フィナーレを

フィナーレを

カワキのスレ主

『カワキさん!』

『リオさん!』


「この時を待っていたんだ」

「どういうことですか……!? カワキさん!」

「“どういうこと”だって、カワキちゃん。説明してあげたら?」


 困惑を隠せないマシュの言葉に、悪戯っぽい微笑みを浮かべたリオがカワキに説明を促す。


「……“どういうことか“? こういうことだよ」


 カワキは普段と変わらぬ表情で、手にした聖杯を見せつけるように揺らして言った。


「この特異点を作ったのは陛下だ。相当のリソースを注ぎ込んで、光の帝国(リヒト・ライヒ)を『本来会うことのない者同士が邂逅できる』特殊な場所として成立させた」


 その言葉に、エドガーの表情は少し寂しそうな、困ったような笑みに変わった。カワキの言葉はなおも続く。


「だから、この特異点と陛下には結び付きがあった——安易に横から掠め取ることができないくらいの結び付きが。リソースを手に入れるには、その結び付きを弱める必要があったんだ」


 ガラス玉のような蒼い目が、カルデア一行を捉える。


「そのためには、陛下に特異点をご満足いただくことが最も手堅い手段だった、というわけだ」


 隠されていた真実を一つずつ明かしながら、カワキは目を細めた。


「君たちがここを訪れてくれて……私と出会ってくれて、本当に良かった」


「……全ては君たちのおかげだよ。とても感謝してる」


 愕然としたマシュが問いかける。


「私たちを、騙して……いたんですか……?」

「騙したなんて人聞きが悪いことを言うね」


 カワキは不思議そうに首を傾げた。


「君たちはこの特異点を解消したい、私は特異点維持するリソースが欲しい……何も矛盾しないよ。持ちつ持たれつの関係だろう? 私は君たちに何一つ嘘なんて吐いていない。仕事だって真面目にやった。ただ……ライフセーバーをしていた“本当の目的”を言わなかっただけ」

「そんな……」

「改めて名を名乗ろう——私の名は、志島カワキ。“A”の文字を与えられた滅却師の一人だ」


『もういい』

『目的はなんだ』


「“目的はなんだ”、か。特異点を作る——私のための、特異点を」


『特異点を、作る?』


「汎人類史には、聖杯戦争というものがあるんだろう? 一騎当千、万夫不当の英雄たちと剣を交え、研鑽を積む機会が与えられる……素晴らしい催しだ。だから——私も“それ”を行おう」


 珍しくどこか浮かれた様子でカワキが言葉を紡ぐ


「英雄、英傑を呼び寄せ、戦う“場”を作ろう。勝者が全てを得られる“場”を作ろう。単純明快で一視同仁な“鍛錬場”を作ろう。外からの参加者が来ることもあるだろう、もちろん歓迎するよ。その命が尽きるまで、共に研鑽を積み、戦い続けよう。戦いから逃れたいと願う者たちもいるかもしれないね。それなら糧となってもらおう。戦い続ける者たちの糧に」


 カワキが手にした聖杯を掲げた。


「来るものは拒まないけれど、去るものは決して逃さない。さあ——聖杯戦争を始めよう」

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