パレード
ダブルデート編終わりパレードが始まる。
煌びやかな光と賑やかな音楽と共に、乗り物と人々が列を成してパーク内を歩いていく。綺麗だね、凄いね、と子供たちが親らしき人に笑いかけ、親は己の子供を肩車してはパレードを見せていた。シャディクがミオリネに肩車しようか?と問いかけている。それを聞いたミオリネはキッと目を釣りあげ「結構よ!」とシャディクの膝裏に蹴りを食らわせていた。そんなミオリネに痛いと言いながらも、シャディクは手を絡ませた。壊れないように、痛みを感じさせないように。優しく絡まされた手にミオリネは目線を少し逸らしながらも、その手を同じように握り返した。ぴったりと腕に体を寄せ、2人はパレードを見守る。そこに言葉はなく、それでも2人は幸せそうだと、そんな2人を近くで見ていたグエルは小さく笑みを浮かべる。
こちらもちらりと隣にいる彼を見上げれば、目を大きく開き、口をほんの少し開いたラウダがパレードに見入っていた。いつもは大人っぽい彼が、年相応の少年のように目を輝かせ、パレードを見ている姿は思ったよりも可愛らしく、シャディクとミオリネの微笑ましい姿を見てる時よりも頬が緩んでしまう。
どうせなら、と此方も手を絡ませてみる。びく、とラウダは体を震わせると同時に、おずおずと指を絡ませてくれた。より笑みが深まっては、ぎゅぅぎゅうと絡ませた手を握りしめる。
「なぁラウダ」
「な、に?」
いつものように髪を弄り出す彼を見上げながら、さらに笑みを浮かべる。褐色で分かりずらいのに、パレードによって照らされた顔のお陰なのか、頬の染まりがよく分かった。
「楽しかったな」
「……そうだね。楽しかったね」
「また来ような」
ラウダがこちらを見る。パレードと同じように煌びやかなラウダの瞳が細められ、優しい笑みへと変わった。
「もちろん、今度は2人で来よう」
「…ん、今度は2人で」
絡められた指に力が篭もる。火傷しそうなぐらい熱い手ひらと同じように、次の約束を取り付けた顔も、酷いぐらい熱かった。