マスカレーナの卑猥な妄想と非情な現実
「へへ、いいザマだぜマスカレーナ」
「くっ」
鉄鋼のワイヤーで身体を縛られ、身動きか取れなくなったマスカレーナ。
仕事を終え、あらかじめ決めていた逃走ルートに入ったところで目の前で下劣な笑みを浮かべる男たちに捕まってしまったのだ。
「へへ、今からこの身体を好きにできるってんだから役得だな」
むにゅりとマスカレーナの胸を揉みしだく。
「ふん、汚い手で触らないでほしいかな」
「ちっ、この状況で減らず口を…おい」
男が声をかけると別の男が持ってきた拘束具…口枷をマスカレーナに咥えさせる。
「んーっ、んー!」
瑞々しい唇の端からとろりと涎を垂らしながらマスカレーナは目の前の男たちを睨む。
「へへ、これで少しは静かになるだろ」
「覚悟しろよマスカレーナ。お前にのせいで被った被害額分は楽しませてもらうぜ」
そう言って男はベルトを緩め、その下半身を露わにした。
「ふ、うぅ♡」
くちゅりとした水音が耳に届く。
ゆっくりと目を開け、見慣れたセーフハウスの天井が視界に広がる。
夕刻、ベッドに横になって秘部をやさしく愛撫していたマスカレーナはゆっくりと手を顔の前に持ってくる。
爪先まで手入れを怠っていないその白く細い指を開くとねっとりとした粘液で糸を引く。
「うへぇ、あたし濡れすぎでしょ」
顔を朱に染め、興奮しているのを誤魔化すようにおちゃらけて言う。
ムラムラとした身体を鎮めようと始めた自慰行為。そのオナネタはつい先日あわや現実になりかけた出来事だ。
仕事を終えた自分を捕えようと集まった男たち。彼らはマスカレーナの逃走ルートに潜み、待ち構えていた。
だがそれは自分を狙う民間人…マスカレーナの仕事のせいで大損した投資家や事業家たちが用意したはみ出しもの、いわゆる反グレだ。
彼らのお粗末な襲撃計画をとっくに把握していたマスカレーナはウソの情報を流しており、別ルートを通ることで事なきを得ていた。
計画に失敗した彼らはとある秘匿性の高いトークルームで反省会をしており、口々に文句を言っていた。
そのトークルームにメンバーとして潜り込んでいたマスカレーナは男たちの下劣な欲望のこもった書き込みを読んでいるうちに熱のこもった下半身に手を伸ばしていたのである。
あの時こいつらのいたルートを通っていたら…そういう妄想ではじめた自慰は思った以上に身体に悦びを与えていた。
「はぁー♡ぁーふ、ぁあ♡」
枕元においたデバイスに手を伸ばし、画面を覗き見る。
そして再びマスカレーナは卑猥な妄想に没入していく。
「オラァ!」
「ンゴォ♡」
パァン!と子気味いい音が荒れた廃屋に響く。
小ぶりながら非常にカタチのいいお尻を強調するような格好でバイクに跨らされたマスカレーナはその突き出した尻を男の手のひらで幾度も打ち据えられる。
「けけ、見ろよコイツの顔。尻引っ叩かれて悦んでやがる」
「小悪魔ぶってるクセにとんだマゾ女だぜ」
パァン!パァン!パァン!
