バーヌ母子絆礼装

バーヌ母子絆礼装


◯復讐王妃バーヌマティー

『王妃を焦がす炎』

バーヌマティーは、汎人類史においても、かつての特異点においても、夫を殺したパーンダヴァに養われることを拒絶した。そして、夫の命を奪った大地の上で生き長らえることをも拒絶した。そんな彼女が取れた行動は、ただ一つ。ドゥリーヨダナの遺体を火葬する炎に飛び込むことだった。

多くの者がバーヌマティーを引き止めた。ドゥリーヨダナの両親ドリタラーシュトラとガーンダーリーは義理の娘までも失いたくないと言った。百王子の未亡人たちは、慕っていた義理の姉に生きていてほしいと願った。パーンダヴァ五王子、特にユディシュティラはもうこれ以上親族が死ぬのを見たくないと叫んだ。汎人類史においては、クリシュナがドゥリーヨダナの死は彼が役目を遂げた末の結末であり必然であったと彼女を慰めた。しかし、バーヌマティーの決意は固かった。この世でドゥリーヨダナを一番に愛した彼女にとって、夫なき世界を生きることは身の毛もよだつほどおぞましい拷問以外に他ならなかったのである。夫を失った悲しみと苦しみに比べれば、生きたまま己が身を焼かれる苦痛など甘露のようにすら感じられた。

サーヴァントとして現界した彼女は、夫を都合のいい駒として作り死なせた神々を、夫を殺したパーンダヴァを憎むがあまり怒りの炎を纏っている。しかし彼女が燃やす炎の主成分は、バーヌマティーを焼き殺した、ドゥリーヨダナを火葬した炎であった。彼女はこの炎を纏い、カルデアのサーヴァントとして今日も戦いに赴く。

────夫への愛の証とともに。

ゲーム内効果:復讐王妃バーヌマティー装備時のみ、自身に3ターンに一度HPが10000回復する効果を付与

◯水着バーヌマティー

『みんなでラーメン in海の家』

カルデアでバーヌマティーは自身の生前には存在しなかった数多の娯楽に触れた。ドゥリーヨダナの妻らしく欲深い彼女は、欲しいものを全て手に入れようと決意した。その一つが、カウラヴァのサーヴァントたちと過ごす楽しい夏のひとときだった。

そして、彼女は最近、日本のラーメンという麺料理にハマりにハマっていた。ビーマを避けるため全く食堂に寄り付かなかったバーヌマティーだが、ある日どうしてもカルデアで提供される料理に興味を持ち、こっそりと深夜のキッチンへ足を運んだのだった。果たしてそこにはラーメンをすする斎藤一がいた。バーヌマティーが共犯者になるのは必然だった。

彼女はこの時初めて食べたラーメンにすっかり魅了されてしまった。深夜に食べたこともあり禁断の味ということでより印象深くなったのだろうが、食堂に行こうとしないバーヌマティーを案じて時々食事を届けるようになったブーディカに様々な味のラーメンをリクエストするほど彼女のマイブームとなっていた。そう、ブーディカに炭水化物と塩分の摂りすぎを注意されるほどに……。バーヌマティーはスープまで飲み干す派だったのだ。

そんな中、迎えた夏。夏といえば、そう。海の家で食べる、チープな醤油ラーメンだ。

夫や友、家族と過ごす時間。どうしても食べたいラーメン。強欲なバーヌマティーは、全て手に入れるべく奔走した。特異点解決に全面的にノリノリで協力した理由の一つがこれであり、マスターと密約を交わし共にラーメンを食べる代わりにカルデアの神霊サーヴァントは殺さないと約束までした。……パーンダヴァたちとの約束を反故にし戦争を始めたドゥリーヨダナを彷彿とさせるように、バーヌマティーはその約束など無かったかのように神霊サーヴァントを殺そうとしていたのだが。息子ラクシュマナはそんな母の状態について、「今の母さんの霊基は神を殺すことを前提として構成されているからね。要するにアレは、人体に害のない花粉を免疫機能が排除しようとするような当たり前の作用だよ」と呆れながら語っていた。

