モブ海兵視点

モブ海兵視点


会議前に弱ってるワニの介抱してたらドに膾にされかけるピュアモブ海兵視点

ちく開発事件があった次の招集会議くらいを想定

明るめの夢っぽい構成なのは許してくれ!

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ある海兵は会議用の資料を抱えて走っていた。ここで遅刻などしようものならただでさえピリついた元帥の視線に晒されるだろうことは目に見えていた。しかし、直前に古い史料から引用しなければならない事態に陥り、修正版の準備に手こずっていたのだ。目の前の丁字路を曲がればあとは会議室まで一本道、というところで、突き当りで人影が壁にもたれるようにしゃがみこんでいるのを見つけた。しゃがみこんで、といっても人影の人物はかなり大柄なほうで、それでも立っている海兵とそう変わらないほどの上背だった。

 

「サー・クロコダイル。どうかされましたか」

本来ならば既にこの丁字路を左に曲がった会議室にいるはずの彼に、おそるおそる声をかけた。ああ?、とこちらを見たクロコダイルの表情は以前見かけたときと同じく不機嫌そうであったが、心なしか声に張りがない。近づいて分かったのだが、右腕で胸の辺りを抱き込むように押さえていた。顔色を窺えば上気した頬と、かすかに潤んだ眼で睨まれた。確か前回の招集会議では直前に珍しく欠席したのだったか。英雄と称えられている彼ならば負傷や体調不良も珍しくはないのだろう。そんな状態でも招集に応じるのか、と、同じく民衆を守る立場として海兵は尊敬の念を抱いた。

 

「気分が優れないのでしたら、医務室までご案内します」

人助けとあれば遅刻もやむなし、と考え声をかけた。が、返ってきたのは心底煩わしそうな、半ば呻くような嘆息だった。

 

「……つる中将はいるか」

意外な名前が出たことに驚きつつ、おつるさん……いや、つる中将なら頼りにされることもあるだろうと納得した。そういえばこの道を右に進んだ先にはつる中将の部屋がある。そこを目指していたのか。

「まだ部屋にいらっしゃるはずです。手をお貸しします」

と、手を伸ばしたところ立ち上がるクロコダイルがよろめいたので、思わず強めに腕をつかんでしまった。クロコダイルの表情に強い緊張が走るのを視界の端に捉える。それが恐怖の色にも似ていることを理解する前に彼の右手に突き飛ばされ、気づいた時には海兵の体は砂嵐に揉まれ宙に浮いていた。

 

 

「——よお、こっち向けよワニ野郎」

 

 

ドサッ、と砂嵐から解放された体は先ほどいた場所から数歩離れた場所に無造作に落とされた。三半規管をやられたのか、それとも頭の打ち所が悪かったのか、眼以外のすべてを動かすことができなくなっていた。

 

 

「今度はあの海兵と何やってたんだ?」

 

 

いつのまにかクロコダイルの背後には派手な彩色のドフラミンゴが陣取っていた。壁に腕をかけながら禍々しい笑顔を貼りつけ、楽しんでいるような、イラついているような、心情を測りかねる奇妙な声音で語りかけている。

 

「…………。」

 

クロコダイルはピクリとも動かず、感情の抜け落ちた顔で床を見つめていた。弱った気配はもうなく、ただ、静謐がある。

目線を下に移すと、そこには自分が持っていたはずの資料が寸刻みに散らばっていた。突き飛ばされていなければそこに転がっていたのは何か、想像に難くない。

 

「なあ、ワニ野ろ「————。」う」

 

クロコダイルは被せるように何事かを呟いた。だがそれはほとんど呼吸だけの無声音で、ドフラミンゴにすら聞き取ることができなかったようだった。常に凶悪に吊り上がっているかに思われた口角をこれでもかと下げ、なんだ、と聞き返す。

 

しかしクロコダイルが答えることは無く、緩慢な仕草でこちらへ歩みを進めてきた。日当たりのせいか昏いその目は、もう海兵には一瞥もくれず、まるですべての興味を失ったかのようにただまっすぐ道の先を見ていた。

 

一連の流れを呆けたように見届けていた海兵は突如自分の置かれた状況を理解し、梯子を外されたような感覚に陥った。まだまともに動かない体でどうやって不機嫌な天夜叉から逃れろというのだろうか。グラスの下の目はもう自分に狙いを定めているのかもしれない。瞬きをした次の瞬間に、自分は活け造りじみた姿を晒しているのかもしれない。明確な死の恐怖に五感のすべてが覆われんとする。クロコダイルはやはり、自分を置いていくと確信する。

 

が、すれ違いざまにすくい上げるように振るわれた彼の腕によって、再度体は砂嵐に攫われた。

 

視界が晴れたとき、今度は丁寧に廊下へ横たえられていた。丁字路からは見えない、つる中将の部屋に続く廊下の角だった。慌てて起き上がり、かの背中を見つけた海兵は精一杯の敬意と感謝をこめて敬礼した。

 

「ありがとうございます!」

 

クロコダイルは歩調を緩めることすらせずに遠ざかっていた。

 

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この後おつるさんの部屋で体を抱きこむように蹲って震えるワニは、います。

蛇足↓

ワニ:別に助けたわけではない。(事実)

乳への刺激+ままならない体+自分を掴む男の手+ミンゴの気配=パニック&フラバが出力されただけ。ミンゴに背後から話しかけられてからは何も見えてないし聞こえてない。

ミンゴ:謝りたかった

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