ルフィがナミを抱き潰すお話 その4 後編 -狂宴の下拵え-

ルフィがナミを抱き潰すお話 その4 後編 -狂宴の下拵え-

調子に乗ってSSを書き始めた人




サウザンドサニー号 -医療室-






「それでナミ、おれに用ってなんだ?」



チョッパーは、回転椅子にチョコンと座ってナミに尋ねた。



医療室の中に甲板側の扉から、騒がしい声が聞こえ、海に飛び込む音がする。


ゾロとサンジがどちらが大量の魚を獲れるか勝負しているのだ。


恐らく、勝負はこれから益々ヒートアップし、獲れた魚の多さから、大きさに変わり、どちらがより大きい海王類を仕留めるかとなるのは簡単に予想できる。


寧ろそうなってくれた方がいい。


そうでなければ"サンジをそれとなく焚き付けた意味"がない。


二人の勝負に白熱して注目が集まれば、それだけやりやすくなる。




「まさか、熱でもあるのか?皆に言いにくいから、こうして呼び出して・・・」


「ううん、違うわチョッパー。身体はどこも悪くないから安心して」




勝負の喧騒の最中、ひっそりとナミは医療室にチョッパーを呼び出した。


医療室はダイニングキッチンへの通路を兼ねており、本来ならキッチンに常駐するサンジが近い位置にいる。


しかし、今、そのサンジがゾロと魚獲り、いや海王類獲り勝負に熱中し、仲間達は二人の勝負に目が向いていた。


つまり、このタイミングでチョッパーに何かしても誰かが気付くのは限りなく低いのだ。




「違うのか・・・?体調が悪くないなら、どうしたんだ?」




医者として、仲間として純粋な善意と使命感からナミの体を心配するも、当の本人は問題ないと言う。


では、何故自分を呼んだのか?


そう疑問に思っているとナミはニコニコと懐から何かを取り出した。



「これを・・・見て欲しかったの」



それは紐につなげれた輪っかだった。


ナミは紐の部分を右手の人差し指と親指で摘み、輪っかをぶら下げている。


チョッパーはそれに見覚えがあった。




「それって、催眠術用の振り子だろ?そんなものどうして・・・・」




ナミはチョッパーの疑問に答えない。


ニコニコと微笑むだけだ。


流石に怪訝に思い、椅子から降りようとするも、それよりも早くナミは振り子を揺らし始めた。




「チョッパー、あんたは頭が空っぽになって何も考えられなくなる」


-ワン、ツー、


-パチン!




ナミがとんでもないことを言い、数字を数え、指を鳴らす。


瞬間、全身から力が抜ける。

頭がぼうっとして思考が定まらない。


抱いていた疑問と意識が、霧のよう拡散する。




「・・・・・」



「フフフ・・・♡」



チョッパーは脱力しながら、回転椅子に座っている。


つぶらな瞳は何も写しておらず、口は半開き、だらんと脱力したその姿はまさしく愛らしいぬいぐるみのようだ。


チョッパーのそんな姿を見て、ナミはほくそ笑んだ。




‐うまくいった・・・。





2年前のウソップの一件で、ルフィには催眠術が効くことは知っている。


だが、ルフィに次いで単純であり、騙されやすいと言えるほど純粋なチョッパーにも効くかは確証がなかった。


以前、遊びで試した時は確かにルフィと一緒に催眠に掛かったが、あの時は偶然だったかもしれないからだ。


特にこんな胡散臭い指南書で覚えた催眠術などだから尚更だ。



だが、効いた。うまくいった。


ナミは小躍りしそう気持ちを抑え、目的を果たすために再度振り子を揺らす。




-「チョッパー、あんたは私の言うことを聞く」



-「それは何一つ、おかしいことではないし、疑問に思わない」



-「男用の媚薬を作る」



-「それは、海王類でも効くような、とてもとても強い飲み薬」



-「完成したら化粧品として私に渡す」



-ワン、ツー、


-パチン!



それを2回、3回、4回と・・・何度も繰り返す。


チョッパーに自分の欲しい物を用意させるために刷り込ませる。


そして。



「・・・チョッパー、あんたがやることは何?」


「すごく、つよい、かいおうるいでもきく、びやく、を、つくる」


「・・・そして?」


「びやくを、つくるのは、なにも、おかしく、なくて、できた、ら、けしょうひんと、いっしょになみに、わたす」



チョッパーは、半開きの口から涎を垂らしながら、虚ろな目で刷り込まれた暗示を復唱する。


ナミはそんな仲間の異常な姿を見て満足していた。


そして仕上げに、最後の催眠をかけた。



「チョッパー、あなたは医療室に入って椅子に座った後のことは忘れる、ここでは化粧品を作る約束しかしていない」


-ワン、ツー、


-パチン!



