モブ生徒の日記 3冊目

モブ生徒の日記 3冊目

ハモンドオルガン

...困った

「ここがどこだかわかって歩いてんのかぁ?」

待ち合わせに遅れると思って少しルートを大着した結果がこれだ

急がば回れって多分こういう場面なんだろうなー

「おい?聞いてんのかよ?」

あ、聞いてますよ

「そうか、じゃあここがどこだか分ってるよな?」

ヘルメット団の占領地ですよね?

「そうだ、ここはヘルメット団の占領地だ、さっさと金目のもの出せば見逃してやるよ」

うーん...払うしかないか...

そう思い始めた瞬間

「あ、いたいた!」

「あん?だれだあれ?おい!ここは」

「いやーこんなところにいたんだ、早く行こうか」

この子はツクリ、何でかは知らないけど私の事を気に入ってるハイランダー所属の1年生

「おいこら!無視するな!」

「ほら、早く行こうよ」

あの?あれはいいんですか?

「おい待てって」

ガツン

「ぐわ!?」

その瞬間鈍い打撃音が響く

ツクリが手持ちの金箱を振り上げそれが顎に直撃したようだ

「な、何をす」

ジャキッ

「がふ!!」

それはただの鉄箱じゃなかった

それは銃だった

銃身が勢いよく飛び出てヘルメット団の腹を直撃する

「さてと、このまま見逃してくれるかな?」

ツクリは不敵な笑みを浮かべながら言う

「う...くそ、おぼえてろー!」

ヘルメット団は逃げて行った

「えっと、大丈夫?ケガしてない?」

ケガしてません

「そう、良かった」

そういって銃身を箱の中にしまう

そういえばどこに行くか聞いてなかった

「そういえば言ってなかったね、よく来てくれたね」

断るわけにもいかなかったので...

それでどこに行くんですか?

「今日行くのは...少し遠いけど私のお気に入りの場所だよ」

お気に入りにの場所かぁ...

どんな場所なんだろう、私は胸を躍らせついて行った


連れてこられた場所はゲヘナとブラックマーケット近くの隠れた名店のような雰囲気があるカフェだった、というか実際知る人ぞ知る名店なんだろう

店内は木造で、月光 ソナタがジュークボックスから流れている

ピアノもあるが、もう長いこと使われていないようだ

「ふう、いつも思うけどこの店の紅茶は美味いね」

こだわりがあるんですか?

「いや?飲料なら基本的にはなんでもいけるよ、珈琲は砂糖大量に入れないと飲めないんだよね」

へー、苦いもの平気なタイプだと思ってました

「実は苦手なんだよねー...そういえばここらへんで流行ってる遊びがあるみたいなんだけど」

どんな遊びですか

「ショットガンでロシアンルーレットする遊びなんだけど...」

やめといたほうがいいんじゃないかな

「意外と楽しいよ?」

なんで自分から危険に突っ込むの?

「そうすることで作曲のインスピレーションが湧くから...あっそういえばこれも説明してなかったね、私はその道では結構有名な作曲家兼奏者なんだよね」

結構すごいことやってるんだ、でもあんまり自分の身は危険にさらさない方がいいと思うよ

「...まあ肝に銘じておくよ」

数秒後には忘れてそうな反応だ

「うーん、そうだな、少し昔ばなしでも聞いておく?私がロックスターを目指そうとする動機になった話なんだけど」

ぜひ!

「おお嬉しいね、あれはかなり前の話だ、あの時の私は今と比べるとひよっこでまだまだ未熟だったんだ、ある日楽器探しに通りを歩いているとものすごく上手なピアノがどこかから聞こえてきたんだよ、その演奏は一生で一度聴けるかどうかの物凄い演奏だった...あいにくその時に奏でられた曲は何かわからなかったし最後まで聞けなかったよ、でもそれには人々の心を強く突き動かす力があった、でなければ私が此処に居る事はなかったからね、でもあとを追ってピアノをやり始めたってあの演奏は越えられない、越えられる気はしない、そこで私が得意とするものに目を向けてみたんだ、これが私がロックをやり始めた理由だ」

へぇーそんな理由があったんですね...ロックスターになったらどうするつもりなんですか?

「ロックスターになったら?そうだな...みんなが気軽に音楽を初めて、それで個々を表現できるようにしたいかな」

素敵な夢ですね、応援します!

「そう言ってもらうのは嬉しいね、そういえばピアノって引いたことある?」

いや、まったくないです

「そうなんだ、このお店ピアノがあるでしょ?なんでもピアノを弾いたことが全くなくても上手く弾けるみたいだよ」

ほんとに?

私は半信半疑でピアノの近くによる

ただの手入れのされていないピアノに見える

楽譜はインクが消えかけでほとんどあてにならない

こんなので本当にうまく弾けるのか?

私は無意識に月光 ソナタの第三楽章を弾き始めた


気が付くと店内の目線はすべて私に集まっていた

私は恥ずかしくなりそそくさと自分の席に戻った

「すごくうまく弾けてたよ、ほら」

映像を見る限り私は上手く月光 ソナタの第三楽章を弾いていたが私には引けたという認識は全くなく、寧ろ全く弾けていないという認識があった

...そういえばこのピアノってこのお店のものなんですか?

「もともとは違ったんだけどね、ある日突然持ち主がピアノと一緒に突然消えてその数日後ピアノだけが不気味にも戻ってきたんだって」

え、怖

「まあよくある怪談話だよ、なぜかは知らないけどピアノをどかそうとした従業員や次々と大けがを負ったみたいだけど」

店主もよくこんなのおいて...ケガするからどかせないのか

「でもお客さんがどかす分にはどけるんだよね、従業員に頼まれてやったら酷いけがをその従業員もろとも負ったみたいだけど」

酷い話だ

「さてと、そろそろ行こうか、お代は私が出すよ」

じゃあお言葉に甘えて...

「今日は楽しかったよまたね!」

バイバイ!

いい人た、不良に絡まれた時も助けてくれたし、流石に治験だなんて言って倉庫に連れ込まれたときは怖かったけど...結局なにも起こらなかった、そうだよね?不穏な噂が流れてるけど、噂は噂、いつか流れなくなる...でも、なんでだろう




変な胸騒ぎがするのはいったいなんで?

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