上官と夜の約束があるスモーカー准将の話
上官と夜の約束があるスモやん准将の話
・モブスモ
・首絞め
・10割自分の性癖
・陵辱
草木も寝静まり、波も凪ぐ夜。スモーカー准将は自室で、ベッドの上に立っているディルドと睨み合っていた。それは長くて太く、なぜかピンク色。マゼンタのディルドの先端は丸みを帯びていて、ブツを思い起こさせる。
今からそれを嵌めなければならないことを考えると気が滅入った。
しかしぐずぐずしていても仕方がない。ベルトを外し、ズボンをずり下ろす。その下のパンツも下げて、準備を整えた。
ディルドには既にローションをかけているので、鮮烈なピンクはテラテラと光を反射している。
(これ、突っ込んだら腹まで届くんじゃねェか……?)
あとのことを想像して、口の中が乾いた。
『裂けはしないと思うけど、相当痛いだろうから挿入れる前にほぐしておきなよ』
ニヤけ顔でディルドを渡してきた上官が、頭をよぎる。
「ほぐす」ということが何を指すのかはさすがにわかっている。例えばアナルに指を入れて穴を広げていく作業とか。
慣れない手つきで「ほぐす」自分のことを考えてみたが、あまりゾッとしない。
このまま挿入れてしまおうと覚悟を決める。
スモーカーは手で体重を支えつつ、ディルドに跨るような姿勢でベッドに腰を下ろしていった。
菊門にディルドの先端が触れ、生温かいローションがソレを穴に滑り込ませようとする。
戸惑いや躊躇いはあったものの、この工程を終えないことにはどうしようもない。体重をかけ、アナルでディルドを咥えこんでいく。確かにキツいが耐えられなくはない。
異物感や恥辱に歯を食いしばって耐えながら挿入していたその時、体が内から裂けるような痛みがスモーカーを襲った。
「ひぅッ……!」
引き笑いのような声が思わず漏れる。
やはりディルドが太すぎるのだ。
しかし今さら後にも引けない。仕方なく腰をゆっくりと沈めていく。
その内脂汗が吹き出て、息も荒くなっていった。海軍将校なだけあって痛みには強い方である。だが、体内からの痛みとなると未経験で堪えようがなかった。
あの上官はどうしてこんなことをさせたがるのか。老齢の上官は、あれでいて中将である。実力はあるというのに。
などと考え事をして気を紛らわしてみたものの、それは痛みを和らげはしない。腰を下ろす速度は段々と遅くなっていき、とうとうディルドを僅かに残したところで止まってしまった。
『しっかり最後まで挿入れてきなさい』
わざわざ念を押したということは、中途半端で行っては許されないのだろう。この際、痛みなど気にしている場合ではない。さらに体重をかけようと手の力を弱めていった時、軽いノックが聞こえた。
「遅くにすみません! どうしても確認してほしい資料があって」
扉の前に立つ人物に思い至り、体が止まる。
この声は間違いなく部下であるたしぎのものだ。嫁入り前の娘に、こんな姿を晒すわけにはいかない。
「明日じゃだめなのか?」
「さっき本部から今夜中にと……」
「クソッ」
都合の悪すぎる返事に、思わず舌打ちをする。
「断っておきますか? 向こうも少しくらいなら」
それを勘違いしたのか、仕事を断ろうとするたしぎを慌てて引き止めた。
「少し待ってろ!」
この格好のまま出るわけにはいかない。引き抜こうとディルドに手を伸ばした時、今度はヒールが床を叩く音が聞こえてきた。
間が悪いことには間が悪いことが重なるものである。足音は部屋の前で止まった。
「こんなところでどうしたの?」
スモーカーの同期であるヒナがたしぎに声をかける。
(どうしてこうも集まりやがる)
ディルドをアナルに突っ込んだまま、スモーカーは心の中で毒づいた。
「こんばんは! 書類のことでスモーカーさんを待ってて」
「急ぎの用なの?」
「はい。さっきわざわざ本部から連絡が」
そんなスモーカーの気持ちなど露知らず、2人は呑気に話しこんでいる。やるなら今しかない。スモーカーはディルドを掴んでゆっくり引き出す。
「……っ。ふ、ぅ……」
少ししか引き抜いていないのに、内側の肉ごと外に引っ張られるような感覚が手の動きを遅らせる。
(クソッ。この感覚慣れねェ……。気持ち悪ィ)
しかしそうしているうちにヒナが痺れを切らしたようで、
──ドンドン!!
