ユマクル逆転・後半
73「ユーマくん、いきそうになったら、いつでも……」
不意に視界が急転して、気づけばわたしはユーマくんを見上げていた。
いつの間にかわたしにのしかかったユーマくんが、縫い留めるようにわたしの両手を押さえつけている。
「クルミちゃん」
天井の明かりを背にしたユーマくんは、表情がよく見えなかった。
ただ低い声が、わたしの背中をぞくぞくさせる。
あれ? なんで? 動けないはずだよね?
「へぁ? ユーマくん、手錠」
「手錠ってね、クルミちゃん。準備さえしていれば、意外にカンタンに外せるんだよ」
ユーマくんの声は、いつもの優しい感じとは違った。
地を這うような、別人みたいな。初めて聞く、怒った声。
「そんなことも知らないで、男の人にこんなイタズラしてさ。ボクじゃなかったらどうするつもりだったの?」
「ゆ、ユーマくん……?」
「待っててって、書いたよね? なんでか分かる?」
「え、その」
「こういう危ない目に遭うからだよ」
ユーマくんにすっかり気圧されて、わたしは口をつぐんだ。
わたしをじっと睨みつけるユーマくんの目は、とてもぎらぎらしていて、わたしはやっと理解した。
ユーマくんは食べられるんじゃなくて、食べる側だったのだと。
「クルミちゃんには、オシオキが必要みたいだね」
そう言ってユーマくんはにこりと笑った。
いつも通りの優しい微笑み。でも、声はぜんぜん笑ってなかった。
ユーマくんが手を放しても、わたしの体は金縛りにあったみたいに動かなかった。
彼の手がすっと下に降りて、わたしのお臍の下にふれる。
「ねえ、クルミちゃんは何を期待してここに来たの?」
「あっ、う……」
服の上からなのに、子宮をかき混ぜるように撫ぜられて、わたしの体に電気みたいな感覚が走った。
期待していること。わたしがされたいこと。ユーマくんは全部分かってるんだ。
「ゆ、ユーマくん、に、あっ」
「ボクに?」
ユーマくんが期待しているのが伝わってくる。
答えようとしたのに、ユーマくんはお腹を触るのをやめてくれなくて、変な声が出そうで、うまく話せない。
「気持ちよくなれれば、誰でもいいんじゃないの?」
「違うよぉ、うぅ」
「ふうん。じゃあクルミちゃん」
服を脱いで。
そう言われて、わたしの思考は完全に止まってしまった。
目の前には、微笑むユーマくん。
優しい声音で言われたことが信じられない。
「ユーマくん、でも」
「ボクにされたいんでしょ? 早く脱いで」
怖い。
怖いけれど、有無を言わさないユーマくんの様子に、わたしは逆らうことができなかった。
「いい子だね。横になって」
しばらくして、生まれたままの姿になったわたしは、言われた通りにベッドに寝転んだ。
左隣に腰掛けたユーマくんが、わたしの体を凝視している。たまらなくなって、目をそらした。
ユーマくんの手がそっと頬に添えられて、彼の方に向けられる。
そのままユーマくんの顔が近づいてきて、キスしてくれるのかなと、つい甘い考えをいだいて目を瞑ってしまう。
「ひゃあっ」
隙ありとばかりに右のおっぱいを掴まれて、素っ頓狂な声が出てしまった。目を開けると、ユーマくんがいたずらっぽく笑っている。
彼の目は、新しいおもちゃを見つけた子供みたいにきらきらしていた。
「クルミちゃん、結構あるよね。じゃあ、まずここから始めよっか」
「始めるって、なにをするの」
「さっき言ったでしょ。オシオキ」
余計なことを言ったのかな。いきなりぎゅって、痛いくらいに鷲掴みにされた。