叩かれるたびにギシギシとバイクが揺れ、股の辺りで濡れている感触が伝わってくる。
「おいおい、引っ叩かれて濡れてやがる」
「これなら次の段階に移ってもよさそうだな」
ガシャンとバイクを蹴り倒され、地べたに放り出されるマスカレーナ。
愛機に傷がつき、怒りのあまり男たちを睨みつけるも意に介さない男たち。
お尻のラインをくっきりと現すぴっちりとしたスパッツを捲られ、真っ赤になった尻を晒される。スパッツにはべっとりと愛液が染み付き、どろりと糸を引いてしまっていた。
「ん、ふぅ♡」
男たちがマスカレーナを捕らえてやりたいことを思い思いに書き殴るトークルーム。それにマスカレーナの妄想力を着色し、淫らな妄想を膨らませる。
「ふふ、そんなんであたしが満足するわけないじゃん」
男たちの幼稚なトーク内容を鼻で笑い、ごろんと寝返りをうつ。
どうにも彼らのプレイはノーマルの域をでない。
発想がないのか、自分の性癖を書き込むのに戸惑っているのか。
タタタっとマスカレーナはデバイスを操作し、自分の妄想の一部を書き込む。
一瞬会話が途切れるが、それなら俺はーといった具合で先ほどよりもマニアックな会話が始まった。
「な、なによそれ」
両手両足をワイヤーで縛られ、宙吊りにされたマスカレーナ。
アナル周りの布地を破られ、そこからきゅっと引き締まった菊門が晒されている。
その整った穴にあてがわれたのは巨大な注射器。その先端だった。
丸く滑らかな表面は肌に当てても傷をつける事なく、ただヒンヤリとした感触をマスカレーナに与える。
「へへ、小娘はしらねーか?こりゃカンチョー器具さ」
「か、浣腸…」
「今からこれをタップリ中に注ぎ込んでやるからな」
「い、いやっ!やめてよ!」
ギシギシとワイヤーを揺らして抵抗するがまるで蜘蛛の巣に絡まった蝶。
無様に揺れるそのザマを嘲笑いながら色のついた粘液状の浣腸液が抵抗虚しく注ぎ込まれていく。
「ん、ぎぃ…ふぐぅ♡」
直腸から伝わる粘液の冷たさに身体を震わせるマスカレーナ。
注ぎ終わり引き抜かれるとびくんと身体が反応する。
「んお゛っ♡」
下品な声をつい上げてしまい、きゅっと唇を紡ぐ。
ふるふると身体を震わせる姿は怯えたウサギのようだ。
「おっと、安心するのはまだはえーぞ」
「お嬢ちゃんに追加でもう一本サービスだ」
「ひっ」
初めてマスカレーナは恐怖から悲鳴を上げる。
男が持ち出したもう一本の注射器。それには先ほどと同様タップリと液体が充填されている。
それが、人数分。
「いや、いやぁぁぁぁぁ!!」
二本目の注射器が挿入されるとともにマスカレーナはただの小娘のように悲鳴を出した。
「ふぅー♡ふぅー♡」
ちゅぽんと手のひらサイズの容器を引き抜き、ベッド脇のゴミ箱に入れる。
妄想ではこれの何十倍も注ぎ込まれたが流石に現実でできるはずもない。
ぐるぐるとお腹が鳴る。限界まで先ほどの妄想を進めよう。
マスカレーナは僅かに垂れた液をチリ紙で拭き取りながら秘部に指を這わせた。
「うううぅぅ…」
ずしりと四肢に掛かる重量が増す。
それも当然だった。
人数分注ぎ込まれた浣腸液によってマスカレーナの引き締まったお腹はぽっこりと膨れていた。
「これは遅効性だからもう少しこの状態を楽しめるぜ」
「はは、見ろよあのボテ腹」
男たちの嘲笑を聞き流し、マスカレーナは奥歯を噛み締める。
ひりつく肛門の疼きに耐えるがどう足掻いてもそれを止めることはできない。
そう察したマスカレーナは括約筋に力を入れて男たちに申し出る。
「ねぇ、トイレにいかせてよ」
「あ?」
男たちはマスカレーナの申し出にまるで聞こえていないかのような反応を返す。
「お願いだから、トイレに行かせてって言ってんの!ううっ」
大声を上げ、腹に力が入り危うく出かけてしまう。
「おいおい、それが人にものを頼む態度かよ」
ニヤニヤと男の1人がマスカレーナのそばに寄り、その卑猥なイチモツを出す。
蒸れたオス臭さが鼻腔を突く。鼻を押さえたいが四肢を拘束されてはそれも叶わない。
「お願いがあるなら誠意を見せないとな」
「コレをしゃぶってくれたら考えてやってもいいぜ」
つん、と亀頭で鼻先を突かれ、先端に溢れていた透明な先走り汁が糸を引く。
おとこたちはニヤニヤとマスカレーナを見る。屈辱に身を震わせながらマスカレーナはその花弁のような口を開き、舌を伸ばした。
