モブ男×キャスター(前編)

モブ男×キャスター(前編)


--少しの間、マスターの会談を共にするだけで良かったはずだ、なのに何故こんな様になっている


キャスターは縛られ、布団の上に転がされていた。


先程まで、マスターである土御門泰広と幕府の重臣との会談があり、キャスターも出席するように命じられていた。

普段はそのような会談に出席することはないのだが、今回は以前から連絡役として土御門家に出入りしていた重臣の男から要望があったらしい。何でもキャスターが出席することで幕府からの支援も増すのだとか

何故僕が出席しなければならない?

サーヴァントを直に目にしたいのだろうか?

そもそも、あの男は苦手だ。

あの男から向けられる粘着質な視線が嫌で仕方がない。

疑問や不満はあるが、儀を進めやすくなるのならば、悪い話ではない。


若干の面倒臭さを感じつつ、深くは考えずにキャスターは会談に臨んだ。


会議は滞りなく進んでいたようだった。

といっても土御門家の再興などキャスターにとってはさして興味のない内容、さっさと済めば良いものをと俯きがちにマスターの後ろに控えていた。

だが、ふと身体に違和感を覚えた。

靄がかかったように視界が暗く、明瞭に聞こえていたマスターと男の声が遠く感じられる。異変に気づいた時には既に遅く、キャスターの意識は闇に飲まれていった。


その時、男の口元が歪んで見えた


ふと、目を開くと先程までのあかあかとついていた明かりは小さな行燈一つとなっており

部屋は薄暗くなっていた。

雨音が優しく鼓膜を撫でている。

雨が降っているせいだろうか、空気が冷たい。それに反して身体が熱く、手足の感覚が鈍い。

熱さに僅かに身じろぐと、腕の痛みに気付く。

どうやら後ろ手に手首、さらに胸に縄を通す形で腕を縛られ、布団に横たわっているようだ。


ーー何だこれは、何が起きている?


明らかに異常な事態だ、マスターは何処へ?

一体誰がこのような事を、、、

疑問が次々に沸くが、まず拘束を解かねばと、上体を起こそうとする

「ッ、ん……」

鞭で打たれた様に鋭い熱が稲妻の様に全身を駆け、身体が震える。

思わず高い声が漏れたことに羞恥を感じながら、不明瞭な頭で考える。

この異変が起きたのは会談中だ。

あの男の歪んだ口元、自身のサーヴァントの異変に気づいていただろうにそのまま放置しているマスター。

そうだ思い返せば、はじめから今回の会談は変だった。

何故僕が共をしなければならなかった?

敵襲でもないのに身体に起きている異変は何だ?

あの男とマスターが手を組んで、僕に何かしたのではないだろうか?

するとこの異変は何かしらの術の類だろうか、そう考えれば辻褄が合う…だが、

「な、ぜ、、、? …っ、ぁ゛!」

思考を巡らせていた頭は、次第に高まる熱に中断させられた。

全身の体温がさらに上昇して脳が痺れていく。そしてじきに、縄で戒められている胸や腕、内股あたりがむず痒くなりはじめてキャスターは無意識に身体をこわばらせ、両足を擦り合わせた。

雨夜の冷たい感触がだんだん分からなくなり、艶かしい暖かさだけを敏感に拾い始めていく

「あぁッ、んっ、はぁ…」


嫌だ、嫌だ、嫌だ

違うこんなのは、僕の声じゃない

こんな、こんなのは違う


自身が今どんな状態に置かれているのか

確かに把握しているキャスターだったが、僅かに残った理性が理解を拒んでいた。

そうしている内にもキャスター自身へ熱が溜まり、抗いきれない衝動が襲ってくる。


「っ…、うっ……んく」


無意識にキャスターはうつ伏せになり、身体を布団に擦りつけていた。


「う……ンッ、あっ、ぁう、嫌、嫌だッ

どうして僕が、こんな、ァッ」


もう最後に残った理性も溶けかけているのか懸命に頭を振り、否定の言葉を吐きながらも、腰の動きは速くなり、胸を、キャスター自身をさらに強く布団に押し付けながら擦りていた。


「ひ、あぁッ! ぁ、いや、ちが……っ、こんなッ、も、っ、いや、だ、

あぁ、ァ、ッーーーーー!」


頭の中が真っ白になり、キャスターは身体を震わせながら果てる。

瞳は蕩け、染みた唾液で色が変わった口布越しにも分かる程、口を開けハアハアと必死に呼吸をしている。

常時の鋭く、どこか気怠げな様はどこにもなくい。

快楽に溺れる、抜け殻のような男がそこにあった。



襖が開き、そんなキャスターの様子を満足げに、見つめる男がそこに立っていた。



モブ男編に続く…



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