ホビロー if

ホビロー if


ぬいぐるみを抱えておれは走る。

走る。走る。

今、海軍に戻るのは危険だ。

ヴェルゴがいる。

落ち着いた場所でセンゴクさんに連絡してからとおれは船に乗る。

「はぁ、はぁ、……大丈夫か?」

あたりを見回して一息をつく、どうやら巻けたらしい。

先程から主張をしているぬいぐるみを見据え、話しかける。

「えーと、お前名前は?」

無言。

「話せないのか?」

少し迷って縦に首をふる。

「あのシュガーってやつの能力か?」

横に振る。

「何かの能力か?」

縦に首を振り、おれを指す。

おれ?……もしかして。

「おれの能力か?」

縦に振る。

「わ、わりぃ。今解除する。」

指を鳴らす。おそらく凪の方だろう。

サイレントのようなドームになってはいなかったし。

「ようやく、話せた!コラさ、ロシナンテさん!手当するぞ!」

ぬいぐるみが話を始めた。

その声はかなり若い少年のように思えた。

「お、おい、暴れるな!ってかお前、なんでその名前をしっているんだ!誰なんだよ!」

「……おれの名前はロー。あんたに助けられた。だから、あんたを助けたい。名前は聞いただけだ。」

ぬいぐるみ、もといいローを見据える。スパイとしての技術をもつおれから見てもおそらく嘘は言っていない。

けれど、もう一つだけ聞いておかなければいけないことがある。

「あぁ、なるほど。オペオペはしらないか?」

「……知らない。」

ローは目をそらさない。

けれども、その声音は微かに震えていた。

「……わかった。今はお前を信頼する。」

今は船の上であることや、さっきの助けたいと言った時のこの子の強い声音を信じるべきだろうとおれは直感した。

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