ボレアの花弁の下で華開く肉の花

ボレアの花弁の下で華開く肉の花



ーーその姿はまさに闘技場に咲く一輪の花だった。


円盤闘技場セリオンズ・リング。

火山上空に位置するこの戦いの地では日夜機械生命体セリオンズたちが互いの武装を奪い合い、その力を高める場所であった。

そんな強さこそ全てな世界において、その美しさで一目置かれる闘士がいた。

セリオンズ“リリー”ボレアーー花弁を模したユニットを腰回りに装着し、その可憐な見た目に反して花弁に隠されるようにしてボレアの下半身は無骨で巨大なドリルが装着されている。

そのドリルを植物の根のように大地に根ざす事で地殻の熱エネルギーを補給することが可能であり、他のセリオンズに比べて耐久力、継戦能力に長けた機能を有していた。

空中に位置するセリオンズ・リングでは意味がないようにも思える機能だが、場所が火山の火口付近ということもあって十分な熱エネルギーを供給できている。持久戦に限ればセリオンズの中でも随一だ。

そんなボレアが今戦っているのは名の知れたセリオンズたちの誰でも無い。

先日、セリオンズ"リーパー"ファムを倒した事で一躍その存在が広まった人間の闘士だった。

ボレアの躯体から伸びる金属製のイバラの鞭が幾度も男を打ち据えるが、男の顔からは闘志は消えず、どこか光悦な色が見える。

闘いによる高揚感だろう。ボレアはダメージをモノともせずに向かってくる男に称賛の念を抱く。

しかし、勝つのはボレアだ。

闘技場の地面を埋め尽くすように張られたボレアのイバラが一斉に男を襲う。

どれだけ素早い動きで翻弄しようとも、ボレアのイバラからは逃げられない。

男の四肢を縛り空中に吊るす。こうなれば人間に抗う術などない。

勝った、ボレアがそう判断したのは無理もない。

そんな僅かな隙を突くように、男の服の下からにゅるりと異形の影が伸びる。

耳を劈く轟音。ボレアの集音センサーにエラーが生じ、一瞬音が消え、ボレアのアイカメラは突如闘技場に発生した水霧によって塞がれる。

「あれは、ファムの」

好敵手たるファムの触手。そこから放たれるウォーターカッターは警戒すべき武装である。ダイヤモンドすら切断するその切れ味はボレアのイバラをも断ち切る。

ガチンとボレアの後頭部から響く金属音。

それが男によって突き付けられた触手の先端、あのウォーターカッターの放出口だというのは見るまでもない。

闘技場に発生した水霧が晴れた頃には会場全体が静寂に包まれる。

戦闘継続は可能ーーだが後ろを取られた時点で勝敗は決している。

何よりボレアは男に驚嘆していた。

もっとはやくファムの武装を使用していればあれほどのダメージを受けずにボレアと戦えていたハズだ。

こちらが油断するタイミングを正確に読み、その時まで武装を秘匿する戦闘センスはこれまで闘ってきたセリオンズたちにはない、まさに人間らしい技。

「ボレアの、負けです」

ボレアは両手を上げ、敗北を宣言する。

しん、と静まり返っていた会場で歓声が爆発する。

ファムに続き、名も知らぬ人間の闘士の勝利。

これは偶然ではない。新たな強者の登場に観戦者たちは大いに盛り上がっていた。




セリオンズには、勝者が敗者の武装を一つ奪う権利がある。より広義な捉え方をすれば勝者の願いに応える必要がある。

激闘を終え、ボレアの控え室ーー正確にはセリオンズの中でも巨体な分類に入る彼女の整備を行う専用ドックに戻っていた。

「今なんと?」

そこでボレアは男の口にした要求を理解できず、繰り返し説明を求めた。

「ボレアの処女が欲しい」

そんな僅かな文字数を理解するのに、ボレアの思考回路は随分と負荷がかかっていた。



処女、それを掻い摘んで説明するならば人間同士の生殖行為。いわゆるセックスを知らないメスを指す表現だ。

人間の生殖のための器官である膣口には処女膜なる薄い膜が存在し、生殖行為を行う際にそれを破って男性器を内部に挿入する事が処女を捧げた事になるという。

処女膜というのは不思議なもので、一度破られたら二度と再生しないらしく、処女=オスを知らない純潔の女という証らしい。

ボレアは当然だが処女に該当する。そもそも機械であるボレアには不必要な行為でありそのための器官がそもそも存在していない。

