ビビッドハッピーライフ
鮮やかに映える桃色の話夏も近いある日、綺斬夕里はギラギラと煌めく太陽の下で綺麗な黒い髪に汗の玉を流しながら歩いていた。
この日の気温は32℃、こんな暑いならいっそ学校自体が休みにならないものか、そんなことを考えながら歩いていると後ろから
「夕里〜!おはよ〜!」
と声がした。振り返ってみるとそこにいたのは同級生の泰良光輝
「おはよ、今日暑いなぁ」
「そうだね〜…熱中症の人も増えてるらしいよ」
「やっぱそりゃそうよな…」
そんな他愛のない話をしながら通学路を歩いていると、
「ねえさーーーーん!!!!!」
という声と共に背中に衝撃を感じる。
「イデッ…」
「何やってんの久暮」
思った通り、そこにいたのは弟の久暮、いつも引っ付いてくるからと今日は置いて行ったのだが、走って追いついてきたようだ。
「…電車2本分早く行ったんやけどな」
「姉さん?」
「なんでもないよ」
「姉さんがなんでもないって言うんだったらなんでもないんだな」
「あはは…やっぱり仲がいいね」
そうやって話していると学校に着く。
「久暮…早く自分のクラスいき?」
まだ引っ付いてくる弟にそう言うと弟はすごく嫌そうな顔をしながら離れていった。
そして、いつも通り教室のドアを開く。
「夕里〜おはよ〜」「泥団子(カレシ)くんも待ってんで〜!」
「ちょ…やめてや」「そういえば夕里知ってる?今朝のニュースの話でさ」
みんなが思い思いに話しかけてくる、青春真っ只中な空間がそこには繰り広げられる
そして、そんな鮮やかな空間な真ん中に今日も夕里は入っていく。
ピンクのメッシュの入った彼女の髪の毛みたいに彼女はずっと鮮やかで幸福だった。
そこにいる闇すら見えないぐらい鮮やかな教室に太陽の暖かな光が降り注いでいた。