とまあ、このように波乱万丈な出来事を乗り越えつつも特異点は解決された今、バーヌマティーがやることはひとつである。

「カウラヴァのみんなでラーメンパーティーをしましょう!」

こんな暑い夏にラーメンなんて、とドゥリーヨダナやスヨーダナ、カリ化ドゥフシャーサナは渋ったが、冷製ラーメンという概念をエミヤに教えられ無事陥落した。

こうしてバーヌマティーは、全てを手に入れたのである。

夫と過ごす時間も、友と語らう時間も、家族たちが楽しんでいるのを眺める機会も、マスターにカウラヴァの彼らの良さを語る機会も。

そして、ずっと気になっていたラーメンも。

ゲーム内効果:バーヌマティー装備時のみ、自身に毎ターンHPを3000回復する状態を付与

◯ラクシュマナ

『双子の姉』

ラクシュマナとラクシュマナーは双子であり、公にはラクシュマナが兄として扱われていた。しかし、ラクシュマナは実際にはラクシュマナーの弟である。このことは、父ドゥリーヨダナと母バーヌマティー、バーヌマティーの出産を手伝った産婆、そしてラクシュマナとラクシュマナーのみが知っている。女子が長子であるよりも、男子が長子である方が縁起が良かったのだ。

ラクシュマナはドゥリーヨダナの息子だが、クル国の長老たちによる教育を受け、クルの王子として健やかに育った。しかし、偉大なるクル一族の王位継承権を持つ者としての重責に悩まされることが多かった。

ある日、幼いラクシュマナは厳しい武術指導が嫌になり、限られた人物しか立ち入ることの許されていない部屋へ逃げ出した。その部屋は、ドゥリーヨダナら百王子が産声をあげる前まで入っていた壺が安置されている部屋だった。その部屋の隅で小さくなって震えていたラクシュマナだったが、訓練で疲れたせいかいつの間にか眠り落ちてしまった。

目が覚めた時、ラクシュマナの隣には姉のラクシュマナーがいた。ラクシュマナがいなくなったことで宮殿内は大騒ぎになっており、部屋の外からは息子を探す両親の声が響いてきた。

武術訓練が嫌で抜け出したがために両親を困らせたことを思い知り、罪悪感と叱責への恐怖で震えるラクシュマナを、ラクシュマナーがそっと抱きしめた。

「ラクシュマナ、一緒に謝りに行きましょう。大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげるからね」

ラクシュマナはこの日の出来事を一生忘れることはなかった。公には自身の妹として扱われる、最愛の姉のことを。

ゲーム内効果:ラクシュマナ〔カウラヴァ〕装備時のみ、自身の攻撃力を15%アップ+Arts性能を15%アップ+宝具威力を15%アップ

◯ラクシュマナー

『義父の親友、義理の叔父』

アルジュナは、クリシュナの親友だった。クリシュナは、常にパーンダヴァの、特にアルジュナの親友であり、味方であり、導き手であった。アルジュナとクリシュナは、決して失われることの無い友情で結ばれていた。

だから、アルジュナはドヴァーラカーへ赴いた。ヤーダヴァ族の内乱の報せを聞いたからだ。しかし時すでに遅く、アルジュナが到着した頃には、ヤーダヴァ族は滅亡していた。クリシュナも、兄バララーマが一族の滅亡に絶望し魂が抜けたのを見て森で瞑想していた時、ある猟師に唯一の弱点である足の裏を射られ死んでいた。

せめて、自分を頼ってきた未亡人たちや孤児を守ろうと決意したアルジュナは、ラクシュマナーにも手を伸ばした。しかし、アルジュナが老いているのを知ったラクシュマナーは、アルジュナの手を取らず、海に沈むことを選んだ。

ラクシュマナーの予想は当たっていた。ハスティナープラに向かう最中蛮族に襲われたが、アルジュナは彼女らを守りきることが出来ず、多くが攫われてしまった。かつてクルクシェートラで数多の戦士の血を大地に飲ませたガーンディーヴァも意味をなさなかった。アルジュナは、老いて力を失っていた。アルジュナは、彼女らを守れなかったことを嘆いたという。

カルデアに召喚されたラクシュマナーは、義父クリシュナの法螺貝パーンチャジャニヤだけでなく、アルジュナの法螺貝デーヴァダッタをも所持している。アルジュナは、かつてラクシュマナーを、彼女の一族を守れなかったことを今でも悔やんでおり、クリシュナが法螺貝を渡したことを知って自分もラクシュマナーに法螺貝を渡すことにしたのだ。彼女が人理を守る戦いに参加するにあたり、少しでも力になれるように。

ラクシュマナーは、アルジュナの法螺貝を受け取った。アルジュナの後悔を知った彼女は、クルクシェートラの英雄にこう言った。

「ありがとう、アルジュナ義叔父(おじ)様。私を、私達を守ろうとしてくれて。……家族を失った私は、最期にあなたの優しさに触れられて幸せでした」

ゲーム内効果:ラクシュマナー装備時のみ、自身の攻撃力を50%アップ+自身のスター集中度30%アップ

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