ブラウン管の向こう側

ブラウン管の向こう側

とうしゅう
THE BLUE HEARTSの青空を熱唱

わたしは6月半ばにギルドハウスへやってきた。

都会東京から、山の中にある古民家へ。


思い立ったら即行動の私は、

行ってみよう!と思った次の日に旅立った。

新幹線に乗り、新潟駅で降り、さらに電車に乗って大地ひろがる町中へ。

四角く空高く伸びる建物ばかりしか存在しない都会とは違う、人が自然の中で生きているという風景に車窓を見ながら涙が出てきた。ここが私が求めていた「物語の中」の世界だと。


私の直感は間違ってなかった。

人が生き生きとして、ちゃんと繋がっている。ただ「おはよう」という一言だけでもこれを実感した。ギルドにいるだけ、町を歩くだけで、どんどん仲間が増えていく。私にはとても不思議だった。


私がなんで都会を飛び立ちギルドハウス十日町に来たか、

それは「人が怖かったから」だ。

笑い声が自分に向けられているように思ったり、人の気配すらおそろしかった。家族も例外でなく、実家の中に蚊帳のテントを張ってもぐったり、掠れた息だけの声でしか喋らずにご飯とトイレだけの最低限の生活を送っていた。

病名は「統合失調症」と診断された。


でも、元気な時は人が大好きだった。と言うより離れられなかった。

色んな人に声をかけては新しい友達になる。大学に少しの間 通っていた時は、新しい人に会っては仲良くなり、元気がなくなると1人でいられなくなり仲間にずっと一緒にいてもらっていた。赤ちゃんのように。そうでもしないと、自分が保てなかったのだ。治ったと思っても、大学のテラスのフェンスを無意識で乗り越え危うかったこともあった。


そんな私にも夢があった。

「物語の中にいきたい」とずっと願っていた。本の中の主人公達のように仲間と共に冒険に!


ギルドにきてからは、まさに冒険のようだった。実際に森を歩いたり、川遊び、夜の砂浜を散歩、蛍の巣食うところに遭遇するのはもちろん。色んな人に縁して、ギターで弾き語りができるようになったり、浴衣を着てかき氷屋さんに変身したり、公園のボランティアでたくさんの子どもと遊んだり、田んぼのヒエ取りをしたり、和太鼓で舞台に立つことまでしてしまったのだ!


今でも自分が情けなくなり、人が怖くなることが何度も襲ってくる。

だけども、生き生きと人生を楽しんで言っている周りの人達を見ると、弱いとこ良いとこ全て含めて自分なんだなと気づかせてもらえる。その気づきを何度もさせてもらえる場に住まわせてもらっていることが、ほんとに有難いことだ。

これからも、「物語の中でいき」ていきたいと思う。

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