコイツはさっきとは別物だと長く悲鳴を上げている。同一の存在だが何かが酷く歪んでいた。
粘つくような殺気を自分に向けているのは同じだったが真人にはそれが本当に殺気なのか分からなかった。
『虎杖』は呆れるのと驚くのともつかない表情を浮かべる。
「新鮮な気分だな。お前まだ生まれたばかりなんだろ?」
真人は虎杖が行動をとる前に攻撃に移った。虎杖目掛けて鞭状に変形した腕を振りかぶったのだ。
呪力の消費は想像以上に多く予想外の事態に余裕もなかった。必要最低限の変形で撃退し逃走することが最優先。こいつの様子は確かに気になるが勝算がある素振りではない。虎杖も深手を負っており今度こそ逃げ切られる。
虎杖の身体を捉え弾き飛ばした感覚があった。
お前も運がいいんだね。真人は唇を舐めた。でも、殺すのは次の楽しみにしてやるよ。
変形した腕を巻き取る。
何かが高速で上半身にぶつかる。
真人は押し倒され下水道の地面を数メートルに渡り引き摺られた。コンクリートが容赦なく服を引き裂き背中の肉を抉った。
…しまった!?
腕が死角になり真人には真っ直ぐに向かってくる虎杖の姿が見えなかったのだ。虎杖は真人にそのまま馬乗りになり伸びきった腕をロープのように器用に巻き取っている。
恐らくほとんどダメージは受けていなかった。確かに血飛沫が上がったのを見た。
やはり何かがおかしい。こいつはまさか…
虎杖は片手で真人の頭を乱暴に掴んだ。
真人は力を振り絞り虎杖を払いのけようとする。だが虎杖はそのままもう片方の手を真人の口にねじ込む。
「あがぁっッッ……?!!?」
全身の皮膚が一瞬で蒸発したような感覚に真人は顔を歪めた。
一切肉体へのダメージはない。
俺は一体何をされた?
「魂に直接反転術式がアウトプット出来て良かったよ。傷つけてしまうとお前を使えないかんね」
「何言ってんだよ呪術師!?」真人は凄む。
「悪い。こうでもしないとお前は絶対抵抗するだろ?」
どろりとした粘つく魂の代謝が全身に絡みつく。脂汗が滲み出た。どういう訳かものすごく虎杖から逃げ出したかった。
真人は必死で腕を振り回した。
腕は動かなかった。虎杖は器用な手つきで真人の全身をメチャクチャに縛り上げていた。
自分の腕で間抜けな形で拘束されている。これ以上の変形に回せるほど呪力の余裕はない。変に動けば状況は悪くなるかもしれない。
「魂で引っ張られる身体ってすごいよな。今のお前が知る訳ないんだけどさ、ちゃんと本当の姿が刻み込まれてる」
くちゅ。
「…ひぃィっ?!」
下半身に異物感があった。
虎杖が指を真人の股間にねじ込んでいた。
「分からないか?俺のために魂から雌になって何度も愛を誓ってくれたお前の魂はしっかり雌の形を覚え込んでるって」
真人は悲鳴を上げた。
本来生殖器が存在しないはずのそこは虎杖の存在に応じて女性器を形成していた。指を咥え込みひくひくと卑猥に蠕動しどろどろと愛液を分泌している。
「あああ… ああっ!?」
指が乱暴に動き一方的に快感が与えられる。
必死にもがき体を捩じった。自分を拘束する自分の腕がぴんと引っ張られる。腰を持ち上げ性器を突き出すような間抜けな体制で固定されてしまった。
虎杖は指の動きを速めた。ぐちゅぐちゅと不愉快な水音とともに断続的に意識が遠のく。
こいつは一体俺に何をしている?!
「糞!嫌だやめろっ!!気持ち悪ぃんだよ!!」
虎杖は不気味なほどに表情を変えずに責めを強行した。
真人は何かを喚き散らしながら数回ビクビクと痙攣した。虎杖が引き抜いた指には粘液が重く糸を引いていた。
「ふっ… この、く……」
虎杖は反り勃起した生殖器をぐちゃりと指を抜いたばかりの場所に押し付けた。
「おい。…は?……え??」
人間の雄の生殖器だということは真人には理解が出来た。そして自分の意思に反して自分の魂は牝であることを主張していた。
「やめろ…オマエまさか…」
快感でいつの間にか感覚が敏感になり痛覚が蘇る。練ろうとした呪力も霧散した。
逃れようと抵抗するも顔を張り飛ばされる。下水道のコンクリートに体がずるりと沈み込む。
ズポォッ
「……………っンいっああああ!!??」
…挿入された!人間の!気色悪い生殖器が!!
先ほどとは比べ物にならない快感と屈辱に顔から余裕が消える。呪術師は安心したかのような笑みを一瞬浮かべたかと思うと容赦なく生殖器を動かす。
「あッ、ふぅっ!!…!んっぐっ!!んっ…♡、!」
膣内を行き来するペニスに応じて魂は勝手にそれを受け入れようとしていた。魂が一突きの度にぶるんと震えたかと思うと、真人の膣癖をよりペニスを喜ばせる形に作り替えていた。
真人は頭を振った。ずりずりとコンクリートに肌が削られ血が滲んだ。
魂はもはや俺の制御を離れている!本当にまずい♡
こいつに一方的に雌扱いされてからだがはらみたがってやがる♡♡
「本当にやめろ!!ふっ!あッあっっ動くなッッぁああアアア!!」
虎杖に体を持ち抱えられ両足を無理矢理開かされ、重い質量の巨大なペニスを何度もねじ込まれ奥へ叩きつけられる。
「ひギっ、いっひぅっ人間のっ!キモいもん入れられてっ!吐きそうッ!!」
人間の女であれば女性器が引き裂かれているかのような乱暴さにも真人の魂は適応していた。
無機質に作動する機械のように体を揺さぶられる。
「ぁだ!!あ、だっあっふぅ!!!イんぅぅっっっっっ!!♡」
真人は再度絶叫した。
容赦なくまんこの中に精子が吐き出されてしまう。真人は魂が喜びに叫んでいるのを聞いていた。
膣壁がざわざわと蠕動しペニスに絡みつき一滴残らず搾り取ろうとしている。
虎杖はため息をつくとペニスを引き抜いた。膣口は名残惜しそうに一人でにぱくぱくと震えている。
ふざけるな!もう殺される前に呪力が回復するよう祈るしかないのか♡
真人はビクビクと痙攣し白目を剥きかけた。
「殺さねえよ真人」
「…は?」
虎杖の双眸が俺の目ごと魂を貫いている。
虎杖は瞬き一切しない。
「図星か?」虎杖は突然笑い出した。「命を助ける代わりに提案したのがオマエだったのに?オマエを生かすなんて提案を受け入れるほど俺の魂は砕かれてたみたいなんだよな。笑えるだろ真人?オマエが命乞いに雌になることを選んだ。お前が選んだ。何でだろうな?お前は最初っから馬鹿みたいな雌だったってことなのか?」
真人には何を言っているのか何も理解が出来なかった。
虎杖は笑うのを止めた。
真人は絶望した。多分こいつの言う通り俺は殺されない。
その代わりこのイカれた呪術師の気が済むまで何度も何度も犯される。
そして多分、俺の魂は…いや、すでに……………
口角から力の抜けた笑みが漏れる。
虎杖は真人ににっこりと笑いかけた。
「round2だ」
充血し怒張した生殖器が再び魂に押し当てられた。