三次創作
「ネス坊!突然だけどSEXしようぜ!」
部屋の前で突然こんなこと言われて、戸惑わない人間いるわけないですよね。
カイザーよりも高いトコから僕を見下ろしながら、顔色の良くないイタリア男はニカっと金の歯を見せて笑った。
「は?」
脳みそがフリーズして出てきたのは一音だけだった。そうすると、先ほどよりさらにグッと顔を近づけて「SEXしようぜ!!」と。何を言って、どうしたらいいか分からず視界いっぱいに広がるロレンツォから必死に目を逸らそうとして考えあぐねたが、3度目のSEXしようぜの言葉に耐えきれなくなって腕を引っ掴んで部屋に押し込んだ。
聞きたくないですよっ、ロレ公の口からSEXとか!!!
口を開けば金と仕事とスナッフィーの話をしていたロレ公に、女性の浮いた話なんて一度も聞いたことがない。勿論所属チームも異なるので、そこまで彼の話題を拾うこともないが、カイザーと同じ新世代世界11傑ともなれば何かとパパラッチにないことないことを記事にされてしまう。スポンサーとご飯を食べていただけのカイザーも深夜の密会だの熱愛だのとネットニュースになっていた。あ、思い出してムカついてきた……。
いやいや違う違う。そんな中で一度もそういう記事になっていないロレ公の話なんですよ。あ、なんか副業?って感じでどこかで働いている記事は見たことあるかもしれない。まぁ特徴的な見た目と身長なのでおそらく間違いはないでしょうね、あの記事は。だから金にしか興味がないのだと思っていた。
しかも僕とSEX?セックスってGeschlechtsverkehrであってます?本当に?というかなぜ僕?…なに一つわからない。
部屋に押し込んだロレ公は、部屋へのお誘い=セックスの提案が受け入れられたと思ったようで、僕は押し込んだ手を逆に取られてベッドに引き倒された。
「待って待って待って、待ってくださいロレ公!!ロレ、ロレ公っ!!」
僕の腹の上に腰を下ろし、膝で両肘を押さえられた僕は抵抗することもほぼできず、言葉で制止を試みた。というかこの拘束?の仕方なんてどこかで習います?あまりに拘束慣れしてませんか??
「だぁ〜、往生際が悪いぞネス坊」
「いやそもそも僕はヤるなんて言ってませんよ!というかなぜそんな話になるんですか?たまってるなら他当たってくださいよ!あと腕痛いので膝退けてください!ちょ、……って、服を脱ぐなっ!」
支給されたスウェットを、女性のように腕をクロスさせて脱ぎ出すロレ公に混乱し切ってフル回転だった脳みそが完全に思考停止する。え!?いやこれ僕なにを見せられてるんです?
「膝、退けたら逃げるだろ?ネス坊。」
ニィと金の歯がキラキラ光る。あ、もう膝退けるのいいんで服脱ぐのやめてもらっていいですか?と言いたかったが、目は完全に裾を掴んだ手を追っていた。
ぐいっと胸下まで上げられた裾から、肋も浮いてない程度に筋肉のついた肌が逆光の中まくられて、少し考えてからゆっくりと手を下まで降ろす。焦らすように次は真ん中の裾を片手で掴んで、臍がチラリと見えたかと思うと肌を這うように滑らせて首元まであげると薄茶色の乳首が主張を始めているのが見えてしまった。
見てはいけないものを見てしまった気持ちになった。あー、僕。やばい。カイザーの顔を思い浮かべて雑念を払うので少し待ってくださいね。
「…あーでもなぁんも説明してなかったな。じゃあ今から言うから楽しいSEXしような、OK?」
僕の目が釘付けになったのに満足したらしいロレ公は、ストリップの真似事をやめてわざとらしく膝をどける。僕が動けないでいると、その両手の指を絡めながら笑っていた。
僕は渾身の力を腹筋に入れて、「NO!!!」と叫んだ。
「だぁー、俺ぁスナッフィーに恩返ししたいの。こぉんななにもない場所だし、タマるのはおんなじ男として分かるだろ?だからぁ、俺がスナッフィーに恩返しで身体を提供する。OK?」
「なにもOKじゃないんですが…」
何を言ってるんだろうか。
「あとSEXってのは愛だろ?それにイタリア男は家族を大事にすんの。スナッフィーに愛を返すのは当然だろ、OK?」
「めちゃくちゃ語弊がありませんか?それだとイタリア男は近親相姦がデフォみたいになっちゃいますよ!」
「だぁー!俺とスナッフィーは本物の家族じゃないからこの愛の返し方は近親相姦にならないの。OK?」
「……」
頭が痛くなってきた。
「さっきもスナッフィーに提案したんだけど、断られちゃったんだよねぇ」
「良かった、スナッフィーはマトモなんですね」
何の因果でここに来たのか、ちょっとスナッフィーを通報するべきか少し迷いましたよ僕。
「スナッフィーは経験豊富な奴の方が好みらしい。昔遊んでたって言ってたもんなぁ。
だぁかぁらぁ、ネス坊!お前に頼みに来たってわけ」
「バカなんですか?は?は?いや飛躍と突拍子のなさがすごいですよ?気付いてます?ロレ公?指の触り方もいやらしいんですけど?」
指を撫でたり挟んだり、拘束と言いこの触り方と言い、どこで習うんですか?スナッフィー?スナッフィー!?いや、ちょっ、まっ