とはいえ世界というのは広く、人間を模した機械ーアンドロイドを元に造ったセックスをする為の機械、セクサロイドなるものが存在する。

当然セックスをするために人の手によって造られた人工の生殖器官が内蔵され、子供こそ作れないがその再現度は本物以上とも噂されている。

そしてボレアが向かったのは、そんなセクサロイドを取り扱う店である。



天空闘技場に訪れるモノたちが集い生まれた火山の麓の町。

多種多様な種の姿が見受けられるこの町の片隅にはその存在を公にはしていないセクサロイド専門店が鎮座していた。

「いらっしゃーうぉっ!?」

髭面のセクサロイド店主が気配を感じて声をかけると驚きの悲鳴を上げる。

それも当然だ。ここを訪れるのは基本人間の男。生身の女にモテなくてセクサロイドで童貞を捨てる非モテ男からアンドロイドでないと興奮しない変態男。まあほぼ全員男だ。

そんな店に現れたのは店主も知る有名人ーー有名マシーンとも言うべきセリオンズ・リングの闘士。

セリオンズ"リリー"ボレアだ。

人間を模してはいるが機械、それも女性型であるボレアがこんな変態が集う店に用があるはずもない。

セクサロイドの存在に不快感でも抱き、壊しに来たのかと内心怯える店主に対し、ボレアはその見た目からは想像出来ないか細い声で要求を口にした。

「ボレアに、互換性のあるお…おまんこユニットを用意してほしい」

男に教えられた女性器の"正しい"名称を告げたボレアは今にもオーバーヒートしそうだった。



ボレアのドックに甲高い音が響き、メンテナンス用のアームマシーン達によってボレアの花弁ユニット、その一部が外されていく。

閉じた蕾を手で開くような背徳感を感じながら男はユニットを持ち上げ、外からは見えないボレアの内部構造を目にする。

人間で言えばふとももの付け根、そこから下は巨大なドリルユニットにつながっており脚はない。

しかし臀部はしっかりと存在し、美しい曲線をしたお尻、そして大陰唇も膣口も何もないツルリとした股が姿を表した。

「うぅっ」

ボレアの躯体が熱を帯びる。その躯体を隅々までスキャンされ、取り付けが可能なユニットの選定を終えて今、男の目の前で換装が始まっていた。

ある筈のないと思っていた感情、恥辱というものを自覚したボレアは今すぐにでもこの場を離れたかった。

闘いに特化した機械、セリオンズ。

そんな自分が闘いには全く不必要な部品を付ける事が内心嫌で仕方がない。

だが敗者である自分が勝者である男の要求を断れる訳もない。

ボレアに装着可能でさらに処女膜完備。感度リンクシステムは無いタイプと注文を付けたので選定に時間がかかり、その間焦らされた男の性欲は爆発寸前、換装までもう少し時間が掛かる。その事実に男の理性は今にも吹き飛びそうだ。

換装中のボレアはそんな男が凝視している部位に熱を感じる。

今まさに女に変えられていくこの時間は永遠にも感じられる。

カメラを一旦切り、換装が終わるのを待つ。

しかし異様な熱反応に気づいたボレアがカメラをオンにすると目の前に男の性器、チンポなる肉の棒があった。

「何のつもりですか? ボレアの換装はまだ完了していませんが」

当然の疑問に男が答える。待ち切れないと。

せっかちな男だと呆れ返るボレアであったが確かにこの熱量は異常だ。

しかしユニットの取り付けは終わっていない。

どうしようもないのだが、男によってボレアはセックスにおける前戯を学ぶ。

「なるほど、手でチンポをシゴく」

チンポが射精するには刺激が必要。刺激を与えるだけなら確かに手でも可能だ。

換装中の時間を利用し、男はボレアに手コキなる行為を教える。

「これで、いいのでしょうか?」

人並み以上に大きく固いチンポだが、ボレアが本気で握れば潰れてしまう。

やけに具体的な出力数値を教えてきた男の指示に従って手に加える力を絞り、その肉棒を握る。

手に埋め込まれたセンサーから様々な情報がボレアに流れていく。硬度、脈打つ鼓動の速度。何より如何に男が興奮しているかが明確な数字で伝わってくる。

「こ、こんなに?」

ボレアは先程男と共に訪れたセクサロイド専門店の時を思い出す。

陳列されたセクサロイドたちはどれもが女体として完成度が高く、人間基準でいえばボレアより美しい容姿をしていた。そんなセクサロイドに囲まれてなお、男の心拍数はここまで猛り狂ってはいなかった。