つんとした刺激が舌先から伝わり、イカ臭さが鼻腔、そして口を伝って脳髄を染める。
「う、ぇ」
腐った生魚のような苦味、油断すれば嘔吐しそうな最低の味にその美貌を歪ませる。
「ち、とっとと咥えろノロマ」
「ングぅ!」
がしっと頭を掴まれ、ズンと喉奥まで肉棒を突っ込まれる。
まるでスイッチを押したかのようにマスカレーナの身体が反応し、ごぼりと吐瀉物がせりあがり、食道を胃酸が責め立てる。
ごぶりと唇の端、鼻の穴から溢れ出たそれは不快な酸味を帯びている。
「うへぇ、吐きやがったこのアマ」
「くっそ不細工なツラだぜ、撮っとけ撮っとけ」
パシャパシャとシャッターが切られ、とても人前に晒せない顔をおさえられる。
「ンンンンンゥ〜」
悔しさから目尻に涙を浮かべるマスカレーナ。そんな彼女にお構いなしに男はオナホのようにマスカレーナの頭を動かし、その欲望を注ぎ込む。
「んっ!?んんんんんん!!」
口の中に混ざる不快な味。それがなんなのかわからないほどマスカレーナは子供ではない。
なんとか吐き出そうとするがみっちり根元まで咥え込まされたマスカレーナは息も出来ない。苦しさから逃れるためにマスカレーナは泣く泣くそれを飲み込む。
細く白い喉がごくんと動き、ようやくその肉棒を引き抜かれる。
男とマスカレーナの卑猥な汁にまみれたそれは下品にコーティングされ、ぬらぬらとした光沢で輝いている。
「よしよし、ちゃんと飲み込んだな」
両頬を掴まれ、喉奥まで覗き込まれる。
ツバでも吐きかけてやりたかったが、少しでも男たちの機嫌を損ねないようにする。
「ね、ねえこれで満足したでしょ…トイレにいかせてよ」
「お、そうだったな」
男がアゴで別の男に合図し、宙吊りにされたマスカレーナは地面に下ろされる。
意外にも素直な対応を懸念しつつもマスカレーナはふらふらとした足取りでトイレに向かう。
個室のドアに手をかけた時にマスカレーナは男たちの嫌がらせに気づく。
こじんまりとした便所には男性用と女性用があるが女性用のドアに電子錠がかかっていたのだ。
「こ、のぉ…」
マスカレーナは上着に忍ばせていたツールで電子錠を解除しにかかる。
「おいおい、せっかくトイレ使っていいって言ったのに何してんだよ」
わかっていた上で見に来た男たちの言葉に集中を乱されないようにマスカレーナはロックを解除する。
数多のセキュリティを突破してきた彼女にとって難しいものではない。
ほんの一瞬だが気が緩み、菊割れからひょっこりと色付いた粘液が顔を出すが後は中に入れば問題ない。しかしーー
ガチャ
ドアが何かにひっかかる。
マスカレーナはこの時代、電子セキュリティ全盛期に全時代的な金具のロックがかかっている事に気づけなかった。
「あ、あああああああ!!!」
ガンガンとドアを叩くが彼女の細腕では古びたドアとはいえびくともしない。
ぎゅるりと腹が鳴り、いよいよ限界が訪れる。
「ふーぅぅぅううううううううう〜〜〜〜〜!!」
悔しさに顔を歪め、男性用便器に尻を向ける。スパッツを下ろす余裕すらないマスカレーナは破れて覗かせたアナルが拡がり、その中身が姿を現す。
彼女の細腕ほどはある粘液が勢いよく捻り出され、あっという間に男性便器を溢れさせて便所の床を汚していく。
大粒の涙を流しながらマスカレーナは溜まったものを吐き出し切るまでその痴態を男達に晒し続けた。
「ふ、ぅうう♡」
清潔にされたトイレで用を足し、マスカレーナはその快感に身を震わす。
花の香りで満ちた個室での排泄は妄想の中でのあまりにもおぞましく無様なものとは違い、マスカレーナに程よい悦びを与えてくれる。
仕事中に万が一にも腹痛に襲われてミスをしないように仕事前には必ず浣腸するようになってからしばらくして自分の意思で出すことの気持ちよさに気付いた。
そしてトイレに持ち込んだのは男性の平均サイズ以下の男根の張り型だ。
前は純潔を保っている分後ろで自慰に浸っているマスカレーナ。
この程度の大きさなら無理なく入り、直腸から子宮を刺激され軽くイク。
ぱちぱちとした火花が頭で弾けたような錯覚。
指を動かして張り型の底をリズミカルに押し上げる。
とても人には見せられないアナニーに没頭しながら思考は妄想に戻っていく。
ドゴォ!