扉が強く叩かれた。
「スモーカー君、遅い。まだなの?」
「っ……も、もう少し」
「こんなに待たされてるこの子が可哀想でしょ。一体何してるの」
「というかスモーカーさんなんだか様子変ですよ? 体調悪いですか?」
「ちっ、げェ……! んぁ……」
「やっぱり変ですって! 大丈夫ですか!?」
まだディルドを4分の1も抜いていないのに妙な騒ぎになってしまった。
たしぎはともかく、ヒナまでもが焦りだす始末である。
「ねえ、どうしたの!?」
「だからっ……、な、んでも……ッ!」
「答えないなら無理にでも部屋に入るわよ!!」
「は!?」
その言葉で扉に目を走らせた。こんな日に限って、鍵をかけ忘れている。
小さくカチャリと音がして、ドアノブが回転した。
今部屋に入られたら、2人には汗を滲ませアナルから真っピンクのディルドを覗かせた大男を見せつけることになってしまう。
スモーカーは抜くのを諦めて、パンツとズボンを腰まで上げた。
ドアが開く。
ベルトの留め具に手を伸ばす。
ヒナとたしぎが押し入ってきたのと、スモーカーが服を着たのは、ほぼ同時の出来事だった。
「スモーカーさん、大丈夫ですか!?」
書類を抱えたたしぎが駆け寄ってきて、スモーカーはそれに中腰で対応する。
「なんでもねェよ」
「でも声ヘンでしたし、汗もぐっしょり……」
中腰になって誤魔化しているものの、後ろから見れば何かが尻にあることは丸わかりである。当人は気が気でないのだが、2人は不安げに顔をのぞきこんできた。
「熱でもあるんじゃない?」
「息荒いし、顔真っ赤ですよ」
スモーカーは指摘されてようやく自分が上気していることに気がついた。
(これは痛みに反応しただけだ。別に感じてなんかいねェ)
言い訳をしてみるが、一度意識してしまったせいで変な感覚が襲ってくる。毛が逆立つような、内蔵がかすかに震えるような変な感覚である。
混乱するスモーカーの肩にヒナは手を置いた。
「とりあえず立ってないで座りなさい」
ヒナは病人を労るつもりで、そのままスモーカーをベッドに座らせる。
とっさのことで反応できず、スモーカーは尻をベッドに叩きつけてしまった。その勢いで、先程は入らなかった分のディルドが深く腸内に刺さる。
「うあっ!!」
あまりの痛みに、スモーカーは庇うように体を折り曲げた。
そして、痛みとは異なる感覚が襲ってきていることにも気づく。
「スモーカー君!?」
「スモーカーさん!?」
驚いた2人が同時に声をあげた。
スモーカーは心配させまいと姿勢を戻して、たしぎから資料をもぎ取る。下腹部あたりから湧く柔い性感には、知らんぷりを決め込んだ。
「ダメですよ! こんなときに仕事なんて!!」
「そうよ! たまには休みなさい。ヒナ心配」
ヒナたちが声を荒らげるが、あえて無視して資料の読み込みに徹する。
しかし、すぐにその必要はないことを悟った。資料の責任者の欄には「 例の」中将の名前があったのだ。
大方これはたしぎを使った嫌がらせ。ディルドを差し込むタイミングを狙って部下を寄越したのだ。この資料も緊急性どころか必要性すらない仕事。悪趣味極まりない。
「スモーカーさん、書類なんていいですから!」
スモーカーは隣でオロオロする部下を数秒見つめ、立ち上がった。
「いや、問題ねェ。今から出してくる」
