ピンク硝子
「……♡」
「……!」
とりあえず今、抱きしめています。
カラオケ屋でヤるのはまずい、と伝えたところ、
「なら抱きしめて」と言われてなし崩しに…
いや拒絶してないな僕。
さっきも受け入れてたし。まあ、嫌じゃないしな…けど僕の感情、まだ分からないし…
兄さん!助けて!!
ーーーーー
「!今弟からSOSが…⁉︎」
突如硝太から助けを求める電波を受信した。この感覚は雨宮吾郎時代、恋愛感情がはっきりしない内に惚れてくれていた女の子を引っ掛けた時に感じたものと似ている…
しかしすまない。硝太、今俺は収録中。
頑張れ、弟よ。
「アクたん?ニュータイプ?」
「すげーよアッくん!!」
「弟さんどんな人?」
「私見たいかも」「わ、私も」
「構わない。コイツ」
先日ルビー、硝太と一緒に撮った喫茶店で食事している写真を見せた。
「「「「「サングラスにヘッドホンに上から下までオールブラック…厳つい…」」」」
「お洒落のお、すら知らなくてな」ヤレヤレ
「まあ、似合ってはいると思う。今度紹介してくれないか?彼を見ていると曲作れそうだ」
「マジか」
「彼からは繊細さとナイフの様な鋭いものを感じる。俺が求めている曲のテーマに当てはまるかも…」
番組外で注目を集めた星野アクアの弟。
写真は映らなかったがケンゴの食いつき様とメンバーの反応からSNSでバズったのはまた別の話。
ーーーーー
兄さん⁈今拒絶された気がする!
ええ…っと何でこうなったんだっけ…?
ーーーーー
絡まれていた女性を助けて、みなみさんと合流した僕達はファミレスで今日の予定を確認していた。
席に着き、2人分のケーキとマドレーヌを頼む。小ぶりだし、そこまでお腹膨れないだろう、と考えた。
みなみさん、静かだなぁ…緊張しているな。気づかない振りするか。
「みなみさん、今日はどんな感じに?小物や服の買い物付き合って欲しい、て言ってたけど」
「そそそそやね⁈そうなんよ!可愛いアクセサリー取り扱ってる店を聞いてな⁈行ってみたいねん!あと服!最近買ってへんから第三者の意見欲しいんよ!!」
「そっかー」
緊張してるなー
よし、
「みなみさん、適当にブラブラしない?電車で行けばすぐだけど散策しながらさ」
「ふぇ⁈」
「東京の街をさ、2人で適当に楽しもうよ」
緊張ほぐれて良い感じになって欲しいしね。
ーーー❤️❤️ーーーー
あ、あかん。硝太くんと2人だけで時間共有するの初めてで何から切り出したらええんやろか⁈
しもた…その場でやりたいこととか出てくるやろし、その時に考えたらええやろ、て思っていたのが裏目に出てもうた…何しよ?食べ歩き?
………したいけどグラビア撮影が近いうちにあるし〜!!
ぶっちゃけたい。
「ブラブラして遊ばへん?」と。
だけど無計画過ぎて引かれへんかな?どうやろか…
「ーなみさん?おーい。可愛いぞー」
「ふぁい⁉︎今可愛い言うた⁉︎」
「やっと反応してくれた。みなみさんの明日以降のスケジュール教えてくれたら食べ物とか考えるよ?」
悪戯っ子な笑み浮かべながら硝太くんが相変わらず気の利いたことを言ってくれる。
気遣いの人過ぎる。
色々感激と感謝で黙ってしまうと
また硝太くんから助け船を出してくれた。
「みなみさん、今日はどんな感じに?小物や服の買い物付き合って欲しい、て言ってたけど」
デート誘うためにそないなこと言ってたなぁ、1週間前の私!ナイス!!
「そそそそやね⁈そうなんよ!可愛いアクセサリー取り扱ってる店を聞いてな⁈行ってみたいねん!あと服!最近買ってへんから第三者の意見欲しいんよ!!」
「そっかー」
ニッコリ笑ってコーヒーを飲む硝太くん。可愛いなぁ…
けどこれで何やるかは決まった気はする。後はどれくらい時間引き延ばして一緒に居られるかやな。
どないしよ…うーん、ニコニコしながらこちらを見てくるのあかんて…緊張するからぁ!
「みなみさん、適当にブラブラしない?電車で行けばすぐだけど散策しながらさ」
「ふぇ⁈」
さっきから擬音語ばかりやな…あかんなぁ…ウチ。
気を遣わせてばっかりやん…
「東京の街をさ、2人で適当に楽しもうよ」
けど、一緒に居られる時間増える!