さっきまでわたしに触られて一杯一杯に見えたユーマくんが、今は自信たっぷりのよう。
わたしは半泣きになってユーマくんに懇願した。
「い、痛いよユーマくん。もっと優しく……」
「優しくでいいの? 余計つらいと思うけどな」
意味がよく分からずに首を傾げるわたしに、ユーマくんは優しく笑いかけた。
同時に、乱暴に胸を弄んでいた手が離れ、触れるか触れないかの微妙な手つきに変わった。
「? 何してるの、これ」
「だんだん分かってくるよ」
それからユーマくんは、わたしが言った通りに優しく胸を触り続けた。
どれくらい続いたか分からないけど、わたしの体はそれに徐々に反応していった。
ユーマくんの触り方はあくまで優しいし、繊細なんだけど、その分強い刺激がない。
しかも乳首は避けて触られるから、じっくり火が通るように、神経がなぶられていく。
心だけ満たされようにも、ユーマくんは頬や首筋にキスをするばっかりで、唇には触れようともしてくれなかった。
「気持ちいい? クルミちゃん」
「ユーマくん、これ、もどかしいっていうか、中途半端でつらい……」
「大丈夫大丈夫。今に気持ちよくなって、降りてこられなくなるからさ」
決定的な刺激を避けたまま、ユーマくんは胸を触り、お腹ごしにわたしの子宮を撫で続けた。
さっきのユーマくんのおちんちんみたいによしよしされて、わたしの体も準備が出来てきているみたい。
奥の方から何かが流れ出しそうな感覚があって、わたしは脚をもじもじさせた。
「どうしたの?」
絶対に分かっているクセに、ユーマくんはそう言った。べそをかきながらわたしが見つめても、分からないふり。
でもなんとなく、口に出してしまったらもっと悪いことになる気がして、わたしは言い出せなかった。
ふいに、つーっと、お臍の下を撫ででいたユーマくんの手が、そのさらに下におりた。
思わず硬直してしまうわたしをよそに、彼の手はそこに触れて、ちゅこって、いやらしい音を立てた。
「ほら」
わざわざ糸を引く指を見せつけてくる。ユーマくんの手を濡らしているのが何かなんて考えるまでもなくて、体温が一気に上がるのがわかった。
「こんなに軽く触ってるだけなのに、クルミちゃんって結構エッチだよね」
「やめてぇ……」
「何言ってるの。まだまだこれからだよ?」
ユーマくんは微笑みを絶やさないまま、とうとうわたしのクリトリスを指の腹で擦りあげた。とたんに、さっきの電気みたいな感覚がいきなり何倍にもなってわたしを襲った。
「!? はっ、うあっああっ!?」
「ふふ、びっくりしたねー。かわいいよ、クルミちゃん」
ユーマくんに耳元で名前を囁かれて、わたしはもうわけが分からなくなる。頭の中がぐるぐるしていく中で、ただ『気持ちいい』だけがやってくる。
「ユーマくんっ、ちょっ、ちょっと待ってえ!」
「日本語が喋れてるうちは駄目かなあ」
事もなげに言いながら、ユーマくんは攻めるのをやめてくれない。わたしはといえば、感覚から逃げようと必死で体をよじって、わたしのあそこを弄り回しているユーマくんの手を掴むしかない。
ユーマくんは、とっても力が強かった。わたしより背が低いのに、いじめてくる手をどかすことができないの。
「ま、まっで、え、ユーマくんっ、おかっ、おがしくなっちゃうからっ、とめて」
「声に余裕がなくなってきてるよ。いつもボクの前だと、ちょっとかわいい声だそうとしてるよね」