スモーカー准将は、太いディルドをアナルで咥えたまま自室を後にした。湧き上がる快感など、ないかのように振る舞って。
件の中将は、組織内からの評判が高い男だった。剣技に優れており知略にも長け、既婚で子どももいる。部下からの信頼も厚い。
そんな上官の前で、スモーカーは裸になっていた。白い肌。たくましい上腕二頭筋。ディルドを咥えた引き締まった尻と、豊満な胸。そして惜しげもなく晒された性器。
手首と首元は赤い紐で縛られていた。手首と首の紐同士は別の紐で結ばれており、手を引っ張ったり、仰け反ったりすると首が締まる仕様である。
中将がスモーカー鑑賞を始めてから、10分は経過している。ソファで寛ぎ、顔を赤くした部下を優雅に視姦するさまは「鑑賞」の言葉が相応しかった。
中将の方はコートこそ着ていないが、職務の際着用する白いスーツを身に付けている。シワの一つもないスーツは、先ほどストリップを強制されたスモーカーへの当てつけのようでもあった。
ふいに中将が立ち上がり、スモーカーに近づく。スモーカーは体を強ばらせた。
中将はやおらディルドに触れる。
「それにしてもありがとう。約束を守ってくれて」
そしてディルドを強く押す。
「んぁっ!」
衝撃が、体を駆け抜けた。
まだ経験したことのない快感が、スモーカーの体を震わせる。
「は? な、なんで……」
性のスイッチが入ったことを知ったスモーカーは、小さな声で呟いた。
嬌声をあげたことで気を良くしたのか、中将は円を描くようにピンク色のそれを動かす。
「ひィ……っ。ぅ、あッ! やめ、んぅ……」
体の内側から巻き起こる性感が、スモーカーに卑猥な声を出させた。歯を食いしばって噛み殺すが、その光景は見ている者の加虐心を刺激する。
「ぃあ……、んッ!」
「どうしたんだい? そんな声で。まさか、感じているのかい? 君ともあろう者が」
「そんなわ、あっ……! ん、くぅ」
腸内のある一点を刺激するようにディルドを動かす。
「上官に嘘をつくのは頂けないな。でも普通はこんなもの入れたら痛いはずなのだが……君には『才能』があるのかな」
「……ッ! ひあっ、あっ……!」
「それを挿入したまま君の部屋から私の部屋までだいぶ歩かせたから、慣れてきたのだろう」
最初はあんなに痛かったはずのディルドだが、今では完全に馴染んでいた。困惑と不快感と性感がスモーカーの脳をかき乱す。
「やめろっ……!」
何とか絞り出した拒絶の言葉に、中将は穏やかな笑みを浮かべた。
「『やめろ』? どうして?」
スモーカーより頭1つ背の低い中将は、部下の顔を見上げながらディルドを弄る。
「ッ! ぅ、ん……。あっ……!」
食いしばった歯の間からは、嬌声と荒い呼吸が漏れている。視線に気づいたスモーカーは顔を逸らした。
「『やめる』って何をどうすればいいのかな? どうしてやめないといけないのかな? ねえ、スモーカー君。ちゃんと説明しておくれよ」
押し黙るスモーカーに満足気な表情を浮かべ、中将はディルドをいきなり強く押した。
「ああッ!!」
スモーカーの体が大きく跳ねる。その拍子に紐が首を軽く絞めた。咳きこむスモーカーを見た中将は目を細める。
「さあ、次はどうしようかな」
「やめろ……」
弱々しく呻くスモーカーを前から抱きしめるようにして、中将はさらに激しくディルドを動かす。
