メカぐるみ生態観察

メカぐるみ生態観察


 本日はガンダム・ファラクト種、その中でも特にその生態に不明な点が多い、4号種と呼ばれるメカぐるみについて迫っていきたいと思います。

 この4号種ですが、数が少なく、また生殖本能が非常に希薄だと言われており、長年絶滅の危機にあるのではと言われておりました。

 しかし近年の研究により、4号種は決して生殖本能が希薄な訳ではなく、特定の種族に対してのみ生殖行為をするのではないか、という説が唱えられ始めました。4号種が生殖行為を行うのは、ガンダム・エアリアル又はガンダム・キャリバーン種、その中でもスレッタ種と呼ばれる個体に限定されるようです。

 今回、4号種によるスレッタ種への求愛から番うまでの過程を撮影することに成功しました。これはメカぐるみ生態において大いなる発見といえるでしょう。

 その映像がこちらです。


 4号種がスレッタ種の様子を窺っています。どうやらアプローチすべく狙いを定めているようです。おやっ、4号種がコラキ(※注:ガンダム・ファラクト種が使う小さな飛び道具のようなもの。相手の動きを封じることができる)を飛ばしました。

 完全に油断していたスレッタ種、あっさりコラキに捕えられてしまいます。赤いコラキのスタンビームがまるで縄のようにスレッタ種の身体に食い込んでいます。

 スレッタ種、じたばたと抵抗を試みますが、動くことができません。完璧にコラキに捕えられているようです。スレッタ種は本来戦闘力の強い種族なのですが、完全に油断していたようですからね、無理もありせん。スレッタ種、涙目になっています。4号種は、それをじっと観察しているように見えます。

 しかしどうするのでしょうか。これではまるで捕食するかのよう…おや、4号種がどこからか弁当を持ってきました。いつの間に用意したのでしょう。果たして手作りなのでしょうか。研究しどころですね。

 その弁当を……なんということでしょう、スレッタ種に差し出しました!「お腹、空いてない?」

という気遣いの言葉つきです。これは完全にアプローチですね。アプローチの相手を自身のコラキで拘束プレイしている事に目を瞑ればですが。

 おや、コラキの拘束が緩みました。スレッタ種、やや頬が赤くなっております。4号種の差し出した弁当を受け取りました。……食べました!そして……おおっと、泣き出してしまいました!突然拘束された上に見知らぬ雄から弁当を差し出されて混乱しているのでしょうか。無理もありません。

 4号種、ここぞとばかりに慰める……かと思いきや、何もしません。じっとスレッタ種を見つめています。ガン見です。弁当が口に合うかどうか確かめているのでしょうか。番うにあたっては、食の好みは大切ですからね。

 スレッタ種、弁当を完食しました!よい食べっぷりでしたね。ここに来て、4号種が自分をガン見している事に気付いた様子です。おどおどしつつ、何か尋ねているようです。「どうして…」と言っているようですね。確かにそれはそうです。観察している私も知りたいです。さて4号種、どう答えるのでしょうか。

 おおっとこれは!なんと端的、かつ簡潔な口説き文句でしょう!「君に興味があったから」「君のこと、もっと知りたい」ときました!

 これを照れも臆面もなく言ってのける4号種、素晴らしい。これは「言葉などなくとも通じ合える」などと宣い、日頃のコミュニケーションを疎かにしている者全員に見習ってほしい姿勢ですね。

 これにはスレッタ種、ひとたまりもありません!真っ赤になって沈黙してしまいました。もぞもぞ、ちらちら、4号種の様子を窺っています。

 種族の違う我々から見ても明らかに好意的です。言葉を選ばずに言うならば、雌の顔、と言うべきでしょうか。今までのスレッタ種の記録にはない表情で4号種を見つめています。

 4号種、ここぞとばかりに畳み掛けます。「君のこと、もっと教えてもらえるかな」これは上手い。あくまで決定権は相手に委ねつつ、若干の強引さを見せ、雄としての力強さのアピールも兼ねている模様です。これは強い。

 スレッタ種、真っ赤になって頷きました。求愛成功です!

 4号種、スレッタ種を抱えて自分の巣へと帰って行きます。これから生殖活動が始まるのでしょうか。

 今回の記録はここまでです。我々調査隊は、メカぐるみ生態の解明のため、今後も観察を続けていきたいと思います。



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