ポッキーゲーム
「トレーナーさん!ポッキーゲームしようぜ!」
「ぶふっ!!?!」
愛バから突然発せられた、教育者に対しては割と問題な発言に、俺は飲んでいたエナジードリンクを吹き出してしまった。
幸いなことに今いるのは俺のトレーナー室で、吹き出した先は床なので、被害は最小限に留められたと思う。
「うおぉう大丈夫かトレーナーさん!変なところに入ったか!?」
「ゲヘッ!ゲホッ!…エース…ポッキーゲームのやり方、知ってるの…?」
「?知らなかったらやろうって言わねーぞ」
「うんそうだね、その通りだね…」
これは、そう言う事なのだろう。
エースとは担当トレーナーとウマ娘以上の関係だが、彼女が卒業するまでは健全なお付き合いをしようと決めていたが…。
しかしアスリートとは言えエースも思春期の女の子、そういうことに興味を抱くことは当たり前なのだと思う。
……覚悟を……決めるか……。
「……いいよ、やろう」
「よっしゃ!じゃあトレーナーさんはコレの両端を持っててな、んであたしは〜コレにしよ!」
「……ん?」
エースはポッキーを一本俺に渡し、ポッキーの端を掴ませてきた。
そしてエースが箱から取り出したポッキーを俺のとクロスさせ、ソレの両端を持つ。
「それじゃあ、よーーい……ソイっ!!」
〈ポキン〉
掛け声と共にエースは自分の持っていたポッキーを自身の方へ引き寄せた。
すると、エースのポッキーが音を立てて折れる。
「だぁー!あたしの負けかぁー!」
「………何コレ?」
「んあ?だからポッキーゲームだろ?ポッキーの端を持って、引っ張って先に折れた方が負けってゲームだって聞いたんだけど…」
エースは折れたポッキーを食べながらそう言う。
「………はぁ〜〜〜〜」
「え、何で溜息つくんだよ!?」
「いや…うん…俺が勝手に勘違いしただけだから、エースはそのままでいてね…」
「????」
……後日、俺が想像していたポッキーゲームのやり方を知ったエースがトレーナー室に突撃してくることを、今の俺は知らなかった…。
終わり