ルフィとウタの書類仕事
h m s今日は毎月恒例の慰安コンサートの日だったが、病院側の都合で少し早め終わった。
ウタはいつもより早めに基地に帰り、とりあえず部屋に戻ろうとすると、
とある部屋の入り口で、うろうろと落ち着きなくいったり来たりしている若い水色の髪の女の子を見かけた。
『あれはたしか…ことし主計課に入った子じゃ…何してるんだろう?』
見上げると、そこは誰であろう幼馴染の部屋。ふと、二種類の嫌な予感を抱えながら、声をかける。
「ねえ、どうしたの?」
「!!…ウタ少佐…お疲れ様です!」
「お疲れ様。なにかあった?」
「いえ、その…ルフィ少佐にお願いしていた書類が出ていなくて…今日が締切なのでまだ時間があるのですが、先輩に早めに声かけておけって言われて…」
予感は二つ目が当たり。少し気が軽くなったのか、そのままの勢いでルフィに声をかける。
「まーたあいつは…。ねえルフィ!主計課の子が書類取りに来てるよ!!」
開けっ放しの扉から覗き込みながら声をかける。女の子はあわあわしているけどまあいいだろう。
「あ、ウタ。おかえり。で、なんだって?」
「ただいま。主計課の子が書類取りに来てるよ」
「んー…?おう!あれ?もしかして?」
『ん?』
「あの、えーっと、今日までの書類があるのですが…」
「そうだったな。ちょっと待ってろよ…。えーっと、これか。これだったよな?」
散らかった机の上から探し出した書類を受け取ると、主計課の子は用紙をまじまじと見て確認する。
「あ、そうです。ありがとうございます!」
「いつもわりぃな!ありがとよ!!」
『んん?』
「いえ、こちらこそありがとうございます。ウタ少佐もありがとうございました。」
「…!いや、お安い御用だよ、ルフィがごめんね。お疲れ様」
一瞬反応が遅れたけど、慌てて笑顔を戻して返事をする。女の子は失礼します!とぴょこっと一礼して小走りで去って行った。どこまでも小動物系な子…
「で、ウタ、どうした?」
「…いや、帰ってきたらたまたまあの子がいたから、声をかけたのよ。それにしてもルフィ、机の上散らかりすぎじゃない?」
少佐になり個室を与えられたが、ルフィはあまり自室にいないためか、意外とモノが少ない。ただ、机の上だけは書類が山になっている
「いやー、書類とか、よくわかんなくてよ」
「もー!ちょっとは整理しないとわかんなくなるよ!」
文句を言いながら冊子を手にする。ウタも出ていた昨日の会議の資料だ。皺はついているが、見事なまでに折り目がない。たぶん開いていないのだろう。
その下には4回前の同じ会議の冊子がある。さっきひっくり返していたからバラバラなのだろうが…これは酷い。
「ぬはは!!まあなんとかなるって」
「まったく…。ちょっと片付けるわよ」
「わりぃな。ありがとう。」
「ルフィもやるの!!!」
ぎゃーぎゃー言いながら、棚にしまうもの、廃棄するもの、作成しなければならないもの、締め切りがすぎているものと仕分けていく。
・・・締め切りがすぎているもの?
「ねえルフィ、この書類、先週までだけど…」
「あ、出してねえな。まあいっか!」
「良くない!ちょっとルフィ!?逃げるな!!いますぐやりなさーい!」
結局、折角夕方前に帰れたというのに、ルフィに付き合って机の整理と、期限切れの書類28枚を終らせたら、すっかり暗くなっていた。
「やっと終わった…」
「ハラへった…」
「お疲れ様…。遅くなっちゃったけど、主計課に出したらごはん食べに行こうか?」
「おう!肉肉ぅ!」
もう遅めの時間だったので、人はややまばら。
ルフィは注文しに進んでいる。何を食べようか考えながらついて行く。コンサートの後でお腹が空いていたのをすっかり忘れていた。ルフィのせいだ。ルフィのせいだし、こんな時間だけど私もお肉でも良いかなあ。
「おやルフィちゃん、今日は遅かったね」
「やーウタにつかまってよー」
「ルフィが書類溜めとくからでしょー!」
「リカもついさっきまで待っていたんだけどね。定食でいいかい?」
「肉大盛で頼む!!!」
「ウタちゃんはどうする?」
「…わたしも同じ定食で。」
向かい合って座りながら食事をとる。二人でいただきますと挨拶。ルフィはすぐにがっつき始めた。
私も食べながら、気になっていたことを聞いてみた
「ねえルフィ、書類あれだけ溜めてたのに、今日の分はすぐに出てきたの、すごいね?」
「もぐもぐ…ぱあ、ぱれは、ばいづが、びるび、づべでぐえでうんあお」
「飲み込んでからでいいわよ…しるしがついてるの?」
「っ‥ごくん。おう、右上にな、青の×がついてるんだよ。だからみつけやすいんだ。会うたびに声かけてくれるしな。」
「!!!…ふーん。ねえ、ルフィ、毎回これじゃ大変だから、ときどき片付け手伝ってあげようか」
「ほんとか!?わりぃな、助かるよ。」
「だから・・・書類は早めに出そうね・・・!!!」
「お・・・おう・・・」
よくわからないが強い圧を感じ、ルフィは食事に集中することにした。
『ほんと、油断もスキもあったもんじゃない…』
後日、ルフィとウタの部屋は通路を挟んだ向かい同士になり、主計課の書類だけは早く出されるようになったそうな。
おしまい
この概念が刺さって勢いで書いてみた。
海軍の部屋とかスケジュールとか全く分からないので適当ですごめんなさい。