「ヒグッ……あ、あっ。や、めぇッ……!」
「だから、やめてほしいって何のことかね?」
ディルドに合わせて震える体を楽しみながら、中将は上機嫌に尋ねる。
この様子では答えが出るまで続きそうだ。観念したスモーカーは、不本意ながらも答えた。
「んッ。ディルドをっ、……ッ! 弄るの。ぅ……っ!」
責め手はやまず、回答中すら休ませてはくれない。
「どこを?」
「っあ! ……ケツ、ん……」
「つまりスモーカー君は今、どこをどんな何でどうされてるの?」
「ぅ、ケツ、をッ……! 太く、て、え、んっ……! 長いディルド、で、弄られて、んッ! う、ぁ……っ!」
受け答えのタイミングで、わざとディルドの動きを変える。中将は喋りながら、丁寧に前立腺をほぐしていった。
「なんでそれをやめてほしいの?」
「ッ! な、んでって……っ!!」
潤んだ目のスモーカーは、今度の質問には口を閉ざした。時折漏れる嬌声だけが部屋に響く。食いしばった歯の間からはタラタラと涎が垂れていた。
入室時からずっと笑顔だった中将は、不愉快そうに顔を歪めた。沈黙は、欲しい返答ではないらしい。
中将はディルドを掴むと、一気に半分ほど引き出した。
「ひうッ!!」
肉が引きずり出されるような感覚に、一際大きな声があがる。
引き出されたディルドは抜かれた分のさらにその半分ほど、また腸内に押し込まれた。
「んッ……っ、あっ、く……」
そして、押し込んだ分がまた引き抜かれ、前立腺を何度もディルドが往復する。経験したことない「何か」が高まっていることを、スモーカーは直感的に悟った。
圧迫感と排泄にも似た感覚が交互に襲い、下半身に熱がこもる。ディルドが当たっている部分が敏感になる。
「あ゛! んっ、あぁッ!! 〜〜ッ!!」
スモーカーの体が激しく痙攣して、脳がスパークした。快感に仰け反ったせいで紐が首を絞めあげ、咳きこみながら膝をつく。
その体は脱力しきっており、そのまま上半身が前に倒れ込んで、意図せず尻を突き出す形になってしまった。首と手首を繋ぐ紐はピンと張って、軽い窒息感が続く。痙攣はやまず、体はまだ小さく跳ねている。嬌声とも取れる呻き声をあげて、スモーカーは床で感じ入っていた。
中将はその横に座り込み、再びディルドに手を伸ばす。そして先ほどよりも速く動かして、前立腺を刺激した。
「うあッ!! ん! あああ!!」
酸素が足りず朦朧とした頭に、快感が強制的に叩き込まれた。善がるたびに背が反ってしまい、首がきつく絞められる。
涙と鼻水と涎で汚れた顔を晒して喘ぐスモーカーに、中将はディルドの動きをさらに速めた。
「あ゛あっ……! い、あッ!! もっ、ぁ……ッだ!! イ゛ッだッ!! あっ!! 」
鈍った頭では不快感と性感を処理しきれず、言葉すら上手く発せない。
「私はね、別に君でなくたっていいんだ」
容赦のないディルドの動きとは対照的に、中将が穏やかに話しかけた。
「でも君がどうしてもって言うのだからこうしてるんだよ?」
「あ、あッ! く、あ゛あ゛!! んィッ!」
首を絞められ掠れた声が、室内に響き渡った。
スモーカーは喘ぎながらも必死で会話に集中する。頭は既におかしくなりかけていた。
「反抗するくらいはいいよ。少しは反抗してくれないと、気分も下がるし。