ユーマくんの細い指先が、わたしのクリトリスを何度も擦って、揉んで、押しつぶす。
自分でやるのとは比べ物にならないくらい激しい動き。でも、痛みはほとんどなくって、ただ乱暴な気持ちよさだけが途切れることなく続いていた。
「ほら、イッちゃえ。かわいいところ、見せて?」
「きゃうあ、ああああっ!」
最後にひときわ強くもみ潰されて、わたしはとうとうイッちゃった。目の前がチカチカして、背筋が勝手に反るのがわかる。
でも、終わりじゃなかった。
「ユーマくん!? や、やめでっ!?」
こんなにびくびく痙攣してるのに。もう死んじゃいそうなのに、ユーマくんはクリトリスをいじりっぱなしだった。
とっくに限界になったわたしの脳に、容赦なく快感がインプットされる。
「うあああっ あ゛あ゛っ! あああああっ!!」
あっという間に、二回目の絶頂がやってきた。それでもユーマくんは手を止めてくれない。
息ができない。気持ちよくて、苦しい。刺激が強すぎて、辛いのに。
「し、死ぬぅ! 死んじゃうよぉ! ユーマくん!」
「大丈夫大丈夫」
そのうちイケなくなるから。
そう言って、ユーマくんはわたしの脚を開かせた。嫌な予感しかしない。
「な、なにするのぉっ! もういいのっ、気持ちいいのいらないからぁっ!」
「こんなの序の口だってば。いくよ」
ユーマくんは、もうパンパンに腫れ上がっているわたしのクリトリスを、口に含んだ。
そして間髪入れず、ぬるりとした感触がそこから伝わってきた。
「――ッ!?」
わたしはもうまともな声も出せず、背中を丸めてその刺激を受け止めるしか無かった。
脚の間に顔をうずめるユーマくんを抱え込むような体勢だ。そんな格好をすれば、もちろんユーマくんを余計にあそこに押し付けちゃうわけで。
「いやああぁああっ!!」
文字通り、快感に狂ってしまうわたしを、ユーマくんはそれからも弄び続けた。
どれくらい経ったか分からない。
ほんの10分くらいかもしれないし、数時間かも。
確かなのは、その間ずっとわたしはあそこをユーマくんの好きにされていて、十回以上はイッているということだ。
「うぁ、ぁ……」
まともな声もでなくて、わたしはぼんやりと天井を見上げていた。
ユーマくんは相変わらずクリトリスをいじめてくるが、あまりにもイかされすぎて、だんだん感覚が鈍ってきていた。
そのうちイけなくなるって、こういうことかあって、思っていたら、ようやくユーマくんが脚を放してくれた。
「準備できてきたね、クルミちゃん」
「ぇあ? なあに?」
「クルミちゃんがしたがってたことの、準備が出来たよねって」
ユーマくんが優しく微笑んで、わたしの頬に触れた。じんわりと温かい手は、こうして触られると意外と骨ばっていて、男の子なんだなって思う。
ユーマくんの顔が目の前にあった。わたしのことをじっと見つめる、紫水晶(アメシスト)みたいにキレイな瞳。それが、どんどん近づいてくる。
(あ、キス……してくれるんだ)
とくんと、疲れ切った心臓がときめくのがわかった。『オシオキ』は大変だったけど、こんなふうにキスしてもらえるなら、良かったかも。
わたしはそう思って、目を閉じた。
そしてすぐに、その甘さの報いを受けることになった。
「え゛あ゛?」
衝撃。
どこに?
おなかのした。
なんの?
わかんない。
ただ、なんだか凄く重いなにかが、わたしの脚の間に割って入っていた。
もう無理なのに、それは強引に、力任せに進んでくる。
痛い。
痛い、痛い、痛い!
