ファイター伝説オブファイターズギア拳アンリミテッドバーサス∞ブースト
半猫@5分クオリティその名称を聞いた早瀬ユウカの頭の上に疑問符が浮かんだ。
「え……っと。もう一度聞いてもいいかしら」
「ファイター伝説オブファイターズギア拳アンリミテッドバーサス∞ブースト」
ユウカの目の前に座る青髪の美少女――こう見えて百鬼夜行連合学園の要人――和楽チセが、それの名称をもう一度ゆっくりと言った。
「(何?その、頭痛で頭の頭頂が痛いみたいな名前は……)」
ユウカは思ったが言わなかった。
ユウカが難しい顔をしているのを見て、チセの隣に座る桑上カホが口を開く。
「……詳しくはこちらをお読みください」
「新しいひな型、とっても使いやすいね〜」
「今回百鬼夜行で発見された怪異物について、ミレニアムにいるというゲームが得意な専門家の力をお借りしたく参りました」
……ゲームが得意な怪異の専門家?
ユウカは一瞬疑問に思ったが、すぐにモモイのことだと気づく。
「しかし私どもはその方について、ゲームが得意ということしか把握しておりません。故に、セミナーの方で何かご存じでないか伺いたく……」
「あー、それなら紹介できると思います」
「本当ですか!?」
ユウカは楽観していた。モモイに相談すればすぐに解決するだろう、と。
「やだ」
そしてゲーム開発部の部室で、チセたちから話を聞いたモモイは、しかしそう即答した。
「やだやだやだやだ!絶!対!嫌だ!ていうかそれ近くに持ってきてるよね?今すぐ破壊してよ!」
「それはできないよ~」
「なんで!?あなたたちの力なら簡単だよね!?」
「まだ中に残っているから」
チセの言葉を聞いたモモイの顔から血の気が引く。
つまり今回求められているのは怪異の討伐ではなく、怪異に捕らわれた人物の救出。
しかも怪異の中に残っているということは――。
「……本当?」
「そうだよ〜?」
「詳しい内容はこちらをお読みください」
モモイは書類の入った茶封筒を受け取った。
モモイは隠し持った塩を封筒にパラパラと振りかける。塩は封筒に当たる直前に見えない壁に当たったかのように弾かれた。
「……」
「怪しくないよ〜?」
「中身は今回の怪異物の情報と契約書です」
そもそものレベルが違う。モモイはそう思った。けれど引くわけにはいかない。人の命がかかっているのだから。