でもねえ、黙られるってのはつまらないしなァ」
「あ゛っ、やめッ! んぁッ!! ッ!!」
「君がそんなんなら、他の子にしようかな」
その言葉に、スモーカーの意識は僅かばかり覚醒した。依然酸欠で善がったままだが、少しだけ余裕が生まれる。
「大佐でいい子いるよね。ピンク髪の気の強そうな美人」
「あ゛っ! そい、づッ!! だ、んぐッ!! やめッ、あッ!!」
「他にもさ、ちょっとドジな眼鏡ちゃんとか」
「ん、がっ、あ゛あ゛あ゛ッ!! だっ、え゛ッ! だめ゛た゛ッ!! う゛あ!!」
中将はスモーカーの弱みを完全に理解していた。精神的にも、肉体的にも。
「駄目なのかい? 君のものでもあるまいに。でも、君が質問にも答えないで意固地なままなら、私だってつまらないしねえ」
もはやこれは催促ではなく、脅迫だった。
スモーカーは悔しそうに歯ぎしりをする。そして、答えた。
「ディルっド、っあ……でっ! ケツぅ、あ゛ッ!! んあっ!!」
「駄目だよ。はっきり答えなくちゃ」
「あ゛っ、ああッ!!」
答えろと言う一方で、責め手は激しくなっていく。浅い所を集中的に責めているだけだというのに、スモーカーはとうとう潮吹きしてしまった。いつの間にやら勃っていたちんぽが小さく痙攣する。
「うッ、うぅ……っ!」
それでもディルドが止まることはない。
「あはは。女の子みたいだね」
「ひぐっ!!あッ! が……いじッ、っう……られるとッ!! っ……!」
「へえ、まだ続けるんだ」
その態度に中将は満面の笑みを浮かべた。そして既に張っている紐を引っ張る。顔が引き上げられて、体を好きなようにされ喘ぎ泣く男が露わになった。
「が、あ゛ッ! ん゛、ィあ゛!!」
「苦しいかね? スモーカー君。なんだったらやめたって──」
「あ゛ッ……たま、がッ!」
懸命に言葉を紡ぐが、スモーカーは限界に近かった。酸素が足りないせいで顔は真っ赤になっていて、意識は途切れ途切れになってしまっている。
しかもディルドが動くたび、快感がつま先から脳天までを貫く始末だ。
完全に体は支配されてしまっていたが、それでもスモーカーは「受け答え」をやめなかった。
「あッ、ああッ……! っお、かしく、うっ! なる、からッ!! あ゛!」
「へえ、弄られると頭おかしくなっちゃうんだ? こんな風に?」
「あッ! や゛、めッ!! あ゛あ゛!」
ディルドを腸に押し当てながら擦られて、スモーカーはまたメスイキした。
一瞬意識が飛び、とうとう全身の力が抜けた。もはや紐を引かれることで体が支えられている状態だ。
歯を食いしばる力はおろか、口を閉ざしておく力も残っていない。だらしなく開かれた口からは、涎と舌が出ていた。
体の重みが紐にかかり、首吊りの要領で呼吸が奪われていく。
下手したら死ぬかもしれない、そんな時だというのに中将は相変わらずディルドを抜き差ししている。それはスモーカーも同じで、歯止めの効かなくなった体は命の危機であっても性感で悶えてしまう。
「あ゛ー……」
「喘ぎ声すら満足にあげられないのかね?」
「う゛、ぐ……」
酸素が制限されて窒息する。唾液が詰まって肺が溺れる。そして死の淵に入り込む性感。まともな思考が許されなくなった脳に、聴覚を通じて中将の低い声が響く。
「で、どうして頭がおかしくなるのかね?」
──は?