「お゛ぅっ!?」
トイレで痴態を晒し、へたり込んだマスカレーナ。
再びワイヤーで両手を縛られて爪先が付くぐらいに吊り上げられる。
空っぽになった直腸に再び浣腸液を注がれ、拳大のプラグで栓をされる。
先ほどよりもやや膨らんだ腹に男の拳がめり込み、水の詰まった皮袋を殴った時に出そうな鈍い音が鳴る。
「てめぇのせいで文無しになっちまったんだ!その痛みを教えてやる!」
「ひぎぃっっ!」
腹に突き刺さる痛みに合わせて飛び出しそうなプラグ。
便所で粗相をしたマスカレーナは次は耐えようとするも虚しく、何度目かの腹パンでプラグが抜け落ち、乳白色の汁が吹き出し地面を汚す。
「よーし、おろせ」
吊り上げられたマスカレーナは再び床に転がる。
もはや立ち上がる力もなく、ひゅーひゅーと息をするだけだ。
「だいぶへばってきたな」
「ああ、そろそろ仕上げに入るか」
男たちが次の準備のために用意を始める。
「あ、俺ちょっとしょんべん」
「ばーか、こいつが便器詰まらせちまってるよ」
「ああ、そうだったクソ女め」
男は廃屋から出て立ちションをしようとするがふと思い立ち仰向けに横たわるマスカレーナを跨ぐ。
「おい、しょんべんするから用意しろよ」
思考のおぼつかないマスカレーナは男の言葉の意味を理解しないまま本能的に何をしたいのかを察して口を開けた。
直後降りかかる黄金水。
それは皮肉にも嘔吐や排泄で水分を欲した身体に染み渡り…。
「ぁ、ぉぃし」
普段ならまず有り得ない言葉を発していた。
「いやいやいや、流石に変態すぎでしょ」
自分の妄想をふりはらうように首を振り、ベッドに戻る。
妄想に拍車がかかり普段よりも自慰が捗る。
普段ならそろそろ止めるところだが妄想もいいところで止まっている。
「あ、そういえば」
ほったらかしにしていたデバイスを手にとり、トークルームを覗く。
トイレで盛っている内にかなり未読が溜まっており、男たちの勝手気ままな欲望が書き連ねられている。
スライドさせて彼らの妄言を読みながらマスカレーナは妄想にラストスパートをかけた。
「いい眺めだぜマスカレーナ」
「きれいなぴんくだな、これがどす黒くなるまで使い込んでやるから覚悟しろよ」
用意されたベッドの上で大の字に拘束され、器具を用いてくぱぁと開かれた大陰唇。膣口までしっかり晒されてマスカレーナはいよいよ覚悟を決める必要があった。
順番が決まり、誰が処女を奪うかが決まる。
選ばれた男は見るに耐えない不細工。死んでも処女を捧げるのはお断りな相手だがマスカレーナはこれ以上男たちを楽しませるものかと歯を食いしばる。
ここを耐え切れば逃げるチャンスが生まれるはず。
処女の自分がそう簡単に感じるはずはない。逆に男は刺激を受け続ければ必ず射精する。
そしてそれも数回もすれば限界がくる。
強く自分に言い聞かせ、マスカレーナは秘部から伝わる破瓜の痛みと流れ出る血の感覚を奥歯を噛み締め耐えた。
「んっ♡んっ♡」
何人かとの行為が終わる。
膣内に出される感覚に屈辱を感じるも、耐え切れないものではない。
逆に未開発の膣肉の圧に男たちはあっさりイッてしまう。
四肢を拘束してはやりにくいと声が上がり、すでに枷は外されている。
穴は一つしかないのだから一対一。だんだん慣れてきたマスカレーナはどう力を入れれば男から搾り取れるかを学び、僅か数分で出させる。
お構いなしの中出しだがそれは後で考えるしかない。
体位を変えつつ行為は続き、ほのかに膣内がくすぐったい感じがしたころになって一周する。
一度出せば気が抜けるのが男というもの。
四肢の力もしっかりと入るようになったマスカレーナはベッドに横たわりながら愛機に目を向ける。
キーは刺したまま。傷はついたがエンジンは問題なくかかるだろう。
距離は数メートル。全力で走れば男たちに追いつかれるまえにバイクを起こして走り出せる。
男たちはマスカレーナの名器について盛り上がり、二周目に入る順番をどう決めるか話していた。
マスカレーナの瞳に光が灯る。
猫科の動物かのような俊敏な動きでベッドを飛び降りバイクに向かって走る。
男たちが気づくがもう遅い。
颯爽とバイクを起こして跨り、エンジンをかける。
頼もしい音と共に駆動し、風のように疾走する。
股から垂れる白濁液でシートが汚れてしまう。あとで掃除してあげないと。
古びたシャッターをぶち破り、マスカレーナを乗せたバイクはテールランプの灯りを残して夜の街へと消えていった。
