一堂に会する

一堂に会する


・緑牛がワノ国に襲来してくるところにカズラがいたらどうなるんだろう という妄想

・エミュなんもわからん

・テレグラフ初心者なのでどこかおかしくなってたら申し訳ない





 アラマキは大いに苛立っていた。

 マリージョアでは天竜人にパワハラされ、革命軍にどやされ、同僚が隕石を落とそうとするので必死に止めたら革命軍の奴隷解放を手伝いに行き。その同僚の手引きで為された七武海撤廃によりクロスギルドが設立され、世界は色々と滅茶苦茶になった。

 せめてサカズキさんに褒めてもらおうとワノ国に潜伏する麦わらを捕獲しに来たら侍どもに邪魔され、カイドウの息子が現れ、その上桃色の龍まで現れてボロブレスを吐いてくる始末。

 爆煙と共に燃えるかつて自分の体だったものを見ながら、アラマキはやりきれない怒りを抱えていた。一応殺さないように配慮していたが、そろそろ限界だ。


「その気ならわかったよ、カイドウの成り損ないが…… 口から尻尾まで串刺しに」

「待ってくれ! アラマキ!」


 燃え盛る炎を避けるようにして、アラマキの耳によく知っている顔の男が飛び込んできた。

 今世界が滅茶苦茶になっている原因の一端を担っている男イッショウの息子、カズラ。アラマキも3年ほど彼の面倒を見ていたことがある。アラマキは彼の異名である深緑の捕食者がワノ国で確認されたとの報告こそ受けていたが、よりにもよってこのタイミングで出くわすとは思っておらず、驚いた彼は体の成長を止めてカズラの方を見た。


「あァ? なんだカズラ、てめェがおれを止める理由はねえはずだが……」

「あ、えー…… 折角生やした花が潰れてる、と思って」


 カズラとしては目的の左伊多津万を取り返し、キングと最後の話をして、植物が苦しむ原因である毒は流されないことが約束され、ついでに祭りで美味しい蕎麦を食べたので、もうワノ国に留まっている理由は無くアラマキを止める義務もないのだが、かと言って、一瞬とはいえ共に戦った侍たちが知り合いに拘束される様を黙って見ているのはなんだか嫌だった。

 と、いうことを正面から包み隠さず伝えたところでアラマキは止まらないだろうということをカズラは知っていたので、とりあえず普段の自分らしい理由を答えてみたが、アラマキの意思が変わる様子はなかった。


「そりゃァお前が生やした蔦もよく切られてるし似たようなもんだろ? 大体なんでワノ国に来たかなァ、お前にとっちゃ最悪の環境だろ」

「それは左伊多津万を取り返すためで、いやだったらアラマキもなんでここに来たんだよ! 非加盟国なら海軍がくる理由もない筈じゃないのか?」

「麦わらの首取ってサカズキさんに褒められてェからだが」

「あ、うん」


 燃え盛る炎の中、和やかではないが微妙にいつもの調子で会話する二人。おそらく赤鞘たちも炎の向こうで困惑していることだろう。

 カズラとしては炎は恐ろしいものだが、それよりも今はアラマキをどうにかすることが重要だった。燃え移りそうなのを理由にちょっと後退ったのは内緒だ。


「あァそうだ、お前には聞きてェことも言いてェことも山ほどあるんだ…… イッショウさんがマリージョアで……」


 アラマキがそう言った瞬間、海のどこかから覇王色の覇気が浴びせられた。

 続けようとした言葉は途切れ、二人の意識は覇気への抵抗に奪われる。


「おわあァ~~~~!!! 待て待て!!!」

「ッ……!」


 それはアラマキに向けられたものだったのだろうが、間近にいたためかカズラの足元が覚束なくなる。それに気付いたアラマキが慌ててカズラの体を支えた。


「あァ!? おいカズラ、意識飛んでねえよな!?」

「ちょっとふらついただけだ、大丈夫…… それより、これ赤髪の覇気だろ?なんで……」

「赤髪海賊団ん~!? そばにいんのか!?」


 復帰したカズラから手を放しつつ、アラマキは海の方を見た。勿論その場から海が見える訳ではないが。

 カズラはひたすら混乱していた。なにせ育ての親を気のいい友達がかなり強めに威嚇したので、海軍と海賊ということは分かっていてもいざ二人が一堂に会すると何に味方すればいいのか分からなくなる。


「あいつらと戦うつもりはねェ、まだな……!! じゃ、悪ィなカズラ!! おれ帰るわ!!」

「あっうん、そうしてくれると助かる、気をつけて……」


 背中に高速で回転する謎の花を生やし飛び去って行こうとするアラマキをカズラと赤鞘一同は見送った。元々ジリ貧だったので、向こうから積極的に帰ってくれるならそれに越したことはないのだ。

 未だ燃える炎から逃れるように、あるいは追いかけるように、カズラが前に歩みを進めたところで、ふと引っ掛かるものがあることに気付く。


「アラマキ!! 父さんがマリージョアでなんだって!?」


 赤髪の介入によってお流れになった話に再び意識を戻されたアラマキは、カズラの方を振り返った。


「それについちゃァ次会った時にいくらでも話してやるよ!! だからそれまで死ぬんじゃねえぞ、カズラ!!」

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