当惑するスモーカーに、中将はなおも言葉を続ける。
「教えてくれよ。スモーカー君。どうしてケツを弄られるだけで頭がおかしくなるのかな?」
この中将は、徹底的にスモーカーを辱める気なのだ。体だけでなく男としての尊厳までもを踏みにじり、嬲るつもりであることをわかってはいた。わかっていた、つもりになっていただけだった。そのことを体で理解させられる。
中将がディルドを激しくかき回した。
「う゛、あう……」
「またお得意のだんまりかな? だからさあ、つまらないんだよ」
「あっ、ィう……ッ」
「あーあ。こんなるんだったら、他の子にすればよかった」
(おれはお前を楽しませるためにいるんじゃねェ)
そう言えたらどれほど楽だろうか。
そう言ったら。もし、言ってしまえば。
「……ぃ、から……う゛ッ」
「なんだね?」
「っ、あ……ぎ、もぢよっ、すぎて、んあッ」
拒絶したとして、これと同じことがヒナやたしぎにされると思うと、その選択はできなかった。
その答えを聞いた中将は突然肩を震わせ、息を破裂させるように吹き出した。
「んふっ、あっはははは! すまない。耐えきれなくて……。気持ちよすぎて頭おかしくなっちゃってるの?」
中将はひとしきり笑った後、スモーカーからディルドを完全に引き抜いた。
「あ゛ッ!!」
肉を引きずり出される感覚に、嬌声があがる。
そして首の紐を解いて、呼吸を確保した。
首が圧迫感から解放され、スモーカーは床で激しく咳き込む。空気が肺に満ちて、意識が醒めてくる。
収まらない痙攣が、理性を蝕むような熱が、自身が陵辱されたことをはっきりと示していた。
「スモーカー君。おかしくなっちゃってる君を、もっと見せておくれよ」
囁き声が鼓膜を揺らすと同時に、体がひっくり返される。
スモーカーと向き合った中将は、恍惚としていた。
中将の左手が、スモーカーの首に残った赤い跡を優しく撫でる。
「こんなに下品な顔をして、涙や涎でぐしゃぐしゃで、首輪みたいな跡まで付けて。これが"白猟"のスモーカーが持つ本当の顔か……」
「ちがうっ……!」
「お尻の穴までヒクつかせて、何が違うの?」
空いてる方の手が穴をさっとひと撫ですれば、スモーカーの体は快感に震えた。
「ひうッ……!」
「いい顔するね。この後、どうしようか」
中将が「質問」した。
ここまで来るとさすがにこの男の趣味もわかってくる。この男は反骨心のある相手を征服するのが好きなのだ。
そしてどんな言葉を待っているかも、想像はつく。その通りにしないと、どうなるかも。
「……を、……ぃ」
「どうしたんだい?」
「……アンタのちんぽを、ケツに挿入れてほしい」
恥辱に耐え、屈辱感にまみれた顔でねだる姿は、中将を煽るのに充分だった。
中将はベルトを外し、スラックスと下着をずり下ろす。すると先ほどのディルドより太くて長い、黒のちんぽが現れた。
「今更やめるだなんて言わないでね? 君の方から誘ったんだから」
そう言って、中将はスモーカーの胸板に跨った。
「ひぐ……」
圧迫感に呻き声が漏れる。
「まずはローションの代わりが必要だからさ」
呟くと熱くて硬いちんぽを、スモーカーの顔に擦り付けた。顔面の至る所をちんぽは擦りあげる。どうやら涙や涎を纏わせているようだった。
強烈な臭いが襲い、陰毛が顔をくすぐる。不快でしかないはずの状況で、スモーカーのケツ穴はヒクついていた。
「うん、これで大丈夫だね」
満足げに笑った中将は胸板から降り、スモーカーの脚の間に入る。そして両脚を持ち上げると膝立ちの姿勢になって、ちんぽの先端を穴に押し当てた。
「ねえ、スモーカー君。君のケツマンコの入口が私のちんぽに吸い付いてるよ。そんなに欲しかったのかい?」
「あ、ああ」
スモーカーは震える声で肯定して、中将の支配欲を満たすことに徹した。
それを聞いた中将は噛みしめるように何度も頷いて、一思いに突いた。
「んぁっ、ああッ!!」
火花が散った。奥を暴力的に突かれただけで、クラクラしてくる。