「うああっ、あう!? や、あああ!」
「あー、きっつい。初めてだとほぐしても一緒だね」
わたしが目を見開くと、そこにユーマくんの顔はなかった。
混乱したまま見下ろしてみると、ちょうどわたしの胸のあたりに、ユーマくんの顔があった。
ユーマくんはわたしの方を見ていない。その視線はずっと下。あそこの方をじっと見つめていた。そこには。
「あ、れ? ユーマくん、これ、入って……?」
「そうだよ、クルミちゃん。ボクのが君の中に入ってるんだ」
わたしが散々いじって、硬くなっていたユーマくんのおちんちんが、わたしのあそこに突き刺さっていた。
じゃ、じゃあ、この重いのは。
「う、うそ、うそぉっ! なんで!? なんで入ってるの!? なんで勝手に入れちゃうのお!?」
「ふふ、言ったでしょ。オシオキだって。クルミちゃんみたいな悪い子は、さ!」
ぐりぐりと、大きすぎるものをわたしの中に押し進めながら、ユーマくんは話す。
「ロマンチックな初体験なんて、させてあげないよ。キミはボクに、レイプみたいに犯されるんだ」
「れ、れいぷ、なんて、いやあ……」
「大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから。ほら、もう最後まで入るよっ……!」
「あ、うう……っ」
ユーマくんがわたしを抱きしめながら腰を押し付けてきて、とうとう彼の全部がわたしの中に入ってきた。
無理やり押し込まれて、とっても痛くて、ぜんぜん気持ちよくなんてない。おなかの太いのが、まるで内臓に鉄の棒を埋められたみたい。
「頑張ったね、クルミちゃん。全部入ったよ。ほら、分かる?」
ユーマくんがまた優しくほほえみながら、左手でわたしのお腹を押してきます。さっきまで子宮を撫でていたのより少しだけ下の位置。
ユーマくんにわたしが拡げられているところを。
「ここまで入ってるんだよ。こんな杭みたいなの、もう逃げられないね」
「やぁ……こんなのやだぁ……」
「慣れるまでじっとしてようね。もっとこっち、おいで」
わたしはユーマくんに言われるままに顔を近づけて、そのまま優しくキスされた。
まさかファーストキスより処女を奪われる方が先だなんて、昨日までのわたしだったら思いもつかないだろうな。
ユーマくんと唇を合わせていると、彼の舌がわたしの舌に触れた。
緊張してしまう舌を絡め取られて、そのまま唾液を交換するうちに、わたしはだんだんぼおっとしてきた。
「ぷはっ」
口を離してあえいでいると、今度はおっぱいを触られる。思わず身を捩ると、咎めるように乳首を摘まれて、鋭い感覚に体が硬直してしまう。
「逃げちゃだめだよ。クルミちゃんが気持ちよくなるためだからね」
そこからは、入れたまま、触れられて、揉まれて、口の届くところは全部キスされた。
抱かれるってこういうことなんだって、わたしはなんだか妙に納得してしまった。
そして、いったいどのくらいの時間が経ったのか、わたしの中で大人しくしていたユーマくんが、急にぐりっと押し付けられた。
「ひゃっ」
「もう辛くなさそうだね? そろそろ動こうかな」
「ゆ、ユーマくん待って。怖いよ」
押し付けられて、おどろくことにわたしはもう痛くなかった。
その代わりに、じわりとした、不思議な感覚がゆっくりとおなかに広がってゆく。
何だか分からず怯えるわたしに、ユーマくんはまたキスをした。
大丈夫だよって、なだめるみたいに。
「ここからは気持ちいいだけだから、安心して」
「ほ、ほんと? 痛くしない?」
「しないよ、しない。クルミちゃんも、反省した?」
「反省した! 反省したよ! だから許して? ユーマくん」
「クルミちゃんは素直でかわいいね」
ユーマくんはわたしをそっと抱きしめた。そしてわたしの耳元に口を寄せて、とろけるような低い声で言った。
「でもまだ、日本語喋ってるよね?」
わたしがぞっとする暇もなく、ユーマくんが腰を揺らめかせた。
そして、わたしの中から出ていったかと思うと、いきなり一番奥まで突き刺さってきた。
「~~ッッ!? ~~ッ❤❤❤❤」
声は出なかった。呼吸が止まっていたから。
