ワンピースFilm ForH Part.12

ワンピースFilm ForH Part.12

勝つのは家族か、英雄か

その子は夢を見ていた

故郷で両親の作業を手伝い姉に教えてもらって妹と畑仕事をこなしてきた今は失われた日常の夢

あの男に“あの薬”を使われた両親はもう自分のことがわからなくなった

他に実験台にされた人達と共に体が壊れるまで酷使されて正気に戻った時には――――


「おい」

そこで目が覚めた

そういえば海賊船に乗せられたんだっけと顔を上げると手長族という故郷で見なかった人種の男

アプー「坊主、一回降りるぞー。ボニーがうちの食いもんまでくっちまったからこのままだとお前まで飢え死にだ」

「坊主じゃないっ!セセリだ!!」

セセリと名乗った少年が噛みつくとアプーは吹き出してしまった

アプー「アッパッパッパッパッ。そうかセセリかぁ~♪」

セセリ「なんだよ!?オレの名前おかしいかよ!?」

アプー「いや懐かしくてなー」

この子より小柄だったが子供時代のルフィも嘗められたと感じたらこうやって噛みついてきたなとアプーは弟のかわいい所を思い返す

ボニー「なーアプ~。早く行こうぜ!腹へった~っ」

アプー「さっきうちの食料根こそぎ食っただろーがっ!!ったく、誰のおかげで飯にありつけたと......」

ルフィとキッドがあの場にいなくてよかったと思ってる

いたら足りないだの好きなものがないだのと文句が3倍やってきたし怪我や迎撃で疲れた所に飛んできたら容赦なく弦を鳴らしてただろう

アプー「ほら、オメーも手伝え。買い込むもん多いからな」

そう言ってアプーはセセリを立たせる

事情を聞いて連れていくことにしたがタダで乗せるとは言ってない

というかこの少年がきっかけで予定が変わったのだから家賃代わりに雑用させるくらい大目に見てほしいものだ

ボニーが待つ桟橋に2人で降りる

お互いのクルーは船番を残してもう買い出しに出ていた

アプー「お待たせ~。んじゃ、いく「アプゥーっ!!!」ぶへぇ~っ!!?」

ボニー「うおっ!!?」

セセリ「!!?」

セセリの目には映った

麦わら帽子を被った人型の弾丸がニコニコとアプーに突っ込んでいったのが

勢いのまま海に落ちる2人

「船長ーっ!?」「今のルフィくん......だよな!?」「あちゃー......」「俺いってくる」

最初は驚いてたのに姿がわかれば慣れたようにアプーの部下が海に飛び込んでいく

どうやら日常茶飯事らしい

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