「てな感じでマスカレーナちゃん大勝利〜♡」
周りを出し抜きピンチからの大脱出。これほど気持ちいいことはない。
自慰行為での妄想ではよくやるパターンである。
なんせマスカレーナは自分が本当に捕まってしまうなんて想像もできない。
どんなピンチも切り抜け、なんとかしてしまう天才なのだ。
「さてと、それじゃああたしが最初から見抜いてたことをトークルームに書き込んで煽ってやろ♡」
マスカレーナをどう調教するか未だに話し続けているマヌケなスケベおやじども。
書かれた卑猥な行為の数々は内容がエスカレートしておりどれもかなりヤバい。
アップされた器具類も物騒なものも多く、こんなもの使われたらと思うとゾクゾクする。
「次の妄想ではやってみようかな」
男たちの卑猥な妄想をオナネタに、満足したはずのマスカレーナはさらに指をクリトリスに這わせる。
そしてトークルームのメンバー名を自分の名前とアイコンに変えてネタばらしをする。
まあ信じられないだろうからとダブルピースの自撮りを貼って煽る。
悔しがる男たちに優越感を感じながら愛撫しようとマスカレーナがベッドに横になるとさっそくトークが追加された。
『知ってた』
ぞわりと、マスカレーナの身体に悪寒が奔る。
続けて貼られたのは地図アプリの画面。マスカレーナのアイコンが、今、まさに、マスカレーナが使用しているセーフハウスの位置にピン留めされていた。
マスカレーナの頭に妄想か現実かもわからない映像が走馬灯のように駆け巡る。
トークルームに残されたマスカレーナ調教計画の数々。それらが全て実行され、数え切れない男たちの子種を注ぎ込まれ孕まされた自分の姿が未来視のように鮮明に浮かび上がる。
(逃げなきゃにげなきゃニゲナキャーー)
フル回転する頭とは裏腹に指は狂ったかのようにぐちゅぐちゅと秘部を掻き回し愛液でシーツにシミが出来ていく。
(気持ちいいきもちいいキモチイイーーちがうこんなことしてる場合じゃ…)
先ほどまでの行為が児戯にも劣ると感じてしまうほどにキモチイイ。
破滅間際のオナニーがこんなにキモチイイなんて知らなかった。
腰を浮かせて仰け反り、一心不乱になってオナニーをする。
今まで感じた事もない快楽とともにぶしゃあと聞こえてくるかのような勢いで噴き出した潮で壁紙が汚れる。
「うお♡お゛っ゛お゛お゛っ♡お゛うっ!?」
地鳴りのような揺れと共に爆音が下から聞こえてくる。
新築でまだ部屋が埋まり切っていないこの建物で地階の駐車場を利用しているのはマスカレーナだけだ。
この爆発は逃走手段を奪うために破壊されたバイクによるものだろう。
「あ、あは、あはは、は、は…」
ガラガラと颯爽と逃げる妄想が崩れ去る。
脱出には見事に失敗し、何人も何人も何人も孕まされる。そんな自分を妄想し、何度も何度も達してしまう。
「ゔぉっいぐっ♡いぐいぐイグゥ♡」
自らの嬌声に混ざって聞こえる廊下を走る複数人の足音が部屋の前で止まる。
そしてノータイムでガチャリと開くドア。あらゆるセキュリティを突破し盗んだデータを依頼主に届ける天才運び屋。そんな彼女が自分の部屋の鍵をかけ忘れるなんてこれ以上滑稽な話もないだろう。
「はい、こちら千夜丸です」
通信機への入電に応答する忍装束を纏った少女。彼女はS-Forceの一員、乱破千夜丸。
ここしばらくマスカレーナと呼ばれる運び屋の少女を追い続けていた。
彼女の隠れ家のひとつがここにあると言う情報を得て先行して単独で乗り込んだがどうやら逃してしまったようだ。
「…そうですね、爆破したのは彼女のバイクに違いありません」
地階にある駐車場の消火作業後に破片を調べたが形状が千夜丸が記憶しているものと一致する。
何度も取り逃した要因だった彼女の足がこういった末路を辿ったのは少しショックではある。
「いえ、それはまだ…まさか、あり得ませんよ。だって私が捕まえられないんですよ?そこいらの反グレが捕まえられるわけないです!…いえ、別に心配している訳では…はい、はい、わかりました。後は警察に任せて撤収します」
通信機を切り地上に上がり、そのまま屋上へと跳躍する。
吹き抜ける夜風に忍装束をはためかせ、千夜丸はぽつりと呟いた。
「あなたが捕まるハズがありません…そうですよね?マスカレーナ」
その言葉に返答はない。
幾度も繰り広げた追走劇。可憐に逃げ回る少女の姿を幻視しながら千夜丸は夜の闇へと溶け込んでいった。