おなかの奥から広がったその感覚は、じわりだとかそんなものじゃなかった。
爆発するみたいに、電気のかたまりが、わたしのおなかから背筋を通って、頭の中までかけめぐった。
「アッ、あ゛あ゛あ゛あ゛、うあ゛」
「ふふふ、やっと仕上がってきたね。じゃあ、ボクとセックスしようか、クルミちゃん」
ユーマくんが腰を使い始めた。何度も何度も突きこまれるおちんちんが、電気の棒みたいになって、わたしの体をめちゃくちゃにする。
「ごわ゛れ゛る゛ッ! お、おく、こ、ごわ゛れ゛る゛がら゛ッ!」
自分でももう、何を言っているのか分からない。でも、このままじゃ死んじゃうとは思っていた。たとえ死んじゃうことはなくても、もうまともに考えられなくなるのはわかった。
消えたくない、いなくなりたくない。そう本気で思って、わたしは泣きながらユーマくんに許しを求めた。
「大丈夫、女の子はこれくらいでは壊れないよ」
「うそ! う、うそお゛! こわれ゛ぢゃうううう!」
恥も外聞もなく泣き叫ぶわたしを見ても、ユーマくんは微笑むのをやめない。
今はそれが、ただ怖かった。
「壊れちゃっても、ボクがお世話してあげるからね。安心しておバカになっちゃえ」
「やあっ いやああっ!!」
小さい子みたいにいやいやをするわたしの背に手を添えて、ユーマくんはぐっと体を起こしてきた。
ユーマくんに組み敷かれていた体勢から、座って向き合うような体勢になる。たしか、対面座位っていうやつ。
重力にしたがって降りたわたしの体が、ますます深くユーマくんを飲み込んで、わたしは刺激からの助けをもとめてユーマくんにしがみついた。
「クルミちゃん、すごく絡みついてきて、ボクも気持ちいいよ。もう何も考えられないようにしてあげるからね!」
「うわあっ、ああ、ああああああああ!」
ユーマくんに突き上げられて、わたしは動物みたいに叫び声をあげるだけになっちゃった。
あーあ、ユーマくんの前では、かわいくて頼りになる情報屋さんだったのに。これで全部台無しだよ。
「ほら、もっとイッて!」
「やああああっ!」
忘れていた頃にクリトリスを握りつぶされて、わたしはユーマくんを強く抱きしめながら今日最高の絶頂をした。
ユーマくんが、わたしのなかでびくびくと震えているのがわかった。
あ、そっか、これ、イッてるんだ。射精って、わかるんだ。
「はっ、……はっ」
わたしは糸が切れた人形みたいにベッドに倒れた。
もう意識が飛びかけているみたいで、目の前がぼやけてしまう。脚の間は、なんだかどろどろしていた。
そういえばコンドームとか、つけてなかったような。じゃあユーマくん、中で出したのかな。
……赤ちゃんできちゃったら、どうしよう。
「……?」
朦朧とするわたしに、ユーマくんが触れて、体をひっくり返される。
うつ伏せの体勢だ。なんだろう?
「あがっ!」
腰とお尻に手が触れたかと思ったら、ずん、と衝撃がやってきた。
信じられなくて振り返ると、わたしに後ろからのしかかるユーマくん。
「なんで、なんでぇっ!? もう終わりなんじゃ……!」
「まだ喋れてるでしょ」
うつ伏せの状態でわたしに入ってきたユーマくんは、腰の動きを再開しながら言った。
また暴力みたいな気持ちよさがわたしを翻弄していく。
「だからいっぱい、気持ちよくなろうね?」
そのユーマくんの言葉を最後に、わたしの記憶は飛んだ。
翌朝。
「やってしまった……」
ユーマ=ココヘッドことナンバー1は、ベッドの上で完全に失神したクルミを前に自己嫌悪に襲われていた。
途中までは、一応優しくするつもりだったのだ。だったのだが、どこかで変なスイッチが入ってしまったらしい。
彼女の体はなるべく綺麗に拭いておいたが、これはこれで怒られる気しかしない。
「結局、好きだとも何とも言ってないし……」
結局昨日は、何回したのだったか。正常位で2回、後背位で3回、対面座位で2回、あとは……いや、やめよう。
ため息をついて項垂れると、クルミがうなされてでもいるのか、少し苦しげに眉をひそめた。
「無理させてごめんね、クルミちゃん」
ナンバー1、クルミにとってのユーマが彼女の髪をそっと梳くと、クルミは安心したように表情を和らげるのだった。
おしまい