フルーツあめSS

フルーツあめSS

稚拙な文章に沢山感想を頂けて舞い上がりました、ありがとうございます

※引き続き無自覚両片思い的な距離感のバグった親友です

※ペパアオって最高!の気持ちと皆さまへの感謝から書きました。引き続き解釈違い等あったら本当に申し訳ありません

「この写真だけどなんか美味そうなの持ってるな」

夕食にサンドウィッチをご馳走してもらい、キタカミでのお土産話をしていた時の事だった。

隣で一緒にスマホロトムを覗き込むペパーがとある写真を指差す。じんべえを着たわたしが持ってる、キラキラ青くて美味しそう、な………きれいな見た目に惹かれて買って食べて、手持ちのみんなと一緒に崩れ落ちた記憶が蘇る。

「これ?……チーゴあめってやつ」

「チーゴ……をそのまま……?」

ものすごく怪訝な顔をするペパー。さすが秘伝の料理人、きのみの味にも詳しいんだね………

「うわーん名前の時点で察してる!結構電話してたんだからペパーにどんなのか聞いとけばよかったよー!」

「よしよし、口の中ヤバにがちゃんで大変だったな。あま〜いリンゴあめ作ってやろうな」

嘆くわたしの頭を優しく撫でるおおきな掌。これだけで苦い記憶もちょっぴりあまくなるのだから不思議だ。

「ありがとうペパー!頼りにしてるよ!」

「おう!ペパーお兄さんに任せとけ!」

にかっと笑うペパーにわたしも笑い返した。

◇◇◇

数日経った放課後、ペパーから連絡があった。早速彼の部屋に行き、扉を開けるとなんだか甘い匂いがする。

「来たよペパー」

「よし、来たな。いつものとこに座ってろ」

「はーい」

「バゥフ」

「マフィティフこんにちは!今日もかっこいいね」

「ワウ」

ニヒルな笑顔で出迎えてくれたマフィティフを撫でる。今日も毛並みがさらさらだ。

「待たせたな、ペパーお兄さん特製フルーツあめだぜ!」

目の前のお皿に盛り付けられたのは屋台で見たものにそっくりなキラキラのあめたち。りんごあめ、あおりんごあめだけじゃなくてきのみのあめも全種類ばっちりある。

「ペパー、これ」

「オマエの撮った写真の屋台にイロイロあめがあったろ?せっかくだから作ってみたんだ」

「あの写真だけで!?すごいよペパー!どれも屋台のあめにそっくり!」

「どれも自信作だぜ!食べてみてくれよな」

「うん!」

わたしはあの時と同じくチーゴあめに手を伸ばす。すごく苦いきのみだけどペパーの作った料理なら大丈夫。ひとくちかじってみる。

「……!甘くておいしい!」

「へへ、びっくりしたか?ソレ、チーゴあめに似せたいちごあめなんだぜ」

「とってもびっくりした!ありがとうペパー」

にっこり笑うペパーにうなずいてから美味しいいちごあめを夢中で食べ進める。白いちごに青いあめがかかっているからチーゴに見えたみたいだ。

「試しにチーゴあめも作ってみたけど……アレはなー」

「やっぱり苦いよね!?」

がっくり項垂れるペパーに突っ込む。

「……ソレはともかくだ。ほら、ほかのあめも食ってみろよ」

「うん。これはぶどうのあめ、だよね?いただきます!」

ペパーが自信作と言うだけあり、どのあめも甘酸っぱくて美味しかった。頬に手を当ててあめを堪能するわたしを彼はにこにこと見つめていた。やっぱり料理人を目指す人として、食べている人の反応は気になるのかな?くすぐったいけど嬉しい。

あめの感想や今日あったことを話しているうちにすっかり盛り上がってしまい、結局お夕食までご馳走になってしまった。ペパーは元々そのつもりだったらしく手際よく二人分の食事を用意してくれたけど、いつも食べさせてもらってばかりで申し訳ない。手持ちのみんなへのお土産も貰っちゃったし。

そうだ、今度のピクニックではわたしがペパーにご馳走しよう。彼のサンドウィッチには敵わないけど、日頃の感謝も込めて美味しく作ったものを食べてもらいたいな……よし!そうと決まれば特訓しなきゃ!

決意を新たに彼の部屋から出る頃には、倒れるくらい苦かった筈のチーゴあめの記憶は遠ざかり、あまいいちごあめの味が口の中に残っていた。

Report Page