ルフィがロビンも抱き潰すお話 その3 -とある考古学者の説得 前編-
調子に乗ってSSを書き始めた人深夜、月明かりに照らされ、波音しか聞こえない大海原。
暗い海を搔き分け進むサウザンドサニー号のメインマスト、先端にドーム状の部屋がある。
展望室兼ジムであるその場所は見張り台の役目も持つ。
今そこに、麦わら海賊団"船長"ルフィがいた。
夜の見張り役として当番が回ってきたからだ。
ルフィは、眠りこけながらも、見張り役としての務めを果たすべく睡魔と戦っていた。
しかし、やはり普段から眠くなった時に寝るというスタイルであるため、段々と瞼が重くなり、こっくりこっくりと船を漕ぎ始める。
そして一際激しく身体を揺らし、完全に瞼が閉じる寸前、背後から人の気配がした。
驚いて振り返ると部屋の床、出入口である梯子を登ってよく知る女性が現れた。
「こんばんは、ルフィ」
麦わら海賊団"考古学者"ロビン、その人だ。
懐になにやら金属製の筒を持ちながら、いつも通りの涼しげで落ち着いた笑顔を浮かべている。
「そろそろ、眠たくなって来たんじゃないかと思ったのだけど・・・。どうやら当たりだったようね。」
そう言いながらジェスチャーでルフィに口の端から涎が垂れていることを伝える。
指摘されて、ルフィは慌てて袖口で拭う。
その様子にクスクスとロビンは笑いながら、懐の金属製の筒を出した。
「なんだ、それ?」
ルフィはそれを興味を深そうに見つめた。
「この間の島で手に入れた長時間の保冷保温に優れた水筒よ。魔法瓶って言うらしいわ。」
キュルキュルと蓋を回して魔法瓶を開ける。
そして、ハナハナの実の能力を使い、別で持って来ていたマグカップに中身を注ぐ。
コーヒーの香ばしい匂いとミルクの甘い匂いが部屋の中に香る。
どうやら魔法瓶にはカフェオレが入っていたようだ。
ロビンはルフィにそれを渡してから自分の分も注ぎ足す。
それから少し間をあけてから2人は同時に口をつけた。
「あったけェ・・・、"不思議水筒"ってことだな・・・・。熱っ!」
「ふふ、ちゃんと冷まして飲むといいわ。」
舌を出して息を吹きかけるルフィの姿に笑みを浮かべつつ、ロビンは自分の分を飲む。
しばらく無言の時間が続く中、ふとルフィは思い出したように呟く。
なぜこのタイミングで飲み物を持って現れたかについてだ。
「なあ、今日はおれが見張り役だろ?どうして来たんだ?」
「・・・実はルフィにお願いしたいことがあるのだけど」
「ん?なんだ?」
ルフィは首を傾げる。
ロビンからの頼み事など珍しい。
一体なんだろうと思いながらも耳を傾ける。
そんなルフィに対して、ロビンはゆっくりと口を開いた。
「単刀直入に言うわ。」
「私を・・・・ルフィの能力、ギアと覇気を使って抱いてほしいのよ」
「・・・!?、ゲホッ!ゴホッ!!?」
ロビンの口から飛び出した突拍子もない発言に、思わずルフィは口に含んでいたものを噴き出しそうになる。
なんとか堪えたものの、喉の奥が焼けるように痛む。
涙目になりながら咳を繰り返すルフィを、ロビンは心配そうな表情で見守る。
しばらくしてようやく落ち着きを取り戻し、ルフィは深く呼吸をする。
それでもまだ、胸の辺りが苦しい気がするのは気のせいではないはずだ。
しかし、それよりもルフィは確認しなければならないことがあった。
「ロ、ロビン・・・。お前、何言ってるかわかってんのか?」
「えぇ。もちろんよ」
動揺しているルフィに対し、ロビンは普段通り冷静な口調で答える。
戸惑いながらも、しばらく考えてからルフィは答えた。
「・・・んー、悪りィ、やっぱりダメだ。」
「ナミしか抱かねぇことにしてるし、それに・・・ギアと覇気を使うと色々とやべェんだ」
ロビンの申し出に、ルフィは申し訳なさそうに断りを入れる。
その返答に予想していたのか、ロビンは特に驚いた様子もなく静かに聞いていた。
「そうよね・・・変なことを頼んでごめんなさい。」
ロビンは素直に謝罪の言葉を口にすると、空になった魔法瓶とマグカップを片付け始めた。
ルフィはそれを手伝いながらも、ロビンに尋ねる。
ロビンが自分を抱くことを望んでいた理由を知りたかったのだ。
「なぁ、ロビン。どうしていきなりあんなこと言い出したんだ?」
「・・・ナミから聞いたのよ。余りに自慢されたものだから、つい気になってしまって」
ロビンは困ったような笑顔を浮かべながら、魔法瓶を手に取り、そのまま展望室を去ろうとする。
咄嵯にルフィは声を掛けた。
先ほど聞いたことだけが、理由ではないと感じたからだ。
「そんなに気になったのか?」
「えぇ、あのナミが"何もかもどうでもよくなる"って言ったのよ。そんなに凄いのなら、気にならないという方が無理でしょう?」
「そういうもんなのか?」
「そういうものよ。だから一回だけでも抱いてしかったのだけど、残念ね・・・」
ロビンは微笑みを浮かべながら答え、そのまま床にある梯子を降りて、展望室を去った。
残されたルフィは何とも言えない気持ちになり、首を傾げる。
モヤモヤとしたものが心の中に残ったままだ。
-どうすっかなァ・・・・。
ロビンに言われた言葉を思い出し、考え込むも良い解決策は思い浮かばない。
とりあえず後でナミに相談してみようと決めると、見張り役の務めを果たすことにした。
こうしてサニー号、展望室の夜は更けていく・・・・。
3階の展望室から梯子、マストにかかるロープを降りてロビンは芝生の甲板にいた。
視線はついさっきまでいた展望室を向いている。
-流石に無理な頼みだったわね・・・
ロビンは自分でも驚くほど、大胆な発言をしてしまったと自覚する。
だが、そのおかげで自分の気持ちに火が付いたのもまた事実だ。
-でも、諦めない・・・
月明かりに照らされながら、ロビンは微笑みを浮かべる。
ルフィに断られ、ロビンの興味はなくなるどころか増々湧いていた。
それもそうだ、ルフィは貞操観念だけでなく、危険性も理由として断ったのだ。
一体、如何程の快感だというのだろうか・・・?
ロビンは自分の好奇心を満たすため、計画を立て始める。
-まずは・・・"外堀"から埋めていきましょうか・・・
展望室から女子部屋へと視線を移す。
ロビンの瞳には部屋の中で眠るナミが写っていた・・・・。