「ボレアに、欲情しているのですか?」

無言で頷く男の返答に、換装中の箇所が妙に熱を帯びる。

シコシコと男のチンポを握り、シゴく。そのままでは摩擦で痛そうだったので人体にも影響の無いメンテナンス用のオイルを垂らし、ぬちゃぬちゃといやらしく音を立てていく。

「どうですか? ボレアは手コキ、上手く出来ていますか?」

「あぁ、気持ちいいよボレア」

その言葉に、ますますボレアはシゴく手に工夫を加える。

ただ上下にシゴくだけではなくその先端に指を這わせたりカリの部分をなぞる様に刺激したり、指で輪っかを作り、そこにチンポを通したりと。

男の反応からより気持ちよい方法を模索していきく。

「ボレア、出すよっ!」

ぐっ、とチンポが膨らんだかと思った矢先に出た男の言葉。そしてチンポから放たれたのは異様な臭いを放つ白い汁。

どれほど溜まっていたのか、夥しい量が勢いよく発射され、ボレアの胸部。おっぱいを白く塗装する。

ドロリとしたオイル以上の粘度の液。

「これが精子」

胸を伝うそれを指で掬い、指と指の間で糸を引かせ、まじまじと観察する。

これを子宮に注ぐ事で人間は子孫を産む。

人体の神秘を垣間見たボレアだが、未だ勃起の収まらない男を見て悟る。

まだまだ、足りないらしい。

「ボレアは、次はどうすればいいですか?」

最初の頃の嫌悪感は、もうすっかり消えていた。




「はあっ♡はあっ♡」

ずりゅずりゅと腰をスライドさせて男が喘ぐ。

フレームに固定されたボレアを寝かせ、最終調整のために忙しなく動くアーム達よりも激しい腰使いにギシギシとフレームが軋む。

「ボレアのおっぱい、気持ちいいでしょうか?」

「ああ!最高だよボレアのおっぱい!!」

今男がしているのはパイズリなる性行為だ。

本当であればおっぱいで挟むのが正しいがボレアのおっぱいは大きいが柔らかさはなく、女体をもしているに過ぎない。しかしそんな事は構わずボレアに馬乗りになった男はそのふたつの双丘にぶっかけた自身の精子を潤滑油代わりにし、チンポを擦り付けていた。

床にチンポを擦り付ける床オナの要領でやればパイズリは可能と豪語し、すでに二度も射精しているせいでボレアの身体は精子でドロドロになり、乾燥し始めたところはカピカピになって跡を残している。