「うん!!そうしよ、硝太くん!!」
ーーーー
レストラン出た後はみなみさんが行きたいと言った小物屋さんや服屋さんに行く道中にある色々なお店でウィンドウショッピングを楽しんだ。
楽器屋さんに入っては2人でギターを持って決めポーズして写真撮ったり、ブランドを取り扱うブティックの前で目を輝かせる彼女と金額に顔を青ざめさせている僕。
そんな僕に気づいて苦笑して違うお店へ…そんな形で僕らは一つ一つ楽しみながら目的地へと向かった。
騒音や人混みもみなみさんに焦点を合わしたら良いから楽で普通に幸せだったと思う。
目的のものを入手して公園で休憩中。そろそろお昼を考えようとしていた時だった。
「硝太くんは何でそないに人のやって欲しいこととかピンポイントに出来るん?」
「よく分かんない。兄さん言うにはエンパス、て奴らしい。他人の感情を理解しやすい反面振り回されやすい、だとか。そのせいか処世術で人の仕草や動きで感情がある程度読めるんだよ。精度はそこそこだけど」
おかげさまで役に立ったり、他人に良い様に使われたり…悩みの種でもある。嘘つくの下手くそだから取り繕わず全て明かす。
気持ち悪い、と言われたらそこまで。
他人の感情に振り回される反面自身の感情には中々にドライに育ってきた。良くも悪くもすぐに切り替えられる。
さて、みなみさんはどうかな?
「凄いやん!あ、いや、硝太くんは大変やったのにごめん…他人の感情読み取れるの凄いって素直に思っただけなんよ…無神経やったわ、ホンマごめん」
一瞬顔を輝かせたと思うとすぐに慌てふためいて落ち込んだ顔になった。
不気味じゃないのか?僕が。
「…気味悪くない?感情を勝手に読まれるの。妖怪みたいだろ?」
「硝太くんみたいな可愛い妖怪ならウチは平気!むしろ好きかな。優しいもん、邪気ないし」
「そっか…初めてだよ。そんな風に言われたの」
家族と五反田のおじさんとおばさん以外からは良い方向に言われたことが無い僕の特異性を初めて受け入れてくれた、みなみさん。
少し自分が好きになれた気がした。
「なら僕もそんな優しいみなみさんを好ましく思うよ。ありがとう」
「へ⁈いいい今のは⁉︎」
口から思わず礼と意図しない言葉が出た。これも正直に言おう。
「ごめん、まだ自分の感情に区別が付かない。隣人愛か、親愛か、友愛か…本当に異性愛か。だけど、みなみさんは僕の大切な人達の中にいるよ、間違い無く。
君が良ければ答え出せるまでまた一緒に出掛けないかな?」
「うん!必ず硝太くんに自覚させてみせるから!!」
ーーーー
そう、なんか良い感じになってピエよんさんに紹介してもらった厳ついスキンヘッドのマスターがいる喫茶店兼バーで食事してカラオケで楽しんでいた。
なんかムーディーな曲、MVもなんかいやらしい感じの曲をみなみさんが入れたと思ったら…
現在に至る。
おかしい…
つまづいた彼女を庇い倒れたら押し倒した形になった。
それは僕が悪い。
首に手を絡めて来てキス寸前で今静止して抱きしめているこの状況は…どうしたら…?
ーーー❤️❤️❤️ーーー
さて、雰囲気作りは完璧。2人きり、薄暗い、ときてつい、やってしまった。
デートは楽しくてずっと笑っていたと思う。
硝太くんから秘密を聞いて彼のとびきりの笑顔と告白?に近い言葉を貰えて喜んでしまった。
シメのカラオケは2人でデュエットしたり好きな歌を互いに歌ったり
盛り上がっていた。ちょっとイタズラでエッチなMVが流れる曲流したら思っていた以上に過激でビックリして転びかけた。
そんなウチを抱き止めてくれた姿勢が押し倒された形になっていたら…
やるしかないんよ。
「硝太くん、ええよ?」
ーーーー
「硝太くん、ええよ?」
「…ここはまずい。場所変えよう」
完全に悪手を選んでしまった。
その日僕は家に五反田のおじさんの家に泊まります、とLINEを送り、おじさんにも協力をお願いしてしまった。
避妊はした。
おまけ
「硝太、おかえり…⁈おまえ、そうか…まあ、面倒ことにならない様にな」
兄さんに察されました。
…絶対怪しいわ兄さん。