ルフィ、7歳
朝、日差しが差し、甲板にウタが出てくる。
「んー、今日もいい天気♪」
その時、男部屋から大声が響き渡る。
「何?朝っぱらから騒がしいわね」
大声で起きたのであろう不機嫌なナミと共に男部屋へ向かう。
ドアを開けると円になってハンモックを囲んでいる男達の姿が見えた。
「おお、ウタか!大変なんだ、ルフィが!」
「!」
愛しの人に何かあったのか!?と走る勢いでハンモックに向かうウタ。するとそこには
「ん〜腹減った〜メシ〜」
と寝言を言う子供になった一味の頼れる副船長の姿があった。
2階のテラスから甲板を眺めながらチョッパーとロビンが話し合っていた。
「それでチョッパー、どうだった?」
「分からねえ。一晩で子供になる病気なんて聞いたことがねぇ!詳しく検査すれば何か分かるかも知れねぇが…」
「本人があれじゃあ…」
甲板では子供になったルフィを一味が囲んで眺めていた。
「何だ、お前ら!人をジロジロ見て!」
「可愛い〜♡」
ウタは目をハートにしてルフィの周りを歩きながら堪能していた。
「可愛いとか言うな!それは女の言われる言葉だ!」
「きゃー♡あのルフィが子供っぽ〜い♡」
「いや、子供だろどう見ても」
ウタの言葉にウソップが突っ込む。
「なんだ長っ鼻!…うわ!」
「はははは、あのルフィもこんなクソガキだったんだな」
ルフィの頭をゾロが軽く叩く。
「なんだお前!この、この!」
ルフィがゾロを殴ろうとするが顔に手が届かない。
「くそ、おれのパンチはピストルのように強いんだぞ!この、この!」
「ははは、届かなきゃ意味ないな!」
「むきー!」
ゾロは笑いながらルフィを揶揄っていた。
「おいおい、子供相手に大人気なさすぎじゃねえか?」
「!すげぇ!ロボだ!」
話しかけてきたフランキーを見るとゾロを無視してルフィはフランキーの方へ向かった。
「なぁなぁ!それって何だ?」
「ん、これか?これはな…オコタエデキマセンロボ」
「スッゲェ〜!ロボだ〜!!」
ウソップと共に目を輝かせるルフィ。
「男って馬鹿ね…」
その背後にナミが忍び寄ると
「それにしても…きゃ〜可愛い〜♡」
「あ!ずるいよナミ!私もルフィ抱っこしたい!」
ナミが胸にルフィを抱き抱えるとウタもナミに絡む。
「むが、息ができねぇ…」
「おい、朝飯ができたぞお前ら…って何羨ましいことになっているんだクソゴムが!」
「!メシ〜!」
「あ!?」
ナミの腕から出るとルフィは一目散にいい匂いのする方へ走って行った。…のを見てウタは絶望した。
「まだ私抱っこしてないのに…」
「はいはい、食べるときに抱えればいいでしょ」
「!ナミそれナイスアイディア!ルフィ〜ウタお姉ちゃんと一緒に食べようね〜♡」
ウタもルフィを追って食堂に向かった。
「…いやお姉ちゃんって…」
呆れるナミだった。
「うーまかった〜!ごちそうさん!それでよ、ここどこだ?」
メシを食べて満足したルフィがウタに抱き抱えられながら問う。
「ここはね〜私たちの船の上だよ」
ルフィを膝の上で抱き抱えて機嫌がいいウタが答える。
「!…お前ら、海賊か?」
「ルフィ…?」
ウタの上から降りるとルフィはさっきまでとは違う敵意溢れた目で睨みつけた。
「海賊は嫌いだ!おれがやっつけてやる!」
睨むルフィの前で目線を合わせるようにウタがしゃがみ込む。
「私たちは海賊。でも勘違いしないで!私たちは略奪をしない、自由な海賊なの!」
「自由…!」
「そう、自由!そして私がこの麦わらの一味船長のウタ!歌で新時代を創る女よ!!」
ルフィは俯き肩を震わせる。
「ルフィ…?」
心配したウタが少し近づくと顔を上げた。
「…スッゲェー!!おれも乗せてくれよ!おれも自由に生きたいんだ!」
「いいよ!その代わり私と結婚してくれたらね!」
「「「ウタ…お前…」」」
一味が呆れる中ルフィは
「結婚…?よくわかんねーけど、乗れるならいいぞ!」
「!約束だからね!」
「ああ!」
(((それでいいのか…?)))
喜び合うルフィとウタを眺めながら一味は呆れていた。
夜、一味全員と自己紹介をしたルフィは動く骨であるブルックやチョッパーを面白がったり、ブルックの伴奏でみんなで歌いながら楽しく夜飯を食べたルフィはハンモックで寝たがったがウタの船長命令によりウタと同じベッドで眠ることになった。なおサンジは血涙を流して羨ましがっていた。