太さや長さが違うことももちろんだが、硬さや熱が、ディルドとは比べ物にならない快感を生み出し体を支配する。
呆然としている隙に、今度は口に舌をねじ込まれた。
「んグっ!?」
その強引さとは裏腹に、舌は口蓋や歯列を優しく舐める。ケツマンコを弄られるのとはまた別の快感が、スモーカーの理性を犯していった。
中将の舌は逃れようとするスモーカーの舌に絡みついて、なかなか離してくれない。
「ん、ふっ……はっ」
中将は鼻で息をしながら長時間口内を貪る。またもや呼吸を奪われたスモーカーは、舌が動く合間に息を吸うので精一杯だった。
もちろんピストンも終わっていなかった。腰が打ち付けられ、肉と肉がぶつかる音が室内に響く。しかしそれは先ほどまでの乱暴なものではなく、甘い痺れを残すスローセックスだった。
奥を突かれては優しく引き出され、また突かれる。刺激が弱く見えるそれは前立腺を確かに刺激しており、数分もしない内にスモーカーの体は小刻みに震えだした。
それを確認した中将はキスをやめ、舌を引き抜く。
「ふ、んぅ……な、んで」
「君のイキ顔が見たいから」
なぜキスをやめたのか。そのつもりで尋ねておきながら、答えを聞いたスモーカーは動揺した。今のは、まるで──
「キスを続けてほしかったのかね?」
「ちがっ……あっあッ!」
「突かれて喘いでるようじゃ説得力がないな」
解放された口は、嬌声を出すだけの部位になってしまった。言い訳をすることもままならず、ピストンのたびに甘い痺れが腰を走った。
「ん、あッ! っ……ん、うぅっ!!」
快感が内側から生まれてくる。そんなセックスだった。
まるで自ら性を望んでいるかのような感じ方。
そのことを意識した瞬間、ちんぽが前立腺を擦った。
「あッ! っや! ああッ!! 〜〜ッッ!」
痙攣し、反射的に足の先が丸まる。ちんぽを咥える力が一層強くなった。
「イッたね。スモーカー君」
中将が言い聞かせるように呟いた。
今度は意識が飛びはしなかったが、余韻が濃く残っている。深い快感に、取り残されたような気分だった。
しかし、取り残されたスモーカーを中将が拾いあげた。拾いあげてしまった。
「じゃあ私もそろそろイクか」
そう言って、いきなり強く突き上げたのだ。
「あ゛ッ!? くッ、ふ、あう!」
そしてその勢いのまま激しいピストンをする。
肉と肉がぶつかる音をかき消さんばかりの大声で、スモーカーは鳴いていた。
「ひィっ! や、あッ!! 」
イッた拍子に締めつけられたのをいいことに、中将はスモーカーのケツマンコでちんぽを扱いている。
「ん、ィ!! はっ、あん!! あ゛!!」
打って変わって、物のように扱われている。だというのに痛みすら感じず、色欲に溺れる身体がみっともなくて仕方なかった。
「あッ! む゛り゛!! っや、ぁ……ッ!!」
涙も涎も、鼻水も潮も、全てが体から溢れる。気づけば、無意識の内に腰も振っていた。
「もっ、だずげッ……あああッ!!」
快感が全身を走る。思考回路が使いものにならなくなる。体が完全に、支配される。快楽の信号が脳内で止まらない。
恐怖心の制御までままならなくなった頃、ふいに耳元で低い声が聞こえて
「出すぞ」
意味を咀嚼する前に
──ドピュッ! ドピュドピュッ!!
「ああ゛ッ!! あづ! ンアッ!! 〜〜ッッ!!」
汚らしい音がして、熱いザーメンがスモーカーの腸に注ぎ込まれた。
中将は激しく痙攣しているスモーカーの腰を撫でる。
「スモーカー君はザーメン注ぐだけでイッちゃうんだね……。なら、これはどうかな?」
「え? ……あ゛ッ! ひぐっ!!」
ちんぽがまたスモーカーの奥を突いた。そして激しくピストンをする。
「っん!! だ、めッ……!! ィ、ん……っ!!」
中将はそれに何も返さず、パン! パン! と肉の音だけが返ってくる。
「う、あっ……あッ!!」
スモーカーは理性では処理できないほどの快感を一身に受けながら、夜の長さを恨んだ。