「あ、あれ、ナミ・・・?おれ、どうしたんだっけ・・・?」



先ほどまでの異常な状態から、チョッパーは嘘みたいに回復した。


だが直前の出来事は、催眠により消えているため戸惑っているようだ。




「もう、しっかりしてよ、チョッパー。"私に化粧品を作ってくれるんでしょう"?」


「え?あ、そうだ!ナミから"化粧品を作るよう言われたんだ"!」



ごめん、うっかりしてたと、垂れる涎を拭いながらチョッパーは言った。



「もう、しっかりしてよね。私、楽しみしてるんだから。」


「任せとけ!"完成したら、ちゃんと渡す"からな!」



ナミが心配すると、チョッパーはポムッと胸を叩き、問題ない任せろと答えた。


医者の役目でないにしろ、自分の腕を信用し、仲間として頼られたからにはその期待に応える。


チョッパーは、そのことに仲間としての生きがいを感じているのだ。



そんな一味の愛くるしい小さな船医を見つめ、ナミは分かったと了解し、微笑んだ。




・・・それだけを見るなら、非常に可愛い光景であろう。



催眠術で情欲を満たすための薬を作らせていなければ・・・。




-ごめんね、チョッパー



心の中で小さく舌を出しながら、謝罪する。


今度、お詫びに高級チョコレートを買ってあげようかしら、と考えていると甲板側の扉からルフィの声がした。



「おぉーい、ナミィー、チョッパァー!出て来いよー!ゾロとサンジがすっげぇたくさんの魚と海王類を捕まえたぞぉー!」




ナミとチョッパーはお互い顔を見合わせ頷き、ルフィの呼びかけに応じることにした。


扉を開き、甲板に出て騒がしくも楽しい麦わらの一味の日常に戻っていった。


.......


....


..


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サウザンドサニー号 -測量室兼図書館-


夜、夕食後、ナミはルフィをサニー号の3階 測量室兼図書館に呼び出していた。


仲間たちは恋人同士だし、そういうこともあるだろうと特に疑問に思うことはない。


要は誰にも違和感なく二人っきりになれたのだ。



「ふぃ~~、今日もサンジの飯はうまかったなぁ~~!」



ルフィは食った食ったと言わんばかりに自分の腹を叩いた。


それで、とルフィはナミに声を掛けた。



「どうしたんだ?おれを呼び出して」



自分をこんな時間に呼び出した理由は何か、とナミに問う。


ナミは少し俯きながら懐から何かを取り出した。




「・・・実はルフィに、見て欲しいものがあるんだけど・・・」




月明かりに照らされた薄暗い部屋の中、ナミは口元に笑みを浮かべている。


ルフィはナミが取り出したものを、規則的に揺れるそれを、しっかりと見つめていた・・・。


.......


....


..


.





「島が見えたぞぉ~!!!!」



ルフィがライオン模したサニー号の船首から叫ぶ。


叫んだ言葉通り、島が見つかったのだ。


甲板上に続々と人が集まり、島の姿を確認する。



「お、結構でかい街じゃねぇか。」



ウソップが島を様子を確認する。


まだ遠くからしか見えないが、彼の言う通り、中々街は栄えている。


港には漁船が並び、市場が活気だっている。


大通りも確認でき、どうやら商店街もあるようだ。



「そのようですねぇ。この島でしたら、ルフィさんもお約束のデートができそうですねぇ。」



ヨホホホと笑いながら、ブルックが同意した。


-島にはどんな食材があるのだろう?

-うまい酒はあるのか?

-島には伝統的な文化はあるだろうか?

-おいしいお菓子があるといいな。


島の様子を見ながら、皆と共に談笑しているとルフィが腕を伸ばしてナミの傍に飛んできた。



「ナミ!ようやく一緒に遊べそうだな!」



ニカっと眩しい笑顔でルフィはナミに言った。


島の探検への好奇心とナミとのデートにワクワクしているのは、火を見るよりも明らかだ。



「そうね、楽しみね♪」



そんなルフィに答え、ナミも負けず劣らずの笑顔で答える。

その光景を見て他の一味もより一層笑顔になった。


麦わらの一味は期待を胸に、サウザンドサニー号の舵を発見した島へ向けた。












サウザンドサニー号 -女子部屋-


ナミは女子部屋で人知れずに笑顔を浮かべる。


それは先ほどまでの爽やかで、見る者を笑顔に変えるものではない。


男であれば見るだけで股座をいきり立たせ、女であっても股を濡らしてしまいそうなほどの色気を放っている。


淫魔の如く妖艶で、ドロドロとした情熱を秘めた魔性の笑顔。


ナミがしているのは、そんな表情だ。






-本当に・・・楽しみね・・・ルフィ♡





ほうっと熱い吐息を吐きながら、下船準備を終えたナミは女子部屋を出ていく。


島へ上陸し、ルフィと2泊3日の"デート"をするためだ。





・・・いや、デートというのは正しくはない。


デートと言うには余りにも淫らで激しく、色欲に満ちた宴。


待っているのは、雄と雌が快楽を貪り喰らい、永遠とも思える一夜。


正しく狂宴だ。



ナミは待ちわび続けた"狂宴"に胸を高鳴らせ、島へと歩みを進めた・・・。



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