ルフィがナミを抱き潰すお話 その4 -狂宴の下拵え 中編-
調子に乗ってSSを書き始めた人サウザンドサニー号 -ダイニングキッチン-
夕食の時間となり、サンジが腕を振るった料理がテーブルの上に山のような並ぶ。
大量に盛られているが、どれも盛り付けは完璧で、食欲誘う香りが鼻孔をくすぐる。
一口食べれば、旨味が口中に広がり、思わず笑みが零れるほど美味しい。
ひとえにサンジの努力の賜物だが、よく毎日この絶品を大量に調理できると感心してしまう。
大量にあった料理は、食事が始まると瞬く間にその数を減らした。
原因は主にルフィだ。
いつ見ても凄まじい食欲だ。
ブラックホールというべきか、手当たり次第に口に放り込み消化していく。
あれでちゃんと味わえているのだろうか?
疑問に思うも完食した笑顔を見る限り、問題ないのだろう。
そして、それぞれの食事が終わり、食器を片付け、各々が一服しているとナミは声を上げた。
「ねえ!次に島に着いたら皆にお願いがあるんだけど。」
仲間達がナミへ顔を向けた。
「お願いって何だい?ナミさん。」
サンジが紫煙を吐きながらナミに問う。
ナミは少し頬を赤らめさせながら口を開いた。
「実は・・・///」
-次に見つけた島に街があれば短期間停泊し、しばらくルフィと二人っきり、具体的には数日間過ごしたい
要はルフィとのデートがしたい、ということだ。
当然のことながら、それを聞いたサンジは嫉妬の炎に包まれ声にならない叫びを上げた。
「っ〜〜〜~~!!!!!!#####(`Д´#)」
「せめて言葉にしろ、アホコック」
「相変わらず、不思議な炎じゃのう・・・」
燃え盛るサンジを見て、ゾロは呆れながら罵倒し、ジンベエはもの珍しげに見ていた。
奇異の目で見るのも無理はない。
人が本当に燃えているのだ、嫉妬で。
「でもよぉ、ナミ。どうして急にルフィとデートしたいなんて言ったんだ?」
「え!?/// それは・・・ほら!、この間ルフィをことを思いっきり怒っちゃったじゃない? それのお詫び。」
ウソップから理由聞かれ、ナミは恥じらいながら答えた。
その答えに嗚呼、と皆が納得する。
「そういことなら、私は構わないわ、ナミ。ブルックはどう?」
「勿論、私も構いませんよ。ヨホホホ!いいですねぇ、甘いひと時。是非、楽しんできてください!」
「アウ!その通りだぜ!俺たちに構わず、スーパー楽しんできな!」
ロビン、ブルックも快諾し、フランキーもサムズアップする。
ウソップ、ゾロ、チョッパー、ジンベエも特に反対する理由もなかったので、皆に倣った。
サンジは・・・燃え尽き泣いていた。だが反対してはいないので問題ないのだろう。
「ありがとう、皆!・・・・ていうわけだけど、どう? ルフィ。」
「ん?おう! ナミがそうしたいならいいぞ!
でもよ、ナミが怒ったのは、おれが約束を破ったからだろ? だから、そのことはもう気にしなくていい!」
最後にルフィの意思を確認すると、すんなりとデートの約束ができた。
しかも、あっけらかんと、あの時のことはもう気にするなと言う。
元々、約束を破ったとはいえ善意でやったことに対し、あれだけ怒ったのにも拘らずだ。
「フフッ、分かったわ。ルフィ。」
感謝の念を込めて微笑みながら、ルフィの考えを肯定する。
ルフィもナミにシシシと太陽のように笑い返した。
静かに涙を流すコックを除き、暖かな空気がダイニングを包む中、サニー号の夜は更けていった。
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サウザンドサニー号-女子部屋-
うまくいった。
これでルフィと二人っきりになることができる。
誰にも邪魔されず。
多少の負い目はあったものの、語ったデートの理由は噓だ。
本当の理由は、ルフィへの愛欲を満たすため。
そのための芝居だ。
ベットで横向きに寝ているナミはほくそ笑みながら、心の中で呟く。
-次はルフィね・・・。どうやってその気にさせようかしら・・・。
◇
サウザンドサニー号 -測量室兼図書館-
ルフィとのデートの約束を取り付けた後日、ナミはサニー号の3階 測量室兼図書館にいた。
どうやら何かの本を探しているようだ。
「確か・・・この辺りに・・・・あった!」
果たして、お目当ての本は見つかった。
それは催眠術について書かれた本である。
タイトルは「これでアナタも催眠術師! ワン・ツー・ハウ・トゥー・ヒプノシス! 催眠用振り子付き初回限定版」。
表紙には帽子を被った胡散臭い男と拳に何か付けた男がイラストで描かれている。
・・・・どこか見覚えがある姿なのは、気のせいだろう。
この本は以前、ルフィとチョッパーが興味本位で買ってきたものだ。
二人が喜々として一味に催眠術を試すも全くかからず、逆にウソップが試したところチョッパーとルフィが見事にかかり大騒動になった。
本来なら破棄する予定だったのだが、原因のルフィとチョッパーに猛反対した為、図書館に仕舞い、半ば存在を忘れ去られていた。
そんな役に立たない処か、ある意味危険な本なのだが、今のナミには必要だった。
わざわざロビンがアクアリウムでワインを嗜みながら、読書していることを確認し、こうして誰にもバレないように探したのだ。
ナミは本を開き、熱心に内容を読み進める。
催眠術の本・・・。
そんなものを一体何に使おうというのか・・・?