最初は臭いと思ったが、慣れてくるにつれて栗の花にも似た匂いにボレアは夢中になる。

様々なフレグランスを所有しているがここまでクセになるのは何故だろうか。

そうして三度目の射精。まるで衰えないその勢いに驚嘆しつつ、顔にかかる精子の芳醇な匂いを嗅いでいるとボレアは下半身に伝う感触を感じとる。

気づけば換装が終わり、ボレアの躯体に埋め込まれたおまんこユニットはエネルギーの供給と共に駆動を開始し熱を発し、愛蜜を垂らしていた。

荒い息を上げる男をイバラで掴んで自分の口元まで男の顔を近づける。

そしてーー

「ボレアのおまんこ、準備完了です♡」

処女を捧げる時が訪れた。


先ほどまでつるりとした股に、そこだけ蠢く肉の花弁が咲いていた。

くぱぁと花開く肉の花は糸を引き、オスという虫を引き寄せる匂いを放つ。

柔らかな大陰唇をボレアのイバラの鞭が器用に開き、膣口を男に晒す。

「本当にここでいいのですか?ユニットを外せばベッドの上でもセックスは可能です」

ボレアの躯体はおまんこを取り付けるために外した正面の花弁ユニットしか外していない。

無骨なドリルもそのままで、挿入するには少し邪魔だ。

そんなボレアの言葉に対し、男は首を振って答える。

「この姿のボレアとシたい」

「本当に、変わっていますね」

それだけ伝えるとボレアは少しでも男が挿入しやすいように上体を逸らして告げる。


「セリオンズ"リリー"ボレアの処女、奪ってください♡」


ぶちぶち、と処女膜が裂け、男のチンポがボレアの膣へと入っていく。

蠢く肉壁は侵入してきた肉棒を受け入れると共にその幾万のヒダと愛液を吸い付かせてチンポを愛撫する。

「はい、ったぁ!」

とろけるような男の声。それだけでわかっているのに男の口からそれを聞きたくてボレアは話しかける。

「ボレアのおまんこ、気持ちいいですか?」

「ボレアのまんこ、気持ち良すぎだよ!」

男の腰が激しく動く。人間の処女であれば痛みもあったかもしれない。だが男を気持ちよくさせるためだけに存在するセクサロイドのおまんこユニットにそんな心配は必要ない。

壊れてしまうと思うほどの速度で突き、ドック内はパンパンパンと金属と肉のぶつかり合う音と共に淫らな水音が響き渡る。

ボレアと男の体格の関係上、横になるボレアの上に乗って杭打ちのように打ち込まれ肉棒。

その振動はボレアの感覚センサーにノイズを奔らせる。

「これが、セックス」

そのノイズは決して気持ちがいいもの、いわゆる快感ではない。

しかしその波打つような振動がもし人間のメスに与えられればどうなってしまうのか。

「ーーーー♡」

ボレアの思考回路にノイズが奔る。

今回使用したのはあくまでボレア戦闘機能を損なわないように空いている機能と使用していない部品を取り替えただけで済む感度リンクシステムが無いタイプのユニットだ。

もしボレアの戦闘機能を削り、武装制御システムを書き換える必要のある感度リンクシステム搭載型、さらにセクサロイド専門ソフトによるメスイキシステムをインストールしてしまったら一体どうなるのだろうか。

セリオンズ・リングで活躍するセリオンズ"リリー"ボレアがオスを悦ばせるためだけのセクサロイドボレアになる姿を幻視する。

「♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

躯体が悲鳴を上げるかのように振動する。

それは男がいよいよラストスパートを掛けた合図だった。

「ボレアッ♡中に出すぞ!!」

人間であれば中に出せば妊娠の可能性もある行為なため、確認するのも当然。

だがボレアのおまんこは当然妊娠しないし許可なんて取る必要もない。

この人は、ボレアを孕ます対象としてみているーー♡♡♡


「はいっ♡ボレアの中でいっぱい出してください♡♡ボレアのおまんこに種付けしてください♡♡♡♡」


一滴たりとも零さないように男は完全に根元までチンポを打ち込み、ボレアのおまんこもまたチンポを逃がさないよう吸い付き、ぎゅうううぅと音がするのを錯覚する。そしてーー


ドピュッ♡びゅるっ、びゅるっ!ぶびゅるるるるるぅぅぅ〜〜〜〜♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡



今日一番の量と濃さで、ボレアのおまんこには男の種が注ぎこまれていった。





精力を尽き果たして気持ちよさそうに眠る男を寝かせ、ボレアは作業を開始する。

ルールに則り、男にボレアの処女は捧げた。

その時点でもうこの男の要求によって取り付けたユニットの役目は終わりを告げた。

空いてある部分を利用し、必要最小限とはいえエネルギーを割いて愛液なる潤滑液も精製するので無駄なエネルギー消費が発生するユニットを付け続ける意味はない。

ボレアはメンテナンス用のシステムを操作し、取り外していた花弁ユニットの取り付けを始める。

そこである事に気づき、一旦操作の手を止めドック内から目的のものを探し出す。

引っ張りだしてきたのは躯体が損傷した際に一時的に塞ぎ、異物やオイルの漏れを防ぐ補強用の赤いテープだ。

それを手にし、必要な分を切り取ってカタチを整え大事に隙間なく貼ってからボレアは作業を再開させた。

花弁ユニットが取り付ける寸前に垣間見えたソレはアンスリウムと呼ばれる花の花弁に似たカタチをしていたーー






ーー円盤闘技場セリオンズ・リング。

日夜開かれる機械闘士たちによる闘いの場。

一度遅れは取ったものの、あの日を境により美しさに磨きがかかり、再び連勝を重ねる闘技場に咲く一輪の花の姿が今日も観客を賑わせる。


美しき闘姫、セリオンズ"リリー"ボレア。

彼女を象徴する可憐なる花弁ユニットの下に、淫らに咲く秘密の花弁が在る事を知る者は誰もいない。



エンド




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