ゼログライジスとマコト

ゼログライジス
それは色彩との決戦の際、キヴォトスへと出現した強大なゾイドの一機。決戦時は色彩の影響で暗黒形態と呼ばれる姿に変貌しており、高い知能に巨躯、強力な兵装、頑強な装甲、率いる多数のゼロファントス、そしてゼロブラスト《Zi・END》と呼称されるゾイドコアへ多大なダメージを与える光線により、同時に出現したプレナパテスの色彩化キングゴジュラスと合わせて多大な被害をもたらした。
その後は、補習授業部の奮戦、プレナパテスと先生の対決が終わったことで色彩から開放されたゼログライジスは自壊、残ったゾイドコアも同じく色彩の影響から脱したゼロファントス達が運び出し行方知れずとなってしまった。
だが、その強さに目をつけたある人物が消えたゼログライジスを発見する。その見つけ出す人物とは……。
―――某所
「キキキッ!遂に見つけたぞ!ゼログライジスを!」
万魔殿の羽沼マコトである。
彼女は自身の持つ広い情報網を駆使し、キヴォトスの何処かへと消えたゼログライジスの所在を突き止めてみせたのだ。
見つけ出した理由はもちろん――
「お前を我が万魔殿の物とすれば空崎ヒナのデスザウラーやおチビちゃんなどもはや恐れるに足らずだ!キャヒャヒャヒャヒャッ!」
強力なゾイドであるゼログライジスを確保し空崎ヒナへ対抗するためである。しかし、彼女の前にいるゼログライジスは……。

「ん?お前そんなに小さかったか?」
再生途中の不完全体であり、かつての巨躯は見る影もなく大きさはせいぜい中型ゾイド程度、武装も大多数が欠損していた。
けれどもゼログライジスを見つけたことに浮かれていたマコトがそんな些細なことを気にするわけもなく
「まぁいい、PK師団!ゼログライジスを運べ!」
意気揚々と配下の生徒へ指示を出し、ゼログライジスをホエールキングへと積み込み運び出すのであった。
……この時はまだ、自分が想定していない事態が待ち受けていることをマコトは知らない。
―――ゲヘナ学園
「……何ぃっ!?誰も動かせない!?」
「イブキは動かせなかった〜……」
「私もですが、チアキとサツキ先輩、ほか万魔殿の生徒もみんな駄目でした」
ゼログライジスを動かせる生徒が見つからなかったのだ。
ゾイドとパイロット間には少なからず相性や適性があり、その相性が悪かったり適性が合わなければ操縦がし難かったり、そもそもそのゾイドを動かせないといったことがままある。
「あと操縦テストをしていないのは……マコト先輩だけですね」
「いや、私は乗らん」
「マコト先輩、ゼログライジスは未知のゾイドです。もしかしたらということも……」
「しかし……」
マコトがこうもゼログライジスへの搭乗を渋るのには理由がある。それは……
いままで自身と相性が良いゾイドと出会ったことがなく、ゾイドを操縦したことがない為である。
どういうわけか彼女はほとんどのゾイドと相性が悪く適性が合わず、これまでに
山海経から一度借りてきたセイスモサウルス
かつてベアトリーチェのゾイドであったダークスパイナー
特殊なルートから仕入れたイビルペガサス
そしてゲヘナに存在する多種多様なゾイド達
……などなどマコト自身もかなりの種類のゾイドを動かせるか試していたがそのすべてを動かせなかったのだ。ワイルド種に至ってはそもそも言うことを聞かない始末である。
そんな苦い経験がある故に、彼女は自分ではゾイドを動かすことができないと一種の諦めの境地に達してしまっていた。
「諦めちゃダメ!マコト先輩!試してみよ!」
「むぅ……イブキがそこまでいうのなら……」
しかしそんなマコトも溺愛するイブキの押しには勝てず、ゼログライジスの元へと向かっていった。
―――万魔殿所属ゾイド格納庫
「乗りましたね。ではマコト先輩、動かせるか試してください」
「がんばれ〜!」
「よ、よし……」
押しに負けたマコトが操縦席へと乗り込んでいく、心の中では「どうせ私では動かせない」そんなことを思いながらも操縦を始めたその瞬間……。
「えっ?うわああぁっ!?痛゛ァ゙ッ゙」
――ゼログライジスはマコトの操縦に反応しその身体を動かしたのだ。
まさか動くと思っていなかったために動きに反応しきれずマコトは振り落とされてしまう。
「う、動いた!?動いたよイロハ先輩!」
「う……動きましたね。イブキ」
その光景を見ていたイロハとイブキの二人はマコトが振り落とされたことなどよりも、マコトがゾイドを動かしたことに驚愕する。
今までゾイドをろくに動かせなかったマコトが動かせるゾイドなのかもしれないのだ、無理もないだろう。
「あっ、マコト先輩大丈夫〜!?」
「マコト先輩、早く操縦席に戻ってください。動作テストを続けます」
――その後、ゼログライジスが本当にマコトの操縦に反応していたのかどうか慎重にテストは続けられていく。
そして数時間後……
「キキキッ、キシシシッ、キャヒャヒャヒャヒャッ!きっとゼログライジスはこのマコト様と出会うためにキヴォトスへと姿を現したのだ!キシシシッ!!」
「マコト先輩、おめでとうございます」
「やったー!おめでとー!マコト先輩!」
テストの結果、万魔殿においてマコトはゼログライジスを動かせる唯一の生徒であり、そしてゼログライジスはマコトと相性の合う数少ないゾイドであるということが分かったのだ。
「キシシシッ!イブキ!イロハ!行くぞ!さっそく空崎ヒナへ万魔殿の……私のゾイドであるゼログライジスの強さを見せつけてやろうではないか!」
「わ〜い!」
「はぁ……わかりました。付き合います」
……そんなこんなで喜び勇んでヒナへ戦闘を仕掛けに行くも、ゼログライジスが不完全体であり性能が格段に落ちていること、そもそも根本的な操縦技能の差でヒナにボコボコにされてしまうも自らゾイドを駆ることができたからかどこか嬉しそうにするマコトの姿があったという。
